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駅のホームで風を浴びる。

「涼し…。」

6月にしては異常なほどに暑い今日、風がないと熱がこもって倒れてしまいそうだ。

『3番線に列車が参ります。黄色い点字ブロックまでお下がりください。』


俺の通っている「霹靂大学附属中学校」は、偏差値日本一ということで有名だ。

父さんも母さんも、学歴・職業ともに一流で、俺にも同じ人生を歩ませたがる。

…というと、教育虐待って思われるかもしれない。

でも、俺にとってはこれが良いんだ。

何故なら俺は、将来を考えられないくらい、空っぽな人間だから。

ただ学校っていう社会だと、こういう人間が評価されるんだよな。


「ふえぇぇぇぇん!!!!」

降りた駅のホームのどこかから、赤ちゃんが号泣してる声が聞こえる。

視線を向けると、お母さんと見られる人が周りにペコペコ謝っていた。

その光景を見たくなくて、改札へと背を向ける。

「すみません…!すぐ泣き止ませます…。」

それを見ている人たちの纏う、灰色の空気が苦しい。

『ピピッ』

うわ、最悪。ICカード残金切れじゃん。

後ろのサラリーマンの舌打ちが聞こえる。

「あ、すみません。」

慌てて列を退く。

今日、ついてないなぁ…。


「兄ちゃん、ちょっと時間ある?テレビの取材やねんけど。」

中学へ歩いていると、声をかけられた。

スタッフと思われる数人と、関西弁の二人(芸人?)に声をかけられた。

「僕ですか?」

「そうそう!中学生?頭良さそうやな!」

「顔も二枚目やな!ほんま羨ましいわ〜」

面倒だけど、どうせ5分程度だろう。受けることにした。

「え、中学どこなん?」

「霹大附中です。」

「霹大附中って、あの偏差値75の?!」

「75ってやばいやん!兄ちゃんほんま?!」

みんなと同じような反応。慣れてるけど、なんとなく居心地が悪い。

「俺ら大阪出身やねんけど、東京って怖ない?」

「怖い、ですかね…」

「怖いっていうか、みんな同じ色してんねん!分かる?」

「せやねん!灰色やねん!みんな辛気臭い顔して歩いとるし。」

…。

「すみません。僕時間無いんでここらで。」

「あ、遅刻寸前やったんか!呼び止めてすまんな〜!」

「学校頑張ってきや〜」

灰色。俺がさっき感じた色。

多分、俺も灰色の雰囲気で、辛気臭い顔してるんだろうな。

意味もなく空を見上げる。

淀んだ灰色…ではなく、澄んだ水色だったのは、最高の皮肉だ。

君は平和を求め、僕は幸せを知らない。

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