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IN THE DARK
「晴一…、?いないんか…、?」
ワシには光がない。分かっちょる。
ここはどこだろうか?周りは何も見えない。
さっきまでライブをやっていたはずだろう。
「スタッフさん…、?NAOTOくん…」
シーンとしていると思えば、急に羽音が凄まじく鳴り響く。
「う、うわあぁっっ!!!」
思わず耳を塞いで叫ぶ声。
響かずに、ボトッと音がどこかで途切れたようだ。
鼻に刺さるツーンとする臭い。
湿っぽい地面に生暖かい空気。
何故か手がヒリヒリする。
目を極限までこらし、手を見ると手の皮が溶けていた。
驚いて立ち上がると地面は水っぽい何かがあった。
「…胃酸…、?」
誰に飲み込まれた?そばにいた人?
「晴一…、な…わけない…けど…」
人はすぐ他人に罪を擦り付ける。
他人のせいにする。
わかっているのに、
わかっているのに、
わかっているのに、
「わかっているのに…!!!!」
さっき見ていたライブのあのペンライトの光。
黄色い声援。
後ろから聴こえる楽しい音楽。
重低音から高音まで。
今は見えない暗闇の中、羽音と、消えていく自分の声。
「…もう死ぬんかな…、」
あぁ、死ぬ。
ワシには未来しか先にはない。
光?そんなものない。
ワシ?なんじゃそれ。
終わり?自分で死ぬしかない。
ここで溶かされて死ぬか、
最後までもがき苦しむか。
自分も見えないんだ、死ぬんだ。
「ごめん…、ワシ…弱くて…、」
カッコつけて少し言ってみた。
「ごめん…、まだ…、」
起き上がろうとして、体が動かないことに気づいた。
いや、動かないんじゃない。
体がないんだ。
感覚的には、頭しかないんだ。
首が寒い。
多分溶けて今肉が丸見えなんだろう。
生暖かい空気が冷たくしみる。
あ、目玉が1つ、1つ、溶けていってる。
ワシはもう何も感じない。
楽。
楽。
楽。
楽。
楽。
「もう溶かしきっちょくれ。暗闇。」
目玉は羽虫に取られた。
体はない。
ワシには口だけある。
口か、
1曲歌って死のうかな。
「……く、」
『昭仁!昭仁!!!』
「…晴…一…、?」
目が覚めるとそこはライブ会場の舞台袖。
倒れていたようだ。
『本当に心配したんじゃ…!急に倒れるから…』
【ほんとだよ?昭仁くん、急に泡吹いちゃうし、気絶しているのに吐き出してるし…】
「な、NAOTOくん…」
ワシ、そんなことなってたんか…、
【幻覚でも見たんじゃない?】
『ほら…前の[音のない森]の時みたいに精神的に…』
「大丈夫、気にせんといて!」
スタッフ一同、一気にホッとした表情になって、自分もホッとした。
でも、晴一とNAOTOくんだけは、
怪しんでた。
「大丈夫じゃって!」
「光に憧れちゃっただけだよ」
ふわりとワシが笑うと、「は?」みたいな顔をした。
光。ライブのペンライト。
音。歓声と音楽。
まだ、先へ。
先へ。
陽の当たる方へ。
音のない森へ。
日が差す先に、
電光石火で進み
夕日と星空と僕が
むかいあわせ。
この国にはキングとクイーンがいて、
みんな憧れている。
光の集まるところの後ろには、
カゲボウシ。
ほらね、もう少し戯れよう。
僕らは永遠に寄り添い続ける
友達さ!
僕の唯一の光、
「暗闇」