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🍱🦖×🥷🔫です。🔞です。
暴力、流血、鬱、監禁要素あります。
苦手な方はバックでお願いします。
暴力表現かなり酷めなので、自己責任で閲覧してください。たぶん誰も幸せにならない。
なんでも許せる方向けです。
伏字ありません。ご本人様と一切関係ありません。
よろしくお願いします。
ガシャンという音と共に、足元にガラス皿の破片が散らばる。そろりと後ずさると、小さな破片を踏んでしまい、僕は痛みで思わず声を上げた。割れた皿にはピンク色の縁が入っていて、これは赤城のお気に入りのものだ。
事の重大さに気付き、じわりと額に汗が滲む。
(お皿、片付けといてって言われただけやのに、僕、こんなんもまともに出来ひんの)
皿を持っていた右手がぷるぷると震えている。怪我はまだ治っていない。手に巻かれた包帯の隙間から赤黒いあざと血の滲んだ切り傷が見えた。この怪我はあの時、赤城が、カッターで。
……。
(……、僕が言うこと聞かんのが悪いんやから、赤城のせいにしたらあかんよ)
赤城が帰ってきた時のことを想像して、寒気を覚える。きっと、またいっぱい殴られる。何でこんなのも出来ないの、って。
僕は服の裾を少しめくってみる。お腹には数え切れないほどのあざが残っていて、何個かは青紫色に色が変わっている。
(また、増えるんかな、傷)
僕は、今夜起こることを想像しながらお腹を撫でた。幾つかのあざには、鈍い痛みがまだ残っていて、顔が少し歪む。ずきずきと痛むお腹を押さえながら、僕はガラスの破片の片付けをした。電気の付いていない、仄暗いキッチンにかちゃかちゃと音だけが響く。
(夜、赤城が帰ってくるの怖いけど、でも僕には赤城しか居らんから)
(だから早く、帰ってきて……)
ガチャと玄関の扉の開く音がする。ベッドで寝転がっていた僕は、思わず毛布を頭から被る。
ドクンドクンと心臓が高鳴る。
早く帰ってきてって思ってたけど、やっぱり怖い。
大丈夫、怖くない、と自分に言い聞かせる。殴られてる間、少しの間、我慢すれば良いだけ。その後の赤城はいつも優しいから、ちょっと我慢するだけ。
(でも、やっぱ怖い……)
「カゲツ」
声と共に毛布に手が触れる感触がして、ビクッと身体が跳ねる。
「あ……」
「何やってるの?」
赤城が毛布をそっとめくり、僕の顔を覗き込む。
「あ、えっと…、お、おかえり、なさい」
「ただいま」
赤城は僕の頭をそっと撫でた。
優しく微笑む赤城。
少しの安堵が僕を包む。僕は思わず、ベッドに腰掛けた赤城の背中に手を回した。
僕は何に安心したんだろう。きっとこの後、酷いことをされるのに。でも、赤城、笑っとる。
赤城はいつも少し体温が高い。彼の広い胸に顔を埋めると、じんわり温もりが伝わってくる。
「ん…あかぎ…」
「カゲツ、こっち向いて」
「?」
「舌出して」
口を開けると、赤城は僕の舌を軽く舐めて、そのまま深いキスをした。僕は頭がふわふわして、気持ちが良くなって、目を閉じ、赤城を抱きしめる両腕に力を込めた。
安らぎの時間が訪れ、僕はすっかり割れた皿のことなど忘れていたんだけれど、赤城がすぐにそれを思い出させてくれた。
キスをしたまま、赤城は僕の首に手を添えた。
「……っ」
親指にぐっと力が入り、僕の気道が締め付けられる。
「う、…ぐ」
薄目を開けると、赤城と目が合う。もう彼は笑っていない。鋭い目つき。黒い瞳孔がきゅっと細まった。
「キッチンのあのゴミ、何?」
「ん、く…」
「ガラスの破片、片してたやつ。割ったの?」
僕は怖くなって、赤城から顔を背けた。段々酸素が頭に回らなくなり、意識が朦朧とする。
「シンクに持っていくだけだったよね?…出来なかったんだ?」
「…っ、…」
赤城はぱっと手を緩め、僕の顔をじろっと睨んだ。
「っは、あ、はぁっ…、ご、ごめ、ごめんなさ……でも、て、手が」
「…なに、僕がつけた傷のせいって言いたいの?」
「や、ちが……。ぼく、僕が悪い…手滑らせた…」
赤城は呆れたように目を伏せた。少しの沈黙が流れる。
「…隠さずにちゃんと謝ってくれてたら、僕、許してあげたのに、…なっ!」
赤城が手を振り上げ、思いっきり僕の頬を殴った。
「い”っ…」
かなりの力の強さに、僕は思わずよろける。自分の頬に手を当て、さすっていると、赤城が僕に顔を近づけ、言った。
