俺、国根透真(こくねとうま)!高校1年生!お父さんの転勤がきっかけでこの街に引っ越してきたの!実は小さい頃にこの街に住んでいたことがあったから、どんな反応をされるかちょっとドキドキ!
……なーんて、少女漫画みたいなあいさつから始まる俺の転校初日。
別に転校したからって対して変わることもない。前の学校では友達なんていなかったし、きっと新しい学校だって同じだ。
ただ、小さい頃この街に友達がいなかったかっていわれると、実際のところはいた。…..まあ、1人だけど。でも俺のことなんて覚えてない可能性だってある。てか、そもそもあいつ生きてんのかな。
そんなことをぼんやり考えながら学校へ向かう。
そして、曲がり角を曲がったとき、ワイシャツの上にパーカーを着た男子にぶつかった。
相手は走っていたみたいで、俺は勢いに負けて転んでしまった。
「あっ!ごめん!大丈夫?!」
「う、うん。転んだだけだから。」
「そっか!怪我してないならよかった!じゃ!」
「え」
俺は走っていくその人の後ろ姿を唖然と眺めた。勢いやばすぎだろ。もうびっくりしすぎて口あいちゃってたわ。
それから、ずっとあいつの後ろ姿を思い出してひたすら歩いていたら、もう学校についた。
俺はー…….職員室に行けばいいんだっけ。
生徒数人からの視線を感じながら、俺は絶対に目を合わせまいと意を決して職員室まで歩いた。
その後、別室で待機してから、俺は先生に連れられて教室の前で待っていた。
と、ここで一つ問題が出てくる。それは…….
自己紹介どうしよ!!!!
明るい感じだと爽やかって感じで好印象だよね。いやでもここでクールにしていくことでミステリアスな印象を与え、俺に興味を持たせるという選択肢も……
うわー!どうする俺ー!!
脳内で暴走している最中、教室で先生が俺を呼んでる。
よし!もうどうにでもなれ!!
そう意気込んで教室の扉を開ける。
「あ、えっと……」
やっべ、結局陰キャ丸出しだー。
このあとどうしよ。マジ詰んだ。
「はいはーい!」
俺がクソ焦ってたとき、1人の生徒が席を立った。焦って見えてなかったからめっちゃびっくりする。
叫んだ生徒は朝俺とぶつかったやつだった。この学校男子の制服は学ランだから、ワイシャツにパーカーなんてすぐにわかる。
「じゃあ今からこいつの名前当てゲームしまーす!」
急にそんなことを言い出して、先生が止めるかと思ったが、先生は眺めるだけだった。
そんな状況に違和感を持った俺は、思わず先生に聞いてしまった。
「これ、止めないんですか?」
それに対し先生は、
「いいんだよ。あいつが言い出したらどうせ止まんないし。」
と、もう慣れた。という感じで言ってきた。
「このクラスはこんなの日常茶飯事だから慣れるのには時間がかかるかもしれないが、面白いやつだから絡まれたらあしらわずに話してみてほしい。」
「わ、わかりました……」
俺は曖昧な返事をして正面に向き直った。
他の生徒たちは俺の名前を考えて盛り上がっている。
「じゃ、そろそろ答え合わせするぞー!」
またさっきのやつが声を上げる。
そして俺の隣に来ると、手でマイクを持っているみたいなジェスチャーをして俺に話しかけてくる。
「で?正解はー?」
ここはノっておいたほうがいいかな。
そう思い、俺は雰囲気に合わせて自分の名前を言う。
「えー、正解は国根透真でしたー。」
「え…」
わかるかよーとか無理だろーなんてことをみんなが言っている中、元気の擬人化(仮)は微妙な反応をした。
名前でなんかあったりするのか?
俺がまた考えこみそうになったとき、やっと先生が教卓のところに来て話し始めた。
「はい静粛にー。国根は津雲(つくも)の隣の席に座ってくれ。というか津雲も座れ。」
「国根、こっち。」
「あ、うん。」
先に行ってくれる津雲くんについていき自分の席に座ると、先生が今日の日程などを話す。
……津雲?
