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叶うはずの無い恋
「キャー!」
「今日も素敵…!」
校門を潜ると聞こえてくる黄色い声
「おはよう」
その先には…私の大好きな幼馴染み、御影玲王がいる。
ファンクラブの子達に手を振って挨拶をしている。
「おっはよー!」
教室に入るとすぐに聞こえてくる元気な声
私の親友の白井舞(シライマイ)だ
「おはよう」
舞は高校生になって初めての友達。
あっそう言えば私の名前言ってなかったよね。私は羊谷めい高校2年生。
朝の支度を済ませ、ふと外に目をやると玲王と目があった。
「!」
気恥ずかしさを覚えフイッと目をそらす
目が合うだけで顔が熱くなる…て言うかまだ教室来れないんだ。人気者も大変だなぁ…
「今日も熱烈ですなぁ~」
っ!
「や、やめてよ!誰かに聞かれたらっ!」
「大丈夫だって、この時間に登校する人は大体御影目当てなんだから教室になんてこないよ」
それもそうだ。私達は普通の人よりも早くきている。
そのほうが玲王を眺めていられるから…
昔は沢山話せていたのだけど今となっては学園の王子様。手の届かないところに行ってしまった。
そのお陰かこの学校のカースト上位のお嬢様、城ケ崎華(ジョウガサキ ハナ)さんにも好かれていると言う噂だ。
私に勝ち目なんて無い…。
別に恋人になりたいなんて我が儘言わない。ただ…
ただ、幼馴染みとして一緒に居たい。それだけだ。
授業が終わり、舞と下校する。
「ごめん!待った!?」
息を切らせ走ってくる舞。
「ううん。全然。」
結構待った。何て言ったら気を使わせてしまうだろうから嘘をついた。
「じゃ、行こー!」
「あっ…」
そこで私はあることを思い出す
「集めたノートそのままにしてきた…!」
ノートの回収を頼まれて回収したままだ。先生に渡してこないといけなかった。
「え、それやばいやつじゃん?」
「ごめん!先帰ってて!」
「いや、私も手伝…」
「ごめん!また明日ー!」
舞が何か言っていたが、それを無視して走り出した
ふぅ着いた…よーし、!後はノートを届けるだけ!
「…、…!!」
ん?なんか聞こえる…?教室から?
気になった私は、教室のドアを少し開け、様子を伺う
!
「ねぇ、御影くん…いつになったら私と付き合ってくれるの…?」
城ケ崎さんと…玲王?
そこには城ケ崎さんに詰め寄られている玲王姿があった。
付き合うってなに?元からそういう話になってたってこと?
玲王はどう思ってるの…?
「悪いけど俺…城ケ崎と付き合うつもりないよ」
その返事にほっとしてしまう自分がいた。
最低だ私…。
「どうして!?」
「私ならお金だってあるし、容姿も美しいじゃない!」
それは…確かに。
ヒステリックに叫ぶ彼女に同意してしまう。
「ねぇ!どうして!?」
ずっと黙っている玲王に向けて彼女はまた叫ぶ
どうしてだろう…はっ!まさか…
私の頭の中に嫌な考えが駆け巡る
違うよね…?
「好きな人が居るんだ」
っ!
ガタッ
「何!?」
タッタッタッ
「めい…?」
あの言葉を聞いた瞬間頭が真っ白になった。
居てもたってもいられず無我夢中で走り続けた。
とにかく、早く離れたくて。
行き先なんか分からず走りまくった。
「知らなかった…」
「好きな人…居たんだ…」
ポタポタ
『めい』
あの優しい声で好きな子の名前を呼ぶんだ
分かってたはずなのに
何で涙がでるんだろう
~翌日~
「はぁ…」
重い足取りで教室に向かう。
昨日なんてずっと泣いて眠れなかった。
今日はいつもより早く来た。
行列の中に居る玲王に会いたくないから。
舞には早く行くとしか言ってない。きっと心配するだろうから…。
ガラッ
へっ?
机に突っ伏していた私は反射的に顔をあげる。
何で…何で居るの?
「玲王…?」
いつもはもっと遅いのに…どうして?
今は会いたくなかったな
「!」
私の顔を見て、驚いたような表情をしている。
あっ、目が赤いのか。
「おま、目赤いぞ!?」
「大丈夫か!?誰にやられた?」
すごい慌てよう…
「フフッ」
そんなことを考えていると不意に笑みがこぼれた
「な、何で笑うんだよ」
「何か懐かしいなぁって」
懐かしい…その言葉を言って目頭が熱くなる。
何で自爆しちゃうかな…
じわっ
だめ、泣くな
「玲王は好きな人居るんでしょ?」
自分の声を聞いて情けなくなる。
声、震えすぎでしょ。
泣くな、泣くなっ
顔を見られないよう伏せる
「…」
「知ってたのか」
少しの間が空き、私の問いかけに玲王はそういう。
あぁ、やっぱり…私の恋は叶わないんだ…
「好きになってごめんな」
え?
あまりの衝撃に勢いよく顔を上げる。
どういうこと?玲王が好きなのは城ケ崎さんじゃないの?
「玲王は私のことが好きなの?」
私は、甘えるようにじっと玲王の目を見つめる。
「っ、めいはずるいな、」
「そうだよ、俺はめいのことが好きだ」
終わったと思った、長い、長い片想いが終わりを告げた。
ガタッ
「っ!?ちょ、めい!?」
私は玲王の体に手を回し、抱きついた。
そして、隠していた気持ちを打ち明けた
「私も、私も…!玲王のこと大好き…!」
「は?ちょ、めい?」
「冗談なら撤回して?それか夢か?」
冗談?撤回…?もしかして…
「私の好きは…迷惑?」
「っ、そうじゃない…!ただ信じられなくて…」
あぁ…そっか、そうだよねお互い隠し通してたもんね…
玲王も信じられないんだ。
「ごめん、めい、やり直させて」
「俺と、付き合って下さい」
「はいっ!」
~叶わない恋~
好評だったら続編出すかも…?
コメント
2件
じょうかざき はな めっちゃ贅沢な名だねぇ