テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
しめさば
1,633
157
#独占欲
5分ほど歩いた養魚場で、コイを20匹、合計115kgほどを貰って収納。
更にはコイの餌も10kgほど貰った。
なおこのコイの餌については、ホーニャさんからこんな説明を受けている。
「この餌は水を少し加えて練って使うのニャア。水を加えると臭くなるのニャアけれど、その臭さが魚を引きつけるのニャア。コイのほかに、フナなんかも寄ってくると思うのニャ」
なお材料は、『藻とイモとミミズを混ぜ込んでミンチにした後、発酵させて乾燥させたもの』だそうだ。
確かに草食系雑食のコイには良さそうな成分だと思う。
なおこれまで会った猫獣人さんは全員女性で、年齢は様々だけれどそれぞれ綺麗だったり可愛かったりする。
ホーニャさんもそうなんだけれど、彼女の場合は『残念系美女』という感じ。
髪は黒色で首筋くらいのショートだけれど寝癖がついているし、Tシャツも短パンもしわだらけでダブダブ。
そのTシャツもショートパンツも大きすぎて、動きやすそうではあるけれど、しっかり見てはいけないという状態。
具体的にはTシャツの首回りとか袖口からとか、尻尾部分や脚の隙間から見えてはいけない部分が見えそうというか、チラチラ見えていたというか。
年齢はミーニャさんよりちょっと上の20代前半くらいで、髪と服を整えて寝起きという顔さえしっかりすれば、可愛い系美女といって通用すると思う。
小柄な割に胸も大きかったし。
だから余計にぶかぶかのTシャツでは……
というのは置いておいて、餌が手に入った。
前夜祭開始までにはまだ1時間ちょっとある。
ここはやっぱり、釣りだろう。
ジョンにもそう言っておいたし。
ということで、俺はアクラ川の方へ。
腕章をしているからか、門もフリーパスで通れる。
村壁の外へ出てアクラ川の堤防を上ったところで、釣り場を確認するべく魔法で周囲を探索。
この辺のアクラ川は、湖のように幅が広く、流れがほとんど無い。
魔法によると深さは流心部分で3m程度、周辺は1mあるかないか。
周りはアシが茂っていて、草食いを釣ったミシュエルミー川の河口近くと少し似た雰囲気。
水も汽水だからか、わずかに海っぽい匂いがする。
さて、足場が比較的確かで、かつそこそこ深い場所の近くに行けそうなのは……
少し上流にある、小川が流れ込んでいる場所付近が少し護岸工事がされていて、足場が良さそうだと判断。
移動して、一番川の中心に近いところに陣取る。
さて、今回のメインターゲットは、やっぱりコイだろう。
養魚場で丸々太った50cm超のコイを20匹確保したけれど、これはミーニャさんの分。
俺が自由に食べられる分も確保しておきたい。
本音は単に大物を釣りたい、というだけなのだけれど。
コイを釣る仕掛けというと、やっぱり吸い込み釣りだろう。
餌の団子に釣り針を4~6本埋め込むという、コイ専用の独特な仕掛けだ。
コイは餌を水ごと吸い込んで、口中で水と餌とをわけて食べるという習性がある。
だから水の中で溶けかけた餌の団子を吸い込もうとして、中に仕掛けていた針ごと飲み込んでしまう。
結果口に針が引っかかって釣れる、という仕組みだ。
そして手に入れた餌は、水で練ることが出来るタイプ。
吸い込み釣り用の団子をつくるのに、ちょうどいい。
もちろんこの世界では、別の釣り方があるのかもしれない。
俺の知識は、前世に別の世界で得たものだから。
だからといって、この世界の釣り方で釣らないといけないということはないだろう。
このコイ用の吸い込み釣り仕掛けは、既に準備済みだ。
ミーニャさんにコイが釣れるという話を聞いた時に、つい作ってしまったので。
ちょうどいいから今回は、これを試そう。
スピニングリール付きの4.5mの投げ竿に、らせん状の器具が付いたり、針が同じ高さに5本付いていたり、更に先にハリスと針が伸びていたりする、独特な吸い込み釣り用の仕掛けをつけて。
養魚場で貰った餌に水を少量加えて練って、らせん状の器具を中心に直径5cm位のダンゴを作り、中に釣り針5本を埋め込んで。
更に1本離れた針にも、少し固めに練ったダンゴをつけて。
投げる場所は、川底が少しえぐれている様な場所がいい。
あとは深さが変わる、海でいうところのカケアガリとか。
とりあえずそれっぽい場所を確認したところで、練ったダンゴが落ちないよう魔法併用で丁寧に投げて、餌ダンゴを川底に着底させる。
それにしてもこの餌、確かに臭う。
他では感じたことがない、表現しにくい独特の匂いだ。
それもかなり強め。
今回は収納内で練ったから、手に匂いはついていない筈だ。
もしコイが釣れた際も、取り込み作業は収納内でやって、匂いが手や服につかないようにしよう。
さて前世のガイドブックには、こう記されていた。
『コイ釣りは、待ちの釣りである』と。
だからコイの通るルートを見定めて仕掛けを放り込んだ上、警戒されない様に気配を殺してじっと待つという釣り方になると。
つまり一箇所だけでは、釣れるまでに時間がかかる可能性が高い。
もしくは今放り込んだ餌が通り道から遠い場合、気づかれない可能性がある。
だから何本か竿を出して、より多くの場所に仕掛けた方がいい。
ということで今度は3.6mの竿に同じように仕掛けをつけて、投入して、あともう1本、ちょっと短い2.8mの竿にも同じように……
それぞれ少し離れた3カ所に投入して、コイが来るのを待ち受ける。
と、臭いにつられたのか元々周遊コースがそこだったのか、最初に投げた餌へとコイが近づいてきた。
大きいダンゴ部分の横で立ち止まって、口をダンゴに近づけて、付近の餌を水ごと吸い込もうとする。
水流にダンゴが崩れ、針が口へと入って……
がっと引き込まれたところで、俺は竿を立てて針を口へと引っかける。
成功、ヒットだ!
持った竿が強く引っ張られる。
重いというか無茶苦茶に強い引きだ。
前に草食いを釣った時より重く感じる。
この引きを楽しみつつ、力比べをして取り込むというのも楽しみなのだろう。
とは思うけれど、他の竿を出した場所にも、コイが近づいているのが見える。
だからこの1匹に時間はかけられない。
ということで、引っかかったコイごと竿や仕掛けを収納。
収納内で針を外しつつ、サイズを確認。
でかい。
前に釣った草食いより全長は短いけれど、それでも80cmくらいはある。
先程養魚場で貰ったコイよりずっと大きいし、重さも8,517gと重い。
ただ養魚場のコイに比べると、少し体型が細い気がする。
あっちは丸々と太っていたし。
そう思ったところで、別の仕掛けのダンゴ餌をコイが吸い込み始めた。
そちらの竿に手をやって、いつでも合わせをかけられるようにする。
コメント
1件
**はる。だわ🔥** 第92話「吸い込み釣り」読んだよ! 釣り描写がとにかく細かくてリアル…餌の仕掛け方とかコイの習性とか、めちゃくちゃ知識感じるわ。 主人公が「待ちの釣り」って言いながら3本竿出して、収納で瞬殺で取り込むスタイルが逞しい。 養魚場の丸々太ったコイと野性味ある80cmオーバーの大物、どっちも美味そうで涎出る。 ホーニャさんの「残念系美女」っぷりも笑った。寝癖Tシャツでも可愛いってずるいよな! 次回も楽しみにしてる!🔥