「カゲツ。ほら見て、僕の手、赤くなっちゃった。わかる?殴る方が痛いんだよ、こういうのはさぁ」
「あ…」
目の笑っていない赤城が怖くて怖くて、言葉が出ない。何を言っても殴られそうで、何をしても怒られそうで、今はただただ、怖い。
「カゲツが悪い子だから、こうやって躾しなきゃいけないんじゃん…。ほら、服めくって、お腹出して」
赤城はため息混じりにそう言った。あ、これから始まるんだって思うと自然に涙が溢れる。
「う、う…」
「……泣いたって、するから」
「ひ、ぐ、…っ」
「…るさいなぁ!」
次は反対側の頬を殴られた。力はさっきより強くて、頭が揺れる。
これ以上泣いちゃいけない、と、何とか涙を止めようとするけど、全く止まらない。むしろどんどん溢れてくる。
「ひう、ゔっ…、ちが、も、もう泣かない、泣かないから…っ」
「……」
「お、お腹、は、はい…」
僕は服の裾を持ち上げて、赤城にお腹を見せた。
「お、お願い、…します」
僕がそう言うと、赤城は僕のお腹をさすって、あざを親指でぐっと押した。
「いッ…!」
痛みに思わずぎゅっと目を閉じる。
「痛いんだ、ここ、ふーん…」
そう言いながら赤城は、膝で僕のお腹を蹴り上げた。
「あ”ゔっ」
お腹のあたりから何かが上がってきて、思わずもどしてしまう。朝から何も食べていないから、これはきっと胃液だろう。
「ぐ、げほっ、ごほっ!」
「あーあ、僕にも掛かっちゃった」
「ごほっ、ゔ、ご、ごめんなさっ……痛っ!!」
赤城が僕の頬をつねって言った。
「僕の腕に掛かったやつ、舐めてよ」
「え…」
「自分が汚したんだから、ほら」
赤城は僕の顔の前に腕を突き出した。僕が少し躊躇っていると、無理矢理腕を口に押し当ててきた。
「んぐ、んっ」
変な味がする、思わず僕は顔を歪ませた。赤城は少しだけ嬉しそうな顔をしている、気のせいだろうか。
僕は涙を堪えて赤城の腕を舐めた。
「ふ、う」
「はい、綺麗になったね。じゃ、お腹出して」
「ん…っ」
僕は赤城の言う通りに、もう一度服をめくってお腹を見せた。
「素直な子は嫌いじゃないよ、僕。でも、躾は躾だから、……ね?」
「はぁっ、……はっ…、う…」
口の中が血の味がする。お腹だけじゃなくて顔も殴られて、どうやら口の中を切ったみたい。
鼻血も出ている。チカチカする視線の端に、赤黒く染まったシーツが見えた。
喉からひゅーひゅーと音が鳴る。声、上手く出せるんだろうか。ま、出せなくても、いいか。
赤城が僕の頬を撫で、ティッシュで鼻血だらけの僕の顔を拭いてくれた。それを見て僕は、あ、今日はもう終わりなんだ、と安堵した。
「血、乾いちゃったね」
そう言って赤城は僕の顔を舐めた。それがくすぐったくて声が漏れる。
「ん、ふふっ」
「さ、カゲツ、お風呂入ろう。僕が入れてあげるから」
「うん、……っい…!」
起きあがろうとして体をよじると、殴られたお腹がズキンと痛んだ。
「起きれない?」
「ん…、い、いたい…」
「ほら、腕まわして」
赤城は手を広げて僕を抱き抱えた。僕が赤城の背中に手を回すと、赤城は僕をひょいと持ち上げる。
やっぱり赤城はあったかい。
(あぁ、僕、この時のために生きてるんやな)
「なあウェン」
拠点での作業中、パソコンと睨めっこしていると、マナが話しかけてきた。
僕はコーヒーが入ったマグカップに口をつけながら応える。
「何〜?」
マナが向かいに腰掛ける。
「もうカゲツがおらんようなってから、1ヶ月くらい経つよな…」
「そうだね」
「今日もロウから連絡入ってな、どうにもこうにも進展無いって」
「うん」
「そろそろ西だけやのうて、東のほうも捜索範囲に入れるらしいわ」
「……」
「そのうち捜索の任務来ると思うから、そん時は頼むな」
「頼むな、って、マナも出るんでしょ?」
「まあ、そうなんやけどな」
マナが少し視線を泳がせる。
「……心配やろ、ウェン」
「……そりゃあね」
コーヒーを啜る音が響く。
マナは何か言いたそうにこちらを見ている。
「……なあウェン、お前、ほんまに何も知らんの?」
「この前も話したじゃんか、知らないって……」
「そう、よな。……すまん」
僕はパソコンをパタンと閉じて立ち上がる。
「マナもコーヒー、ブラックでいい?」
戸締り、もっと厳重にしないとな。
続きます!