テラーノベル

テラーノベル

テレビCM放送中!!
テラーノベル(Teller Novel)

タイトル、作家名、タグで検索

ストーリーを書く

シェアするシェアする
報告する

「僕と付き合わない?」

藤澤から妙なLINEがあった。

急にどうしたんだ。

俺はすぐには返信しなかった。藤澤が、他の人に送るつもりのメッセージを、俺に誤って送ってしまったのだと思ったからだ。もう既読をつけてしまったが、変にいじらないほうがいいだろう。

まさか自分じゃない、と俺は自分に言い聞かせた。ベッドにもぐる。しばらく寝よう。

それにしても藤澤の意外な一面を見たと思う。あんな風に、自分から告白をするような男だっただろうか。

ピロリン、と通知音が鳴った。目は閉じかかっていたにも関わらず、俺の手はすぐにスマホにまっすぐ伸びた。可愛らしい犬のアイコンが目にとまり、藤澤だ、それを判断できるくらいには冷静だった。

「既読スルー!?」

「今忙しいだけかな?」

「ごめん、嫌だった?」

文面からして焦りが伝わってくる。俺はすぐに既読をつけてしまったことを悔やんだ。

とりあえずこう送る。

「おい! 送り先間違えてね?笑」

「俺じゃないだろ」

すると、俺に負けない速さで既読がついた。画面上に少し沈黙が走る。

「間違えてないよ」

ん?

ベッドから起き上がり、もう一度確認する。

「本気で好きなんだ」

こいつ何を言っている。何を……

俺はゆっくりと深呼吸した。そうでもしなきゃ頭がおかしくなりそうだった。

まさに何とも言えぬ感情だった。不思議に思ったし、うれしいとも思ったし、恥ずかしいとも思ったし、正直なところ、ほんの少しだけ、気持ち悪いとも思った。けれど俺は、明らかに、藤澤の言葉に心を動かされた。

「そうか」とだけ、まずは送る。

その次の言葉を送ろうとした矢先、先手をつかれた。

「なんちゃってー!!笑笑ドッキリ大成功(*‘▽’)」

は、とも、あ、ともとれないあいまいな吐息がもれた。

「今日何の日でしょうー?」

弾かれたように、カレンダーを見る。

4月1日。

この野郎……

「エイプリルフールです!! 騙された? もしかして」

「ふざけんなよ笑 んなわけねーだろ」

「だよねえ」

これまた可愛い鳥のスタンプが送られてくる。俺はメッセージを何文字か打ち、すべて消し、また何か書いて、結局はまた一文字ずるすべて消した。何も送れなかった。送る資格のある言葉など思いつかなかった。

藤澤はそれで会話を終了させたつもりらしかった。ただ黄色い鳥のスタンプが笑っている。何も送られてこない、俺が何か送らないと動かない画面をただ見つめ、ふと手の震えに気づく。

無性に腹が立って、スマホを床に投げつけた。鈍い音が響いた。

藤澤はエイプリルフールじゃない日にこのメッセージを誰に送るのか、その疑問だけが俺の頭を支配して離さなかった。

Mrs. GREEN APPLE:all bad end

作品ページ作品ページ
次の話を読む

この作品はいかがでしたか?

79

コメント

0

👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!

チャット小説はテラーノベルアプリをインストール
テラーノベルのスクリーンショット
テラーノベル

電車の中でも寝る前のベッドの中でもサクサク快適に。
もっと読みたい!がどんどんみつかる。
「読んで」「書いて」毎日が楽しくなる小説アプリをダウンロードしよう。

Apple StoreGoogle Play Store
本棚

ホーム

本棚

検索

ストーリーを書く
本棚

通知

本棚

本棚