聞いたことのある苗字だ。
まさかと思い、俺はそっと津雲くんの方に目線を向ける。
ふわっとした髪、澄んだ青い目、左目の下の傷の跡。
なにより、困ってる人がいれば何も考えずに行動を起こすところはそのままだ。
津雲空。
昔この街に住んでいた時の、たった1人の友達。
間違いない。
そう思い、話しかけようとした。
けど、それよりも先にそいつが口を開いた。
「……こーく?」
ああ、やっぱりそうだ。
確信した俺は笑顔で返した。
「どうだろうね。」
てか、よくよく考えたら今日の始まり方が良くなかったかも。
少女漫画みたいな始まり方して、曲がり角で男子とぶつかって、それが幼馴染で、まさかの学校もクラスも同じで、隣の席になって。
ちょっと楽しみになってきちゃうじゃん。
「お前こーくだよな?!変わりすぎて名前聞くまでわからんかったわ!」
ホームルーム終わって第一声がこれ。
「逆にそっちは変わらなすぎじゃない?アホさ加減といいうるささといい。」
俺は、昔のように思ったことを口に出してみる。
「なんだと!?」
「ほら、そのまんま。」
「ぐぬぬ……、」
びびくんは言い返せなくて口籠る。
あ、びびくんっていうのは空のあだ名。
くっそビビリだからびびくん。
「……でも、ほんとお前変わりすぎじゃね?」
「え、そんな変わってる?w」
「……ううん、なんでもない。」
なんだよ。なんか気になっちゃうじゃん。
「どのように変わったと?」
「だから何でもねーって!」
「教えてくれたっていいじゃん!」
「なんでもないってば!」
「…あっそ。」
頑なに教えてくれなくて流石に諦めた。
まじでなんなん。
「お前勉強できんのー?」
授業中にもかかわらず、びびくんが思いっきり話しかけてくる。
「びびくんこそどうなん。おバカだからわかんないんじゃない?w」
俺はそれにもすかさず煽って返す。
「は?俺まあまあ成績いいし。」
「中学の成績いくつだったんだよ。」
「オール3!」
「3って普通なんだけど。」
「馬鹿って言われる割に平均とってんだからいいだろ!!」
「ふぅ〜ん、びびくん馬鹿って自覚あったんだ〜w」
「自覚じゃなくて周りに言われるからッ!」
「出た、負け惜しみぃ〜」
「お前なぁ!!!」
「おい津雲!授業中に騒ぐな!」
「何で俺だけなんだよぉ!!!」
びびくんがこの野郎と言わんばかりの目で俺を睨んでくる。
そんなときに使うのがこの必殺技、暗黒微笑(ダークネススマイル)。
あーあ。やっぱびびくんと一緒って楽しー。
そんな感じで午前中も終わり、あっという間に昼休み。
びびくんは昼飯も食わずにクラスメイトと取っ組み合ってる。
「熱くなってきたー!!!」
そう言ってびびくんは腕をまくる。
「え……?」
びびくんの腕を見て、見間違いであれと思った。
でも、びびくんの腕にははっきりと、
たくさんの切り傷があった。
俺はびびくんの肩を掴み、自分のほうに寄せた。
「びびくん、その腕……」
「!」
そう言うと、びびくんはすぐに袖を下した。
リス、カ…..?
でもどうしてびびくんが……
「ま、まあとりあえず昼飯買いに行こ!な!」
何も言わずにいると、少し動揺しながらびびくんはそう言った。
俺はぎこちなく頷いてびびくんについていった。
「ねえびびく___」
「ほら、お前の好きなメロンパンあるぞ!」
「………..」
何を言っても誤魔化される。
触れられたくないのかな……
でも、触れられたくない=リスカもしくはそれと同等のことがあるってこと……?
びびくん……
その後も結局びびくんのことばっかり考えて午後の授業も終えた。
びびくんに一緒に帰ろって言ったけど、委員会の仕事があるから先に帰っててって言われちゃった。
転校初日でこれかよ……
少女漫画みたいだったのに、今度はどこぞの小説アプリの病み小説みたいになってんじゃん。
どうしたらいいの…..?
次の日、びびくんのことで頭が爆発しそうになりながら、早めに登校した。
そして、教室のドアを開けて俺は目を見開いた。
その理由は一つ。
びびくんの髪が濡れてて、しかも運動着を着ていたからだ。
だけど、誰もびびくんが濡れていることに干渉しない。
びびくん、いじめられてるの…?
