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「僕と、住みませんか…?///」
「· · ·はあ!?」
episode2
急な誘いで混乱している。ただでさえじーちゃんが倒れてやばい状況なのに、なんなんだこの人…。
「あ、ご、ごめん…。困らせるつもりなくて…。ただ、ちゃんと子供なんだから甘えてほしかったっていうか…。ちゃんと休んでほしかったっていうか…。」
「……」
この人…
「笑くん!?何で…泣いてるの?」
「え?…俺、泣いてた…?」
何でだろ…自然と涙が…。
「恐かった?ごめんなさい!確かに怖いよね!ホントごめんなさい!!あの…」
この人、安心するな…。確かに俺頑張りすぎてるのかも。じーちゃんと過ごす日々は楽しいけど、どこかで遠慮してる自分がいた。だからじーちゃんは、いつも、遠慮しているんだ…。俺に気を使わせないように…
だったら…
「いいよ。」
「え?」
「一緒に住みたい…!!」
大丈夫だ、この人なら。俺の事、ちゃんと見てくれてる。
すると、類さんは軽く放心状態になっていた。
「る、類さん…?」
「ちょ、ちょっとまって!夢?これは夢ですか!?嘘!?待って待って待って!!」
「あははっ!!、何だよ、そっちから言い出したんだろ?w」
「そうなんだけど…!」
「え?お兄さんいたの?」
看護師さんに事を伝えると、少し照れながらそう言った。
「兄の類といいます。笑はこちらが預かりますので警察へは結構です。祖父がこれからお世話になります。」
まるで台本を読んでいるかのような完璧さ。流石に看護師さんも圧倒される。それに…
(やだ、このお兄さんイケメーン…♥)
顔の効果もあるみたいだ…。
「別にいいわ。でも、御見舞は来てあげてね。」
「はい、勿論!!」
慌てて返事をする。そりゃあまあ、お見舞いは行くけど…。
「類さんの家ってこの辺なの?」
あれからじーちゃんにあいさつをして病院を後にした。じーちゃんは相変わらず意識がないらしい…。大丈夫と言われたけど、やっぱ心配だよ…。
「うん、この辺だよ。高校に近いとこにしたからね。」
類さんはそう言って俺に笑って見せた。
なんか、この人の笑顔、安心するな…。全部が、消えていくみたい。
「一人暮らし?」
「ううん、でも、訳あって親とは離れてて…。あ、もうすぐ着くよ。」
今誤魔化したような…。
少し先を行くと、一つの一軒家が見えた。白く、上品な作りだ。
「…あのさ、もしかして類さん、金持ち?」
「違うよwさあ、中へ入って。」
「お邪魔します…。」
やはり外とは違和感なく、中も上品。
すると類さんが急にうずくまった。
「類さん!?大丈夫?」
「うん、いや、家に推しが来てるって思って…なんか、信じられなくって…//」
「だから推しじゃ無いって…。」
「そうなんだけど…!!」
やっぱ、変な人…。
そしてむくっと起き上がるとキッチンの方へ足を運んだ。
「リビングは奥だから、適当にくつろいでてね。」
「はーい。」
「うおっ、ソファだ。」
リビングにはソファがあり、少し感動…。
人生でソファという物を見たことが無かったからなんだか緊張するな…。
普通に座ればいいのか、座り方があるのか…。
「う〜ん…、、分からねえ…。」
「あれ?ショウにゃ、笑くんまだ座ってなかったの?くつろいでいいよ。」
もたもたしていると、類さんがお茶乗せたおぼんを持ってきてくれた。
「…そのさ、」
「?」
「ちょくちょく俺のことショウにゃんって呼びそうになってない?」
「!!ギク…ごめん、できるだけ間違えないように…」
「だからさ、もう、ショウにゃんって呼んでいいよ?」
「え?…でも…」
「大丈夫、それに、類さんには気を使わせたくないし…。」
「!…、僕死んでもいいかも…///」
「え!?駄目だよ!!」
「だって、ショウにゃんにそんなこと言われたら…僕…///」
ショウにゃん愛がすごすぎだろ…。
類さんはしばらくして、お茶をテーブルに置き、俺の隣に座った。
「類さん」
「はい?」
「なんかルールとかある?家の。」
「ルール?…特に無いよ。自由に過ごしてね。」
「…本当にいいのかな…」
「何が?」
「いや、なんか申し訳無いなって…。類さんに気ぃ使わせたかも…。今からでも遅くないからさ、警察に…」
行こう。と言おうとすると類さんの人差し指で口を抑えられる。
「これは僕が言ったことだから、そんなこと考えなくていいよ。ショウにゃんが居てくれる。それだけで、僕の疲れは癒やしに変わるんだよ?だからさ、甘えてよ。」
類さんは、そう言って俺に微笑んだ
そう言われると…何も言えない…。
「…じゃあ、早速だけど…お腹すいた…///」
「!うん!今すぐ用意するね!」
そう言ってそそくさとキッチンへ向かう類さんが、本当に不良なのかと疑ってしまう。
紳士な行動、安心させる笑顔、包むような優しさ。
どれも、不良には当てはまらない…。やっぱ、変な人…。
じーちゃん…大丈夫かな…
ガッシャーン!
