テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
4,764
しわすちゃんとこの参加型に出した椎名ってやつの過去です、最悪です、センシティブなので気をつけてね
椎名の過去
「蛙の子は蛙」
寮の自室の扉を開く。
服や物で溢れかえっている部屋のある一部分だけが綺麗に片付けられている。
その一部分であるゲージの前に屈んで、ゲージの主に声をかける。
「……ホイップちゃん」
そう呼びかけるとカリカリとゲージを齧っていたホイップちゃんがチラ、とこちらを見てからまたゲージを齧り始めた。
ゲージからホイップちゃんを出して抱え込む。まだ綺麗なスペースに腰を下ろしてブラッシングをする。
今日は少しご機嫌斜めらしく、少し指を噛まれてしまった。
「はいはい、ゲージ齧ってるの邪魔してすみませんね…ああ、ちょっと髪は…」
といって、普段は前に垂らしている髪を後ろに持っていく。どうやら今日は髪の毛が気になって仕方がないらしい。
ふわふわとした毛並みを撫でていると、こんなににも小さくてか弱いのに、必死に生きているこの子が愛おしくて仕方がない。
抱き抱えて一緒にベッドに倒れ込む。
今日は疲れてしまった。
たまになら、このまま寝てしまってもいいか。と匙を投げて、うとうとと眠りについた。
久しぶりに、くだらない夢を見た。
今日もせっせと母親が鏡の前で、男に抱かれる為の化粧を施している。
もう出かけて行ってしまったと思ったのに。急いで自室に戻らなければ。
もう、殴られたくはない。
そう思って踵を返そうとした時、古い家の床板がギシ、と耳障りな音を立てる。
「……なあ」
ああ、始まってしまった。
華々しく飾られた顔は怒りで歪みきっている。
「一々うるせぇんだよ、アタシが出ていくまで部屋から出てくんなっつったよな?」
と言われて殴られる。衝撃で尻もちをついてしまった。頬が痛い。でもここで痛いなんて言ってしまったらもっと酷くなる。
だから、いつもこう言うしかない。
「……ごめんなさい」
母親が家から出ていく音がする。
そーっと扉を開けて、リビングに出る。
相変わらず部屋は荒れきっていて、服だとか、使われ切った香水の瓶とか、果てにはゴムだとか。でも下手に片付けても怒られるので何もしない。
机の上に置かれた唯一の命綱、五百円玉硬貨がポツンと置かれている。
自分は目障りだが、殺す訳にもいかないのだろう。
それをそっとポケットに入れて家を出る。
自分の家から3つ隣。そこに、他人なのに優しくしてくれる近所のおばあちゃんがいる。
そのおばあちゃんの家のチャイムを鳴らす。
しばらくするとおばあちゃんが出てきた。
「いらっしゃい、沢山お上がりね」
「ごめんなさい、ありがとうございます」
「気にしなさんな、独りだと寂しいからねぇ」
古い家の匂い。そっとちゃぶ台の前に座ると、おばあちゃんが味噌汁やお米、漬物、焼き魚なんかをどんどん出してくれる。
「…いただきます」
全部が、美味しい。
キラキラとした、言い様もない幸せがその空間だけに満ちているような気がする。
部屋も明るくて綺麗で清潔で。
口にめいっぱい幸せを詰め込んでいると、おばあちゃんがにこにことこちらを見つめている。
とにかく、そこにいる間だけは幸せだった。
そんな感じの、朝と昼は自宅にいて、夜はおばあちゃんの家でご飯を食べる生活が続いていた。
ある日の事だった。
「お前、今日は家いろよ。お前が毎日どこ行ってるかなんかどうでもいいけどさぁ、今日だけは出かけるなよ。」
「……はい…」
そんな。今日は朝も昼も何も食べてなくてお腹がすいていたのに。
でも逆らったら殴られる事を考えると、我慢しよう、と思った。1日くらい食べなくったって死なない事は、自分がよくわかっている。
しばらくすると母親が男を連れて戻ってきた。
「今呼びますねぇ?部屋汚くてごめんなさぁい…あの子が散らかしちゃったみたいでぇ…」
