テラーノベル
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めちゃくちゃ暑かった空がめちゃくちゃ青かった
夏だなぁって実感してコンビニで水を買った
店を出てすぐにペットボトルを空けて一気に4回、喉を鳴らした
俺、喉渇いてたんだぁ…?
丁度、お昼時
工事の人かな?土の付いた作業着の人
単位の話をしている学生さん
社員証を首から下げたままのスーツの人
お揃いのTシャツを着ている6人くらいのグループ
みんな笑いあって話していた
なんか、いいなぁ
本当に暑いな
水をもう1口だけ含んで歩き出した
仁ちゃん、 ちゃんと水飲んでるかな……
入所した時に仁ちゃんは
「山中くん、よろしくね」
って言ってくれて少しホッとしたっけ
かわいいなぁ
芸能人って男の人でもこんなにキレイなんだって
すごいなぁ
俺はなんて所に来てしまったんだろう
声掛けてもらって嬉しかったけど同時に緊張もした
仁ちゃんの大きな目と合って怯んだ
俺は今よりもずっと人見知りで、言葉を上手く口に出来なくて
よろしくお願いしますくらいしか言えなかったと思う
普段から声小さくて何言ってんのか分かんなかったとか言われてたけど
また聞こえなかったかもって下を向いたら
「うん!よろしくお願いします!」
キラッキラの笑顔が正面にあって
自分の声が初めて人に届いたんだって
そう思って少し恥ずかしくなったんだよ
一緒に入った舜太はそもそも名古屋支部で活動していて
俺はただスカウトされて来ただけで何も分からなかった
俺は何も持っていなかったんだ
レッスンを受ける度に自分が一番ダメなの自覚を自覚していく日々
でも吉田さんは声掛けてくれて
「大丈夫?なんか飲む?」
って普通に話しかけてくれた
「これ、おいしいんだよ!」
って、お菓子口につっこまれたり
こんな何もできない自分に…
見捨てないんだ、この人は…きっと誰のことも
俺じゃなくても
少し浮いてた俺を無理矢理メンバーとの会話に引きずりこんで、いつも輪の中に入れてくれた
みんなと少しずつ話せるようになったのも、きっと吉田さんのおかげ
気が付いたらいつも手を差し伸べてくれていた
吉田さんの隣は安心した
俺をきっと励ましてくれているんだって気付いたら自分が情けなくなって
コンタクトが、取れそう、すみませんって楽屋から逃げた
静かな楽屋で吉田さんは椅子に座ってる
俺をちらっと見たから軽く頷いて大丈夫ですって微笑みで返事をした
だってコンタクトズレたとか嘘だもん
でも心配してくれるんだよこの人は
何も言わないけど
申し訳ないのと少し嬉しい
見ていた書類をまとめて机に置いた吉田さん
「みんな今から移動する…ょ……」
椅子から立ち上がろうとして吉田さんがゆらりとバランスを崩す
倒れ落ちかけた吉田さんを咄嗟に抱えた
「あー…ごめん…大丈夫だから」
ゆっくり起き上がらせると小さな声でありがとうって言った
その口で皆いくよーとか言ってる
仁人大丈夫ー?運動神経悪すぎやん
って野次
違うよ、違うよ?皆?
吉田さん、めちゃくちゃ熱かったよ
熱あるって
顔赤いし
ペットボトルの水を渡した
真っ白な指先が少し震えてた
その手から奪って水の蓋をあけた
ごめんって聞こえた
聞こえないフリをした
ゆっくり震える指で水を飲む吉田さんを見ながら
その人を守りたいと思った
俺に出来るのは水を渡すことだけ
コメント
1件
第2話、めっちゃ良かった…! 最初の夏の風景から、過去の思い出にフワッと入っていく流れが自然で、一気に引き込まれた。 「自分の声が初めて人に届いたんだ」っていう感覚、すごく分かる気がする…。吉田さんの優しさがじんわり沁みた。 そして最後、震える指で水を飲む吉田さんを見て「守りたい」と思った主人公の気持ちの変化、胸に来たよ。隣にいてやりたいって思わせる、こーのさんのキャラの描き方が本当にうまいな…!続き、めちゃくちゃ気になる🔥