突然の皿が割れたような音。
!?な、何事!?
類さんが心配になり、走ってキッチンに向かう。
「類さん!?、だいじょ…」
そこには、真っ黒な何かを乗っけた鍋と、お皿の破片が散らばっていた。
「ショウにゃん危ないから、近づかないで!」
この光景で全てが分かった…。
この人…
料理下手なんだ!
「類さん、無理して作らなくてもいいよ…?」
「え!?…ごめんなさい…。」
かなり落ち込んでるな…
「とりあえず、片付けよ?」
すると勢い良く立ち上がり、
「だ、大丈夫!片付けは、自分が!うわあ!」
ゴテン…。
勢いよく転ける。
多分この人、天然だな。
「類さん、一緒に作ろう?w」
「ごめんなさい…!僕がバカなばっかりに…」
あれから二人で片付け、一応のため夕食は俺が作ることにした。
「良いって!こっちこそごめん。料理出来ないなら断ればいいのに…。」
「だって、こんなかっこ悪いとこ、推しには見せたくない…。」
「全然かっこ悪くないし、なんなら今までが完璧すぎてちょっと怖かったし…。安心?した。」
「ショウにゃん…!やっぱ、天使!神!尊い!生まれてきてくれてありがとう…!」
「そんなに…w」
夕食を食べ終わり、類さんは片付け、俺は荷物を整理することになった。
服は、類さんのクローゼットに入れればいいとのこと。元々漫画とか、ゲームとかおもちゃとか…そういうのやらなかったから俺の荷物は少なかった。まあ、しばらくの間ってだけだし…。
「ショウにゃん、お風呂入る?」
類さんがキッチンから顔を覗かせる。
「いや、類さんからでいいよ。」
「僕、片付けもうちょっと長引きそうだし、お先にどうぞ!」
「…じゃあ、お言葉に甘えて…。」
「行ってらっしゃい!」
なんか、テンション上がってる…?
「類さん、なんか元気だね…。」
「そう?だって、ショウにゃんの手料理食べれたんだもん!嬉しいに決まってるよ!」
そういえば食べた時、涙流してたな…この人
「まあ、俺ショウにゃんじゃねーけど…。んじゃ、入ってきます。」
「は~い!」
お風呂気持ち〜!疲れが取れる。やっぱお風呂って一つの癒やしアイテムだよな…。
そういや、いつお風呂入れたんだ?
まあ、いいか…。
じーちゃん、大丈夫かな…。意識戻ったかな。何もないといいけど…。
あー…しかし、予想もしなかったな…まさか、俺にそっくりの活動者がいて、そのファンに偶然会うなんて…。しかもその人の家に居座ることになったし。
何もないといいけど。
「ショウにゃーん、どう、湯加減は?」
ボーッとしていると、ドアの向こうから類さんの声がした。
「大丈夫!めっちゃ気持ち良い!」
「え!///そっか…良かった…///」
類さんも入りたいだろうし、もう上がろうかな…。
下にタオルを巻き、上がろうと扉に手を掴み開けると、
そこには類さんが居た。
「わ!?///ショウにゃん!///」
「あ、ごめん、いたんd…」
「ご、ごめん!///」
類さんは慌てて、その場から逃げるように去って行こうとした。
あれ?類さん、なんか持ってたよな…。
気になって類さんの手首を、思いっきり引っ張ると、類さんが足を滑らせ、俺を押し倒した。