「暴れ散らかすようなガキのが活きが良くていい、待ちきれねぇよ」
なんていう声が聞こえる。母親が、耳障りな猫なで声で自分を呼ぶ。
こわごわと俯いて前に出ると、ぐっと上を向かせられる。
「へえ、綺麗な顔してんじゃん」
と言われてそのまま口を指を突っ込まれる。ぐちぐちと雑な動きが吐き気を誘うが、吐いても何も出ないだろう。
ぐっと堪える。
そのままいつもは母親が寝ている薄っぺらな布団に押し倒されたかと思うと、ズボンを下着ごと剥かれる。
嫌な予感がする、心臓の音が全ての言葉をかき消していく。いや、聞き取れてはいたが、もう、脳内で文字にすることすら恐ろしかった。
布団にうつ伏せにされて背中を押さえつけられる。節榑だった指が尻たぶを揉んだかと思うと、先程口に突っ込まれ、ぬるついた指が穴の中にそっと入ってきた。
気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い。
ぐっ、ぐっ、と広げるような指の動きを感じる。膝を立てさせられる。
カチャカチャとベルトの外れる音が聞こえる。ズル、と質量を持った熱い杭が侵入する。無理矢理揺さぶられて思わず声が出る。それを快楽に喘いだのかと勘違いした男は気分を良くして動きを激しくする。
それでもっと声が出る。
早く終わってくれ、一刻も、早く。
最後に精をぶちまけて、いくらかの金を置いて男は帰って行った。よたよたと立ち上がって服を取って部屋に戻る。ガタと部屋の扉を閉めた時、またあの吐き気が込上がってきた。
近くのゴミ箱に吐く。出てきた物に固形物の様子はあまりなく、液体がサラサラと口から流れていくだけだった。
気持ち悪い、もうこんな所では生きていけない。
次の日の朝。
今まで貯めてきた貯金を持っておばあちゃんの家に行く。
詳しくは言わず、もうむりだ、とだけ呟くと、おばあちゃんは少しだけ目を潤ませて抱き締めてくれた。暖かかった。
そこではっと目が覚めた。
レースカーテンが明るい朝日を通して部屋に差し込んでいる。
ホイップちゃんも腕の中でくるまって寝ていた。
ふと、怖くなった。
このまま寧无くんを好きでいていいのか。
この汚れたままの自分が、彼みたいに愛おしい子を愛していいのだろうか。
資格は、あるのだろうか。
彼を、ずっと、押し倒して襲うつもりだった自分が怖くなった。
結局は、あの忌み嫌った女と男と、自分は一緒なのだ。
解説?
親にネグレクトと虐待されてた椎名。ご飯代を貯めて、ご飯は近所に住むおばあちゃん(他人)に恵んでもらっていた。
ある日親が連れてきた男に犯される。犯された時の金は母親が持って行った。
おばあちゃんの家に行って、おばあちゃんにどうにかしてもらう→今って感じです。
ちなみに過去の虐待の経験で椎名くんは自分を大事にすることをよくわかってないので、部屋は汚いまま(セルフネグレクト)です。なので他人の事もどうやって大切にしたらいいかわからないのでその練習としてホイップちゃんを飼育しています。今も折檻の痕は背中と腰に残っています。だからあんまり裸見せたがらなさそうですけべ。
コメント
44件
おい最後 キャラわかんないけど過去が相当な地獄な事だけはわかった
やっぱりいつ読んでもド鬱で愛してる🫰🏻 最後の好きでいていいのかがやっぱり切ねぇぇぇ~‼️‼️‼️‼️‼️
うわあ……読んでいて胸が締め付けられました。椎名くんの過去、重すぎますね。母親からの虐待、見知らぬ男に襲われる恐怖、「汚れたままの自分」という自己否定――全部が痛くて、でもおばあちゃんの温かさやホイップちゃんとの時間にほっとさせられる部分もあって、感情が忙しかったです。 特に「彼みたいに愛おしい子を愛していいのか」という自問が切なくて。彼が自分を大事にできていない理由がこれで腑に落ちました。ホイップちゃんが「大切にする練習」なんだという解説にも納得です。設定の積み重ね方が丁寧で、椎名くんの内面がより深く見えた気がします。続きが気になります。