テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
199
44
文ストの太宰と中也のあにまんスレ見てきた後衝動がきした。
今思えば太宰って
十五歳
・出会って数日で「君は一生僕の犬だ」発言
・歓迎パーティー落とし穴計画(苦しんでる中也想像して興奮)
・今週の負け惜しみ中也発行(*週刊)
ストブリ
・「人工文字列で、あんなに僕が嫌悪する程の人間性を造れるはずがない」発言(突然の感情論)
・中也の忠実メイド改造計画
映画
・絶対中也が来ると信じての白雪姫作戦決行
・中也に起こされた後自分のこと白雪姫って言った
本編
・離反の時すらプレゼント♡(爆弾)を仕掛ける
・ムルソーでの双黒茶番劇中の運命発言
オトメディア(*原作者書き下ろし)
・「(眠れない夏の夜何をするか)天井を見ながら、どうやれば中也に嫌がらせができるか考えて過ごす」発言
しかも相棒だったのは3年だけで離反期間は4年。
22歳の時、中也は太宰のこと「元相棒」って言ってたけど太宰は中也を「相棒」と訂正した。
と結構やばい。
「中也からみたら何考えてるかわかんないだろうな・・・よし、書こう!」ってなったので書きました。
冷たい雨の降る、薄暗い夕暮れ時だった。
外はいつの間にやら本降りになっており、窓硝子を叩く不規則な雨音が、静まり返った部屋の中に奇妙な寂しさを運んでくる。
中原中也は、玄関の三和土で頑丈な革靴の紐を結び直しながら、小さく溜息を吐いた。その背中に、驚くほど軽くて細い重みが、音もなく圧し掛かってくる。
「ねえ、中也。本当に行ってしまうの。行かないでよ。私、寂しくて死んでしまうかもしれない」
背後から回された腕は、驚くほどに華奢だった。中也の外套の生地を、白く細い指先が、まるで頼りない蜘蛛の糸のようにきゅっと握り締めている。
太宰治。
最初からこの世に女として生まれ、最初からその歪な美しさで中也の人生を狂わせ続けている、唯一無二の相棒であり、恋人。
男の平均よりもはるかに小柄な中也と比べても、肩の線も驚くほどに薄い。
中也の胸元に押し付けられた頭からは、少し癖のある、濡れたような黒髪が肩まで流れており、そこから甘くて、どこか冷たい硝子のような匂いが漂ってくる。
中也は結び終えた靴の先をトントンと床に打ち付け、振り返りもせずに、その細い手首を掴んだ。
引き剥がそうと思えば、赤子の手を捻るよりも容易く引き剥がせる。それほどに、この女の身体には、生きるための執着という肉的な力強さが存在しなかった。
「四日間だけだ。仕事だって言ってんだろ。それ以上は引き延ばさねえし、予定通りに帰ってくる」
「四日も。そんなの、私にとっては四百年と同じだよ。中也のいない部屋なんて、まるで冷え切った墓標のようだ。ねえ、私を置いていかないで。或いは、鞄の中に詰めて連れていってよ。それなら邪魔はしないから」
太宰の声は、どこまでも鈴の音のように澄んでいて、同時に酷く平坦だった。
悲しんでいるような、縋り付いているような言葉の羅列。
けれど中也は、掴んだその手首から伝わる体温が、驚くほど冷徹に一定であることに気づいていた。
彼女の顔は見えない。中也の背中に額を押し当てているからだ。
どんな表情をしているのだろうか。
本当に泣きそうな顔をしているのか、それとも、いつものように虚空を見つめるような、何も映さない硝子玉の瞳で、ただ言葉だけを紡いでいるのか。
中也には、この女の考えていることが、何一つとして分からなかった。十五歳の頃から、何一つ。
「馬鹿言え。密輸ルートの交渉に、お前みたいな手間の掛かる手荷物を連れていけるかよ。……ほら、離せ。時間がねえ」
「嫌だ。離したら、中也はもう二度と帰ってこないような気がする。私をこのまま、暗い部屋に一人きりで腐らせるつもりなんだ。酷い人だね、中也は。私の心をこんなにも 掻き乱しておいて」
「掻き乱されてんのは、俺の方だっつうの」
中也は内心で悪態を吐きながら、ようやく身体を反転させた。
目の前に現れた太宰の顔は、驚くほどに整っていて、そして白かった。
