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本人様には関係ございません。
本人様にご迷惑のない様にお願いします。
フィクションです。
ギルドパロです。非常に捏造多いです。
ぶるーくを守ったのはよかったけど、頭を打ってしまった。
あまりよくない、というか普通によくない。
脳震盪の症状が出てもおかしくないけど、それまでに帰ればみんながいるし大丈夫かな。
「きんさん…ごめん、僕が、…」
「あやまらないでよ、俺がやりたくてやったんだし」
ぶるーくが守れてよかったよ。本当だよ。
微笑みかけてあげても、依然ぶるーくは暗い表情で。
打った頭を押さえつつ、たんこぶが出来ていないかを確認する。
腫れてはいない、本当に脳が大丈夫かどうかってだけだな。
「頭、打っちゃったよね、いっかいここで休む?僕がおぶっていこうか」
「いやいや、大丈夫だって!大したことないよ」
「…だめでしょ!?大丈夫な訳ないじゃん!!」
「ぶるーく…」
「っ、そんな訳ないじゃん…」
「ううん、平気だから。ありがとねぶるーく」
「……、信じるからね」
「じゃあ帰ろっか」
信じて、とは言えなかった。
帰ってこれたのは良かったけど、視界が白み始めた。
これはバッチリ脳震盪だ、吐き気も出てきたし平衡感覚が怪しい。
ぶるーくは俺が庇ったせいかさっきからずっとへこんでいて、それをきりやんが目で訴えてくる。
「着替えてこいお前ら、すぐ飯食べるぞ」
「はーい」
「…うん」
ぶるーく、返事も元気ないじゃん。
そんなにへこまれちゃ、助けたのが正解かわかんなくなっちゃうよ。
まあ不正解だとしても俺は多分ぶるーくを助けたけど。
あぁ、だめだこれは。
視界が遠くなっていく、音も消えていく。
感覚がなくなって、足が床についているかわからない。
ごめんぶるーく、こんなつもりはなかった。
絶対自分を責めるだろうけど、それは違う。
俺が勝手にやったことだから、何も気にしなくていいんだよ。
ーきんとき!!ー
…優しいぶるーくには無理な話か
(…?なんだ、ここ……)
目を開く感覚がなくても景色が見えて、不思議な感覚を覚える。
一面真っ暗だけど、確かに見えている。
(これ…夢か?)
脳震盪で倒れて、果たしてどれくらい経ったのだろう。
みんなに迷惑かけちゃうし早いところ起きないといけない。
(…どうやって起きるんだ、これ)
手も足も感覚がなくて、思考しか出来ない。
匂いは…、エタノールの匂い。
きっと今自分は医務室に寝かされているんだろう。
匂いがわかるということはもうすぐ起きれるのでは。
(目、開けれるかな)
瞬きをしようとしても動かない、閉じたまま、自分の瞼は動くことはなく。
ただただ真っ暗な世界がいつでも目の前にあった。
(誰かいないのか〜…)
心で呼びかけても返事があるわけがなく、何もできないのでもう一度眠るか考える。
その時だった。
忘れもしない、昼食の匂いが近づいてきたのを感じた。
(きりやんだ)
まだ耳は覚醒していないらしく、音は聞こえないが、匂いはわかった。
ご飯と肉の匂いで、今は昼時なのだとわかる。
きっとご飯を済ませたきりやんが俺の経過観察にきたんだろう。
(意識、あるよ)
そう言っても、何もない。
まあ、そりゃあそうですよね。
今日の収穫は嗅覚らしい。
それ以外はまだ何もわからないから、もう一度眠ることにした。
(おやすみ、きりやん)
(…お)
2度目の精神の目覚め。
身体が寝かされていることを理解できるようになった。
動かないけど、感覚はある。
(果たして、今はいつなんだろうか)
曜日感覚もへったくれもないが、目覚めてしまったので少し考え事をすることにする。
身体の感覚が戻ってきたおかげで気温がわかるようになった。
眠る前より空気が冷たいので、もしかしたら冬真っ盛りの頃合いになっているのかもしれない。
それだとだいぶ寝ていることになる。
(ぶるーく…大丈夫かな)
1番の気掛かりはぶるーくだった。
俺が勝手にしたことだから気にしないで欲しいけど、ぶるーくは気にしないなんてできるわけがない。
メンタル的に負荷がかかってしまっただろうから、起きたらとりあえずメンタルケアをしないと。
(それで言うと、ナカムもだな…)
(俺がいなくても大丈夫だろうけど…いやでもナカムは…)
そう考えていると、空気が動いた。
(誰か、来てくれたんだ)
匂いはあまりしない、動きは早くて、すぐ俺のそばにきた。
何かを話しているのだろうか、小さく空気が動く。
震えた手で俺の手が握られて、そこでやっと手の小ささでナカムだとわかった。
(ごめんね、心配かけてごめん)
手を握り返してあげたいのに、できない。
せめて声は聞きたいと、耳を必死に傾ける。
その時だった。
俺の手に、水がついた。
温かい、ほんの少しの水だった。
(…泣いてる?)
手が強い力で握られる。
ナカムが泣いてるんだ。
…声を聞かなきゃ。
起きてるよって、伝えなきゃ。
ーんーきー…
(…!)
今、名前 呼ばれた…?
(もう一回、もう一回呼んで、)
(ねえ、もう一回だけ、引っ張り上げてよ、起きれそうなんだ、今なら)
(ナカムのそばにいたいから…!!)
ー急かしてごめー、もーいくねー
(待って、行かないで)
(今起きなきゃ…)
(ナカムが泣いてるのに何もできないなんて俺は嫌だ……!!!)
ーきんとき、いつもありがとうー
(そんなのこっちだって…!)
早く、早く起きないとナカムが行ってしまう。
もう手が離されてしまった、残された温もりがやけに虚しい。
目を、目を開け。
手を伸ばせ。
届くだろ、届けるんだ。
「また、くるね」
今まで以上に鮮明に声が聞こえた。
目覚めた俺の目には、医務室から出ようとするナカムが写っていた。
「っ……、っ…!!!」
声が、でない
「…!!!」
届いてよ
「………っ…!!」
ゆっくりと歩いて行くナカムに、上体を起こして手を伸ばす。
いかないで。
手を伸ばしたその時、点滴の管が刺さったままだったからか、点滴スタンドが酷い音を立てて倒れた。
その音を聞いたナカムが肩をはねさせてこちらを振り返る。
そして、泣き腫らしたその目を、大きく見開いた。
「き、んとき…」
「ぉ、は…よ……」
「……………きんときっ…!!」
倒れた点滴を気にすることなく駆け寄って来たナカムに微笑みを投げかける。
抱きついてきた彼は安堵の表情で、顔は涙でぐちゃぐちゃになっていた。
「よかった………、…よかった…!!きんとき、も、もう、起きないんじゃないかって、怖くて、俺……………!!」
「ごめ、ね」
「…ううん。…起きてくれたから、いいの」
「…ありがと」
グズグズと鼻を鳴らすナカムの背中を優しく撫でる。
「……ずっと、そばにいて」
「うん」
「ケガ、しないで」
「それは…無理かも」
「…。……あ、みんなに言わないと」
泣き疲れたのか、テンションが低いナカムがインカムを俺に向けてきた。
「ん、」
「ん…?」
「自分の口で、言って」
優しい笑顔になったナカムが、ほら と促す。
渡されたインカムを口元に持っていき、息を吸う。
「…こちらきんとき。今、起きました」