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📖 アレンジ完全版:『硝煙とハーブティー、そして秘密の夜』
その日、アランが拠点に戻ってきたとき、その体には濃厚な硝煙と死臭が染みついていた。
パンデミックが崩壊させた世界。感染者を絶対悪として容赦なく駆逐する組織の長と対峙し、アランは死を覚悟した。
だが、皮肉にも戦場に雪崩れ込んできた感染者の群れがその場を混沌へと変え、アランは命からがら生き延びたのだ。
過酷な現実のなかで、張り詰めていた糸が切れたとき、アランの脳裏に浮かんだのは「仲間たちが待つ居場所」だった。
しかし、安らぎを求めて拠点の扉を開けたアランを待っていたのは、別の意味で息が詰まるような空気だった。
「――おかえり、アラン。無事でよかった」
リビングのソファに深く腰掛け、長い脚を組んでいたのはカトリーヌだった。
つい先ほどまで命を狙ってきた組織の重要人物。それが組織を裏切り、アランたちの仲間に加わるために、すでにくつろいでいる。
「美少年のアラン」と「元敵組織の、妖艶で美しい大人の女性」。
二人の視線が交差する。その、どこか特別な絆を感じさせる雰囲気が、室内の温度を急激に下げた。
「……ちょっと、アラン。そんなに年上の綺麗な人が好きなの?」
低く、けれど鋭い声がリビングに響いた。
幼なじみのリーザだった。これまでずっと、アランの隣は自分の特等席だったはずだ。それなのに、突然現れた謎めいた美女とアランの距離感に、彼女の胸は激しい嫉妬と焦燥感で満たされていた。
カトリーヌは面白そうに片眉を上げると、ふっと艶やかな笑みを浮かべた。
実戦を生き抜いてきた大人の余裕を見せつけるかのように、その豊かな胸元を強調して堂々と胸を張る。
「すまないね、リーザ。アランは、紅茶を飲みながらおままごとをする時間より、私との実戦訓練の時間を優先したいってことさ。そうだろう? アラン?」
戦場の銃撃戦よりも恐ろしい、女同士の視線の火花。嫌な予感しかしないアランは、気配を消してその場からさりげなく退避しようと、一歩後ろに足を引いた。
ピキッ……。
その瞬間、リーザの表情が静かに引き攣る音が、アランの耳にハッキリと聞こえた。
「若いねぇ……」
リビングの片隅、テーブルの向こう側から、年長者のギリアムがパイプの紫煙をくゆらせながら、楽しそうにこの修羅場を見つめていた。アランは彼に助けを求める視線を送ったが、ギリアムはただニヤニヤと肩をすくめるだけだった。
アランが恐る恐るリーザに視線を戻すと、彼女は何かを耐えるように深く俯いていた。
やがて、ゆっくりと顔を上げる。その顔には満面の笑みが浮かんでいたが――両目の奥は、完全に凍りついていた。
「そ、そうよね……。私のことなんてアランは、お茶を淹れてくれるだけの親切な幼なじみとしか思ってないわよね。よく分かったわ」
リーザの背後から立ち上る、目に見えそうなほどの漆黒の覇気。そのプレッシャーに気圧され、冷や汗を流しながらも、アランは生き残るために必死の弁明を試みる。
「リ、リーザ! 俺は……っ、別にお前とお茶を飲みながら話す時間を、おままごとなんて思ってないからな……!?」
必死に首を振る美少年の姿に、リーザはすうっと深く息を吸い込み、目が笑っていない笑顔のまま、さらに一歩アランに詰め寄った。
「そう……おままごとじゃないのね。なら、アラン。今すぐ私と、特訓の成果を見せ合うお茶会をしましょう。……カトリーヌさんも、ご一緒にいかが?」
「おや、私までお呼ばれかい? 喜んで」
カトリーヌはクスクスと喉を鳴らし、面白がりながら席に着く。アランは冷や汗でシャツを濡らしながら、決して一歩も引かない二人の美女に挟まれる形で、中央の椅子に静かに腰掛けた。
やがて、リーザの手によって丁寧に淹れられたハーブティーが運ばれてくる。その香りは、血と硝煙にまみれたこの世界にはあまりにも不釣り合いなほど、優しく甘いものだった。
アランは緊張で強張る喉に、その温かい液体を一口流し込んだ。
「これ……すごくいい香りだ、リーザ。本当に、美味しい。昔……俺たちが一緒にあの隠れ家で作った、あのお茶の味にそっくりだ」
その言葉が、リーザの心に刺さっていたトゲを優しく溶かした。
「……当たり前じゃない。アランが一番好きな淹れ方だもの。私が忘れるわけないでしょ」
リーザはふっと視線を逸らした。その頬は、先ほどの怒りとは全く違う、少女らしい愛らしいピンク色に染まっている。
それを見ていたカトリーヌは、ハーブティーを優雅に味わうと、ふっと満足そうに微笑み、降参を示すように軽く両手を上げた。
