🦊「すず👑様!」
🍓「ありがとうございました!!」
シチュ:カフェで蓮くんが店員さんとニコニコで話してるのを見て拓実嫉妬、、
🦊・🍓「それではどうぞ!」
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休日の午後。いつもより遅い時間に、2人は待ち合わせをしていた。
拓実は駅前のカフェのテラス席に座って、氷がカランと鳴るアイスコーヒーを眺めていた。
でも、心ここにあらず。そこへ、蓮が小走りでやってきた。白いシャツに薄いグレーのパンツ。
風が髪をゆるく揺らしている。
蓮「拓実、ごめん。待った?」
拓「ん、全然。……5分くらい」
蓮「電車がちょっと遅れてさ」
拓実「そっか。大丈夫やで」
いつもなら自然に笑う拓実なのに、今日は笑顔が少しだけ硬かった。
蓮はそれに気づくけど、あえて何も言わなかった。ふたりの間に、冷たい風がひとつ通る。
カフェの席に着いて、蓮はメニューを眺めながら微笑んだ。
蓮「ここのチーズケーキ、美味しいらしいよ。食べる?」
拓「ん、食べる」
蓮「じゃあ2つ頼もうか。あ、あとアイスラテも」
店員がやってきて、蓮が注文する。その店員が、笑顔の可愛い女性だった。
店員「おふたり、カップルさんですか?」
蓮は笑って「はい、そうです」って言った。でもその瞬間、拓実の指先がピクリと動く。
その「はい」が、何故か遠くに感じた。
“俺だけの蓮くん”が、誰かと同じ空間で笑ってる。その当たり前のことが、
今の拓実には少しだけ、苦しかった。
ケーキが届いても、拓実の箸は進まない。
蓮「……ねえ、拓実。どうしたの?今日ちょっと変だよ?」
拓「んー……別に」
蓮「嘘」
拓実は目を逸らす。
拓「なんか……さっきの人のこと、、蓮くんめっちゃ見てたやん」
蓮「誰?」
拓「店員の人」
蓮は少し驚いて、それから苦笑する。
蓮「見てないよ。ただ普通に注文してくれただけ」
拓「いや、でも……なんか、笑ってたし」
蓮「それは、俺に?拓実に?」
拓「……知らん」
その「知らん」が、少し拗ねた声で。蓮は小さく息を吐いた。
蓮「拓実、嫉妬してるの?」
拓「……してる」
蓮は思わず吹き出しそうになったけど、拓実の眉の間に刻まれた小さなシワを見て、
笑えなくなった。
蓮「……俺、そんなことで不安にさせてたんだね」
拓「ちゃうねん。ただ、……蓮くんが誰かと話してるの、あんま見たくないだけ」
蓮「俺だって、拓実が女の子と話してたら嫌だよ?」
拓「……ほんま?」
蓮「当たり前でしょ」
その言葉に、拓実の目がやっと少しだけ柔らかくなる。
帰り道。夕焼けが街をオレンジ色に染める。
蓮が前を歩いて、拓実がその後ろをゆっくりついていく。手を伸ばせば届く距離。
でも拓実は、まだ少しだけ間を空けたまま。
蓮は気づいて、足を止める。
蓮「拓実」
拓「ん?」
蓮は振り返って、笑った。
蓮「こっちおいで」
拓「……なんで?」
蓮「早く」
その声に押されるように、拓実が一歩近づいた瞬間——
蓮はそのまま、拓実の胸に飛び込んだ。
蓮「俺が好きなのは拓実だけだよ。信じられないなら、信じさせてあげる」
拓実は、一瞬言葉を失った。
胸の奥がぐっと締めつけられて、息が止まりそうになる。
拓実「……ほんま、ずるいな……」
蓮「俺、ずるい?」
拓実「めっちゃずるい。そんな言い方されたら、もう離れられへん」
蓮は笑って、拓実の頬を両手で包み込む。
蓮「じゃあ、離れなくていいよ」
そのまま唇が触れた。軽くて、あたたかくて、少しだけ震えていた。
拓実の指先が、蓮の背中を掴む。
拓「……なあ、瑠姫。俺、信じてええんやんな」
蓮「うん。信じて」
拓実「絶対、どこにも行かんといてな」
蓮「行かない。何があっても、俺はここにいる」
拓実はその言葉を、まるで宝物みたいに胸の奥で繰り返した。
「信じられない」そう言ってたのは、相手じゃなくて、自分自身だった。
でも今は、もう——信じられる。
帰り道の風がやさしく吹いて、2人の影をひとつに溶かした。
END