少し長めの前髪の隙間から覗く大きな瞳は、濡れたように潤んでいる。けれど、その奥に宿る感情の色を、中也は読み解くことができない。
本当は、寂しくなどないのではないか。
ただ、自分を繋ぎ止めるための、或いは自分の反応を愉しむための、質の悪いお芝居なのではないか。
そんな疑念が頭を過る。過るのに、中也の胸は、彼女の「行かないで」という一言で、狂おしいほどに締め付けられていた。
過干渉。周りから見れば、自分は間違いなくこの女に首ったけで、異常なほどに執着しているように見えるだろう。実際、その通りだった。放っておけば、この華奢な身体は、本当に雨の日の水溜まりみたいに簡単に消えてなくなってしまいそうだからだ。
中也は小さく息を吐き出し、太宰の尖った顎を、手袋越しに少しだけ乱暴に持ち上げた。
「……晩飯は、冷蔵庫に入れてる。温めるだけで食えるようにしてあるから、好きに食え。初日は煮物で、二日目は焼き魚だ。三日目は適当にスープでも温めろ。いいな、絶対に抜くんじゃねえぞ。帰ってきた時に、また目方が減ってやがったら、その時は承知しねえからな」
「中也の作った料理は美味しいけれど、一人で食べるのは、砂を噛むのと同じだよ」
「贅沢言うな。四日くらい、一人でちゃんと生き延びてみせろ。お前は生命力だけは無駄にしぶといんだからよ」
太宰は不満そうに唇を尖らせた。その唇が、ほんの少しだけ朱に染まっているのが、やけに艶めかしい。
中也は己の衝動を抑えるように、太宰の額に、ぽつりと一度だけ口付けを落とした。
触れた肌は、やはりひんやりとしていて、生きている人間のものとは思えないほどだった。
「じゃあ、行ってくる。鍵はちゃんとかけろよ。ポートマフィアの最悪の幹部が、留守中に泥棒に入られたなんて笑えねえからな」
「行ってらっしゃい、中也。私の半分を、連れていってしまう罪深い人」
太宰はそれ以上、引き留めようとはしなかった。
あっさりと腕を解き、一歩後ろに下がって、両手を身体の前で揃えて中也を見送る。
その佇まいは、完璧な淑女のようでもあり、同時に、魂の抜け落ちた人形のようでもあった。
玄関の重い扉を閉め、鍵が内側からカチャリと閉まる音を確認してから、中也は雨の降る夜の街へと歩き出した。
傘を叩く激しい雨音が、先ほどまでの部屋の静寂を塗り潰していく。
車に乗り込み、運転席の部下に指示を出しながらも、中原中也の思考は、どうしてもあの薄暗い部屋に残してきた黒髪の女のことから離れられなかった。
(四年も放って置いたくせに、四日くらいで泣くなよな……、クソが)
ハンドルを握る手袋の奥で、中也は苦い生唾を飲み込んだ。
胸の奥を抉るような、酷い徒労感と、それ以上の熱い執着が、身体の芯で燻っている。
十五歳の頃、二人は出会い、そして付き合い始めた。
あの頃の太宰は、今よりももっと尖っていて、それでいて中也の腕の中でだけは、時折、壊れそうな脆さを見せていた。
自分たちは、二人で一つなのだと信じて疑わなかった。
それなのに、十八歳の時、太宰は何も言わずに中也の前から姿を消した。
音信不通。
ポートマフィアの裏切り者として、或いはただの失踪者として、彼女は中也の世界から完全に消滅した。
それからの四年間、中也がどれほどの地獄を這いずり回り、どれほどの酒を煽り、どれほど彼女の残像に呪われて過ごしたか、太宰は知りもしないだろう。
裏切られた怒りと、失った絶望。
ようやく、もうあいつはいないのだと、自然消滅したのだと自分に言い聞かせ、心の整理をつけようとしていた、まさにその時だった。
四年の歳月を経て、太宰治は何事もなかったかのような顔をして、再び中也の前に現れたのだ。
「やあ、中也。少し背が伸びたかい? 相変わらず帽子が似合わないね」
あの時の、すべてを馬鹿にしたような、それでいて昔と何も変わらない、鈴の転がるような声。
怒りで殴り飛ばそうとした中也の拳は、彼女の、相変わらず細くて華奢な肩を抱きしめることでしか消化できなかった。
そして、当然のように、二人はまた元の関係に戻った。
裏切りも、空白の四年間も、まるで最初から存在しなかったかのように、太宰は中也のベッドに潜り込み、中也の作った飯を食い、中也の外套に包まれて眠るようになった。
