「あ…///ショウにゃん…///」
「…ごめん…。」
episode3
やべっ…。どうしよう…この状況。顔、近いっ…!
お互いの心音が伝わるほどの距離。
「ショウにゃん…///」
声がいつもより近く、息すら伝わるほど。
やばいやばいやばい!なんだコレ!?なんだよこの緊張感…!しかも俺、上半身裸だし…!
だ、大丈夫だ!今からでも押し返して…!
「ちょ、ちょっと…!類さん!ごめん!あの…だから…!」
ピーンポーン
この緊張感の中、チャイムが鳴る。
「あー!出なくていいの!?」
「…そうだね、出なきゃ。」
類さんが俺のそばを離れると、緊張感が一気に取れた。
はー!マジで!な·ん·な·ん·だ!
急いでパジャマに着替え、リビングにダイブする。
ヤバい…まだ顔熱い…。
「あ、ショウにゃん…。」
類さんが一つのダンボールを持ってリビングに入ってきた。きっと宅配便だったんだろう。
「類さん…。ご、ごめん!俺が引っ張ったから…!」
「だ、大丈夫、ショウにゃんは悪くないよ。気にしないでね。」
慌てる俺にそう言って笑いかける。
大丈夫だ。特に怒った様子は無いと…。
「あ、そ、そうだ、類さん俺って何処に寝りゃいいの…?」
「あー…そういえばそうだね…。どっかに部屋あったかな…。」
そう言うと類さんはスマホを片手に「ちょっとごめんね」と笑いかけると廊下の奥へ消えていった。
まあ、こんな大豪邸だし、部屋はいくらでもあるだろう。
でも、もし無かったら…?
『ショウにゃん…///』
うわああああ!!何思い出してんだよ今!なんだよ!もう終わった事だろ!?考えんな〜!
その思考を捨てるべく、頭を左右に激しく振る。
だ、大丈夫だ…。そうだ、類さんはまだかな〜…。
違うことに意識するため類さんを探そうと廊下を進む。
そういや、この廊下は初めてだな…。なんだか薄暗くて若干怖い…。何でここだけ電気付いてないんだろ。
「類さーん…。」
やべ、なんかガチめに怖くなってきたな。どうしよ!どうしよ!ってか長すぎだろ、廊下!なんでこんなに長いんだよ!
外はもうすっかり暗く、白の壁紙が不気味に感じる。
すると、壁を触っていた右手が何かに触れたのを感じた。
「ドアノブ?どうしてこんな所に…?」
本当は開けない方が身のためなのかもしれないが、今だけはホラー映画の主人公の気持ちが分かる。
そっと、ドアノブに手を掛け、ゆっくり外側に引く…。
「ショウにゃん!?」
すると、暗闇から類さんの姿が見えた。
「あ…」
「こんなところで何してるの?」
まずい…。
「いや…その…る、類さん遅いなーって…。」
「…この部屋…気になる?」
類さんに笑顔が無い!
怒ってるよ…怒ってるよ…!
「い、いや…なんだろなーって…あはは…。」
俺は下手か…
「入る?」
「ゑ。」
「そんなに気になるなら。」
「いいの?」
そう言うと類さんはコクリと頷く。
そんな簡単に入れるんだ…。
再度ドアノブに手を掛け開こうとすると
「だーめ。」
「は?」
目の前で類さんが、両手を広げ、微笑んだ。
「この部屋は物置きなんだ。推しに汚いところなんて見せたくないからね。」
「…じゃあ何でいいよって言ったの…。」
「ごめんね。からかいたくなって笑」
· · ·はあ!?
「なんだよ!何がからかいたくなって…だよ!こちとらめっちゃ怖かったんだからな!」
「え!?ご、ごめん!」
「…はあ〜…。もう寝る!結局、俺ってどこで寝ればいいの…?」
「あ〜…それが…。」
「?」
「え?類さんの部屋?」
類さんに「ついて来て」と言われ、後を追うとたどり着いたのは類さんの部屋だった。
「うん、実は、他に部屋が埋まってて…。ごめんね。」
「んや、大丈夫。ありがとう。」
下で布団ひいて寝るか…。
てか、いつの間にか、気まずくなくなってる…。もしかして、類さんが俺をからかったのって…
「…やっぱ完璧すぎだな…。類さんは…。」
「類さーん!布団ある?」
口を濯ぎ終わったのを確認して、類さんの顔を覗く。
「ショウにゃん!///何?」
「まだお風呂入ってないのに歯みがき?」
「うん、もう9時だし、何も食べないからね。それでどうしたの?」
「いや、布団何処にあんのかなーって…」
「なんで布団?」
「え?下で寝るのに布団無いと体痛いだろ。まあ、無かったら全然いいけど…。」
「…」
え?無言?え?なんか俺まずいこと言っちゃった?
「…類さん…?」
「…ショウにゃんはベッドだよ?」
「え?何でだよ。類さんのベッドなんだから俺が寝る訳にはいかないし。」
「ショ、ショウにゃんを下で寝さす訳にはいかないよ!ショウにゃんはベッド!!!」
「類さんがベッド!!!っていうか、俺ショウにゃんじゃ無いし!」
「駄目だよ!ショウにゃん!大人しくベッドで寝なさい!」
「なんでだよ!類さんが寝てください!」
「うっ…💘だ、駄目だよ!」
「そっちこそ駄目だ!」
「…ショウにゃんは、甘える側なの!」
「今はそれ関係ない!」
「ある!」
「ない!」
…なんだこの言い合い…。類さんは素直じゃない…。
「類さんがベッドなの!」
「…じゃ、じゃあ…」
やっと分かってくれた…。
「二人で寝よう…よ。///」
…は?
「· · ·ごめん、ちょっとあんま聞こえなかった…。な、なんて?」
「…い、一緒に寝たいって、言った。」
…いやいや、お風呂で気まずくなったばっかりじゃん…。何言ってんの、この人?
「何言ってんの?って顔しないで下さい…///」
「…いや、だって…その…お風呂の件もあるわけだし、気まずくなるじゃん。」
「そうだけど…!…このままショウにゃんと喧嘩したままは嫌なので。」
喧嘩って、大袈裟な…。
まあ、でも確かに、きりがないからな…。
「…分かった。一緒に寝よ。」
すると類さんの顔が太陽の光を浴びたように明るくなった。
「いいの!?ホントに!?///」
「え、うん。」
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