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コメント
1件
うわぁ……第9話、一気に空気変わったね😳💦 れん登場で、今までの“優しい監禁”が完全に違う色に見えてきた…。なぎの「好き」が純粋なのか執着なのか、ますます分からなくなったよ。 最後の「なぎもれんを怖がってる」って一文、めっちゃ刺さった…。みすずの気持ち、どう動くんだろ…続きが気になりすぎる!!🥺💕
『蓮見れん』
それから、数日が経った。
みすずは、少しずつ家の中でできることを増やしていた。
朝ご飯を作る。
洗濯をする。
部屋を掃除する。
最初は、なぎに言われなければ何もしなかった。
けれど最近は。
「今日、俺がやる」
そう言うことも増えてきた。
なぎは、それを嬉しそうに見ていた。
「みすず、卵取って」
「分かった」
そんな穏やかな毎日。
まるで。
普通の恋人同士みたいだった。
――けれど。
みすずは知っている。
ここから出られないことを。
玄関の鍵を握っているのは、なぎだということを。
自分がここにいる理由も。
なぎが自分を連れてきたことも。
全部、忘れてはいない。
ただ。
それでも。
なぎと一緒にいる時間が、嫌いになれなくなっていた。
そんなある日の午後。
ピンポーン。
玄関のチャイムが鳴った。
みすずが顔を上げる。
「……誰?」
なぎの表情が変わった。
「……れん」
「れん?」
「うん」
なぎはすぐに玄関へ向かった。
みすずは少し離れた場所から、その様子を見ていた。
ガチャ。
鍵が開く。
「久しぶりだな、なぎ」
低い声。
玄関に立っていたのは、黒髪の青年だった。
蓮見れん。
なぎと同じくらいの年齢に見える。
穏やかな顔をしている。
けれど。
目だけが、笑っていなかった。
「……何しに来た」
なぎの声も、いつもの優しさとは違う。
「冷たいな」
「用件は?」
れんは家の中へ視線を向ける。
そして。
みすずと目が合った。
「……ああ」
れんの目が細くなる。
「やっぱり、いるんだな」
みすずの身体が固まる。
「……誰?」
なぎが間に入る。
「関係ない」
「関係ない?」
れんが笑う。
「俺には大いに関係あるよ」
「帰れ」
「嫌だね」
二人の間に、張り詰めた空気が流れる。
みすずには、何が起きているのか分からない。
ただ。
れんが自分を見る目が、少しだけおかしい。
まるで。
自分のことを知っているような。
「……みすず」
れんが名前を呼んだ。
「なんで、俺の名前を……」
「なぎから聞いた」
「……そう」
れんは少しだけ笑った。
「なら、話は早い」
「れん」
なぎが低い声で止める。
「みすずには何も言うな」
「どうして?」
「関係ないから」
「違うだろ」
れんの声が冷たくなる。
「こいつは、お前に連れてこられたんだろ」
みすずの目が見開かれる。
「……え?」
なぎが黙る。
その沈黙だけで。
みすずには分かった。
「なぎ……?」
「みすず」
「……本当なの?」
なぎは答えない。
れんが代わりに言った。
「本当だよ」
「……」
「こいつがお前をここに連れてきた」
みすずの顔から血の気が引く。
分かっていたはずだった。
自分は自由にここへ来たわけじゃない。
なぎに連れてこられた。
それなのに。
改めて誰かに言葉にされると。
胸が痛かった。
「れん」
なぎが言う。
「もう帰れ」
「帰らない」
「……」
「お前が何をしようとしてるのか、俺は知ってる」
れんはなぎを睨んだ。
「みすずを自分のものにしたいんだろ」
「違う」
「じゃあ何だ?」
「……好きなんだ」
その言葉に。
みすずの胸が大きく跳ねた。
けれど。
れんは笑わなかった。
「それを理由に監禁するのか?」
「……」
「外にも出さない」
「……」
「逃げられないようにして」
れんは一歩、なぎへ近づく。
「それで愛してるって言うのか?」
なぎの拳が、ぎゅっと握られる。
「……お前には関係ない」
「あるよ」
れんは静かに答えた。
「俺は、お前を止めに来たんだから」
みすずは二人を見つめる。
なぎとれん。
昔からの知り合いなのかもしれない。
でも。
今の二人は。
完全に敵同士だった。
「みすず」
れんが振り返る。
「俺は、お前の味方だとは言わない」
「……え?」
「俺はなぎを止めたいだけだ」
れんは真っ直ぐみすずを見る。
「だから、お前が俺を信用する必要はない」
そして。
「ただ――」
一瞬だけ、声が柔らかくなる。
「逃げたいと思ったときは、俺に言え」
なぎの表情が変わった。
「れん」
「何?」
「余計なことするな」
「だったら、お前がみすずを自由にすればいい」
「……」
沈黙。
みすずは二人の間に立っていた。
怖い。
けれど。
初めてだった。
この場所から出るという選択肢を。
誰かが、自分の前に置いてくれたのは。
れんは玄関へ向かった。
そして、扉を開ける前に振り返る。
「じゃあな、みすず」
「……うん」
「また来る」
なぎが睨む。
「来るな」
れんは少し笑った。
「それは無理だな」
扉が閉まる。
静かになった部屋。
みすずは、なぎを見る。
「……なぎ」
「……何?」
「れんって」
少し迷ってから。
「……本当に敵なの?」
なぎは答えなかった。
ただ。
みすずの手を、いつもより強く握った。
その手から。
小さな震えが伝わってきた。
みすずは初めて気づいた。
――なぎも。
れんのことを、怖がっている。