それが、中也には堪らなく恐ろしかった。
何を考えているのか、本当に分からない。
自分を愛しているから戻ってきたのか、それとも、ただ都合のいい居場所として中也を利用しているだけなのか。
どれだけ強く抱き締めても、骨が軋むほどの力を込めても、太宰はただ「痛いよ、中也」と、抑揚のない声で呟くだけで、決して彼女の本心を明かそうとはしなかった。
お互いがお互いなしでは生きていけないような、歪な共依存。
中也は、自分が太宰に完全に 絆されていることを自覚していた。彼女の不安定な部分を、自分が過干渉になることでしか埋められない。
けれど、太宰にとっての自分は、果たして何なのだろうか。
「……チッ」
窓の外を流れる横浜の夜景を見つめながら、中也は深く座席に背を預けた。
頭の中に浮かぶのは、四日間、自分のいない部屋で、一人きりで過ごす太宰の姿だった。
冷蔵庫に入れた飯を、あいつは本当に食べるだろうか。
面倒くさがって、そのまま布団に包まって、餓死する一歩手前まで眠り続けるのではないだろうか。
それとも、自分がいないことをいいことに、どこか別の場所へ、またふらりと消えてしまうのではないだろうか。
四日。
たったの四日だ。
四年もの間、自分を完全に放置して、別の空気を吸っていたくせに、どうして今更、四日間の別れだけで、あんなにも寂しそうな声を出すのか。
ずるい女だ、と中也は思う。
あいつの言葉のすべてが嘘に思えて、同時に、すべてが本物であってほしいと願ってしまう。
「おい」
中也は助手席の部下に声をかけた。
「は、はい! 幹部、何でしょうか」
「用件が済み次第、すぐに戻る。現地の連中との交渉は、最短で終わらせるぞ。余計な挨拶や接待はすべて省け。二日で片付ける」
「えっ、しかし、先方は四日間の予定で席を設けておりますが……」
「俺が二日で終わらせると言ったら、二日だ。文句があるなら、あの糞真面目な首領に直接言え」
中也は不機嫌そうに帽子を目深に被り直した。
部下は怯えたように「承知いたしました!」と頭を下げ、車内には再び、重苦しい沈黙が流れる。
中也はポケットの中で、携帯電話を握り締めた。
画面には、太宰からの連絡は何も入っていない。
きっと、今頃は部屋の明かりも点けずに、暗闇の中で天井でも見つめているのだろう。
自分がこれほどまでに彼女のことで頭を悩ませ、狂わされているというのに、当の太宰は、どこまでも平然と、不安定な海の底で揺られているのだ。
(分からねえ……。お前が何を望んでるのか、俺にはさっぱり分からねえよ、太宰)
けれど、分からないからこそ、中也は彼女の手を離すことができなかった。
あの冷え切った、けれど驚くほどに柔らかい、小さな女の子の手を。
もし、最初から彼女が男であったなら、もっと分かりやすく、拳と拳で殴り合い、互いの腹の内を曝け出せたのかもしれない。
けれど、最初から女の子として生まれ、その細い身体に似合わない巨大な闇を抱えた太宰治という存在は、中也にとって、生涯をかけても解けない、最も美しく、最もおぞましい謎だった。
雨は、夜が更けるにつれて、ますますその勢いを増していった。
中也は目を閉じ、ただ一刻も早く、あの薄暗い部屋へと帰るための算段を、頭の中で何度も何度も組み立て直していた。
何考えてるかわかんない薄情な太宰っていいよね・・・。
コメント
7件
太宰サァァァァァン!(芥川化) 出張四日だったけど二日で終わらせようって頑張るチュヤがかっこよくてすこ。相変わらず太宰サァン♀大好きでございますね。私もですよ。(^⁻^)ニタァ
ちゅやさんの不器用でありながらだざさんを溺愛、依存しているところがたまらなく好きです! これだざさん視点も気になりますね…… 寂しくて泣いているのかなぁ
読了しました。中也の「過干渉」と太宰の「分からなさ」のバランスが、もう…本当にずるいですね。特に、出張先で「二日で片付ける」と決意するところ、あれが中也の執着の深さを何より雄弁に語っていて痺れました。太宰の「行かないで」が本心なのか演技なのか、読者にも完全には読ませない絶妙な距離感が、この関係性の魅力を最大限に引き出していると思います。続き、気になります。