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私には後輩がいた。
年齢は私より遥か上だが、それ相応の顔立ちをしておらず、むしろ女のような顔の男だった。
☀︎先輩!これどうしたら良いですか?
卍ああ、これはだな…
彼は私の事をよく慕ってくれていた。
また、私の身体の心配を第一に考えてくれていた。
私はそんな後輩に思いを寄せていた。
先輩としての思いではない。
私は『日帝という男』に恋をしたのだ。
だがそんな思いを悠長に、伝えれる日を今か今かと待つ事は、当時難しかった。
私はソ連に負けた。
それから後の事、何が起こってどうなったのかは分からない。
日帝がどうしているのかも。
…ああ、日帝、お前は今どこにいるんだ?
もしいるならまた会いたい。その時は必ず思いを伝えるから。
…さーん
ドイツさん〜!
🇩🇪はっ…!あっすみません…
大丈夫ですか?もう二徹夜目ですよね?そろそろ休んだ方が…
気付けば俺はオフィスで寝ていた。周りには資料の山が出来ている。
そんな俺を、心配の色をした同僚が見つめている。
🇩🇪いえいえ大丈夫ですよ。それで?何かありましたか?
俺は何か伝えに来たのであろう同僚に問う。
あっそうだった!昨日新しい子が来たんだけど、ドイツさんは会いましたか?
🇩🇪いや…仕事に集中し過ぎてまだ…
あーそれは勿体無い!可愛らしい子なんですよ!だから一回会って来てみてください!
確かに新しい子が来るというのは前々から耳にしていた。
にしてもその子も災難だな。この会社はブラックだぞ。
俺はそう思いながら同僚に押されるがままに、新入りの子がいる所へ向かった。
ある一つの部屋、そこは社員でさえ滅多に入らない部屋だった。
🇩🇪…ここに?
また何でこんな部屋に…?と少し思ったが、深く考えずにドアノブを引き部屋に入った。
🇯🇵…あ、初めまして、日本と言います
入ると、そこには大量の本が散乱していた。
そんな中に1人の男が立っている。
彼は急に入って来た俺に少々驚いていたが、自己紹介をしてくれた。
名前は日本というらしい。
🇩🇪ドイツだ
俺も名前を言うと、ドイツさん。
と反復し、微笑みを浮かべる。
確かに可愛らしい。俺は同僚が言っていた言葉に同意した。
だが、それとは別に違う感情も同時に浮上した。
🇩🇪…日本、急ですまないが、俺等昔会った事無いか?
俺はツカツカと日本に歩み寄りそう聞いた。
日本はピタリ、と止まる。その後顎に手を添えて唸る。
🇯🇵いやぁ…会った事無いです、今日が初めましてですよ先輩
『先輩』
昔、日帝も俺をそう呼んでいた。
🇩🇪…そうか、すまない
🇯🇵いえ、大丈夫ですよ
俺が謝罪をすると、日本はクシャリと笑う。
🇯🇵じゃあ私、用事があるので…
🇩🇪あ、ああ分かった
気のせいだろうか?
一瞬見せたその顔は、どこか虚しさを含んだような顔だった。
『終』