「なるほどねぇ。この繊細な淹れ方は、私のような荒事ばかりの人間には到底真似できない。アランが恋しがってここに戻ってきた理由が、少し分かった気がするよ。……私の特訓は過酷だよ、リーザ。でも、彼を戦場で生き残らせるには、貴女が淹れるこの甘いお茶と、帰るべき温かい場所が絶対に必要だ。――アランを支える役、半分ずつ、分け合おうじゃないか」
「……っ、はい! よろしくお願いします、カトリーヌさん!」
リーザの顔から完全にトゲが消え、頼れる大人の女性への憧れに満ちた、キラキラとした笑顔が弾けた。アランの頭を、ギリアムが背後からガシガシと乱暴に撫で回し、豪快に笑う。
「お前さん、命拾いしたな。これからは二人分の期待に応えるために、死ぬ気で働いてもらうぞ、アラン?」
夕暮れ時の拠点に、若者たちの賑やかな笑い声が溶けていく。
アランを巡る、可愛い幼なじみとセクシーなお姉さんの、甘く騒がしいハーレムの始まり。
崩壊した世界の片隅で、そのテーブルの周りだけは、確かに奇跡のような温かい光に満ちていた。
――だが、その日の物語には、まだ続きがあった。
深夜。静まり返ったアランの自室に、足音もなく忍び込んだ影があった。カトリーヌだ。
「……カトリーヌ? どうしてここに……」
驚くアランに、彼女は妖艶な笑みを浮かべてジリジリと距離を詰める。最初は戸惑い、必死に理性を保って拒んでいたアランだったが、カトリーヌのじっくりと追い詰めるような、経験豊富な大人のテクニックの前に、その防壁は音を立てて崩れていく。
「カトリーヌ……もう、我慢できない。好きなようにしてくれ……っ」
そう懇願する美少年のアランを見つめて、カトリーヌはクスリと微笑んだ。
彼女はアランの体を包み込むように優しく抱きしめ、焦らすようにゆっくりと服を脱がしていく。衣服が滑り落ち、下半身のズボンを下ろすと、そこにはピクピクとはち切れそうなほどに膨張した、アランの熱い誇りが露わになっていた。
「……ッ……はぁ……はぁ……」
カトリーヌの細い指先が、そっと硬くなったペニスを握る。そのダイレクトな刺激に、アランは苦しそうに激しく息を荒くした。
「……辛そうだね。 楽になりたいかい?」
全てを分かっていながら、カトリーヌは意地悪に、アランを試すような視線を投げかける。その声音はどこまでも甘く、アランの耳元を微かにくすぐった。
「……っ、……カトリーヌ、お願い、だ……」
アランはもはや言葉を紡ぐことさえままならず、ただ目の前のお姉さんにすべてを委ねるように、熱い吐息を漏らすことしかできなかった。
「可愛いアラン……。そんなに硬くして、本当は最初から、私にこうしてほしかったんだろう?」
彼女の手がゆっくりと、けれど確実な愛撫のストロークを刻み始めると、アランの背中がビクンと大きく跳ねた。限界まで張り詰めた熱が、彼女の手のひらの中でさらに熱度を増していく。
「あ……く、……はぁっ! カトリーヌ、もう、だめ……っ!」
「いいよ、全部ここに吐き出しなさい」
カトリーヌは優しく囁き、アランの体を強く抱きしめて、その波立つ衝動を全て受け止めるように最後の愛撫を贈った。
次の瞬間、アランの体が弓なりに跳ね、熱い塊がカトリーヌの手のなかへと勢いよく解き放たれる。
白い世界のなかで、アランは激しい呼吸を繰り返しながら、カトリーヌの豊かな胸元に顔を埋めた。全てを出し尽くした心地よい疲労感と幸福感が、少年の体を包み込んでいく。
カトリーヌは愛おしそうにアランの濡れた髪を撫で、その額に優しくキスを落とした。
「よく頑張ったね、アラン。……さあ、今夜はもう遅い。このまま私の腕の中で、ゆっくりおやすみ」
パンデミックの冷たい夜、二人の体温だけが、その小さなベッドの上をどこまでも温かく満たしていた。
(翌朝、何も知らないリーザが「アラン、朝ご飯できたわよ!」と部屋のドアを勢いよく開ける数時間前の、秘密のひとときであった――。)
コメント
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ああ、読み終わりました……! もう、冒頭のリーザとカトリーヌのバチバチした空気感から、もうドキドキが止まらなかったです。特に「おままごと」発言からのリーザの豹変、笑顔なのに目が凍ってる描写がすごく好きで、そこからハーブティーで関係が修復されていく流れが本当に美しかった……。ギリアムがパイプ吸いながらニヤニヤしてるのも、現場の空気を和らげる名脇役ですよね。 そして夜のシーン……カトリーヌの優しくてリードする大人の余裕が、アランの「もう我慢できない」っていう告白につながっていく描写が、丁寧で艶めかしくて。でも、ただエロいだけじゃなくて、戦場での疲れを癒すような温かさも感じられて、すごくバランスが良かったです。 「帰るべき温かい場所」っていうカトリーヌの台詞が、この物語の根っこを表してるなって思いました。アランが二人の女性に大切にされてる理由が、ちゃんと伝わってくる1話でした。次が気になります……!