頭に浮かんでくるのは疑問ばかり。
俺は教室の入り口で固まってしまった。
すると、びびくんは何事もないように話しかけてきた。
「おはよー。どした?固まって。」
俺はびびくんがあまりに白々しいことに腹が立ち、びびくんの両肩を掴んで大声で言った。
「どしたじゃないでしょ!!」
「えッ、」
他の生徒も少しいたから、俺とびびくんに視線が集まる。
だけど俺はやめない。
「昨日の腕の傷もずっと誤魔化されてさぁ!!」
「っ!」
「朝からびっしょびしょになっててなんでそんなに白々しいわけ?!」
「ちょ、どうしたんだよ国根ッ、」
そう言って俺の方に手を伸ばす生徒がいた。
だけど、いじめているのはクラスメイトだと思っている俺は当然その手をはたいた。
「!」
そのクラスメイトは驚いてたが、俺は更にそいつを睨みつけた。
「こ、こーく……」
流石のびびくんも俺の行動に混乱している。
だけど、今しかないと思ってびびくんに言った。
「ねえ、なんでそんなんなってんの?ちゃんと全部話してよ。」
びびくんは数秒黙った後、やっと返事をした。
「……嫌いにならないでね…?」
「?う、うん。」
「放課後俺ん家来て。」
今日話したのはそれくらいで、そのあとは昼休みでさえもまともな会話をしなかった。
“嫌いにならないでね”、って?
それを話したら俺がびびくんを嫌うような話ってこと?
俺は不安だったが、それでもちゃんと聞こうと決めた。
そして放課後。びびくんが話しかけてきた。
「じゃあ行こうか。」
いつもよりテンションが低い。
いや、低いなんてレベルじゃない。別人ってくらいおとなしい。
「うん。」
俺はただ頷いてびびくんについていった。
行くときも俺がびびくんの後ろについていく感じで、びびくんは一言も話さなかった。
だけど、びびくんが家とは違う方向へ行くから、俺は口を開いた。
「ねえ、びびくん家ってあっちじゃない?」
「あー、俺一人暮らし始めたんよね。」
「一人暮らし?」
「それもあとで話す。」
「………」
全部あとで話すばっかり。
そんなに周りには聞かれたくない話ってこと?
また頭の中がはてなでいっぱいになる。
そんな中、びびくんが俺を現実に呼び戻す。
「おーい、着いたぞ?」
「あぁ、うん。」
俺が返事をすると、びびくんが家の鍵を開ける。
「ただいまー」
「え、家に挨拶するタイプ?」
俺は思わずツッコミをいれた。
「一人暮らしっては言ったけど他にいないとは言ってないじゃん?」
他にいないとは言ってない…?
じゃあ他に誰かいるの?
そう思いながらびびくんについてリビングに行くと、洗濯物の山が動いた。
「えっ、」
俺は驚いて思わず声を漏らした。
だけどびびくんはその洗濯物の山の近くに行って座り込んだ。
すると、
洗濯物の中から子猫が出てきた。
「ハナ〜ただいま〜」
びびくんがその猫を膝に乗せると、にゃーと嬉しそうに鳴いて顔の方に登って行こうとする。
他って猫のことだったのか。
って、そうじゃない。俺はびびくんの話を聞きにきたんだ。
「ねぇびびくん、猫はいいから話……」
「テルも、ただいま。」
俺の言うことなんて聞かずに今度はケージの中に入っている猫の方へ行った。
でもさっきの猫とは違い、近づくだけで毛を逆立てて怒っていた。
「うーん、やっぱり他の人のにおいは嫌かぁ。ごめん、ちょっと着替えてくる。」
それだけ言うと、びびくんは別の部屋に行ってしまった。
「なんなの…」
俺は思わず呟いた。
「にゃあッ」
すると、足元にさっきの子猫が擦り寄ってきた。
「あ…ハナ…..だっけ、」
名前に反応したのかぴょんぴょんし出す。
俺はハナを撫でようとしゃがんで手を伸ばすと、少し後退りした。
だけど、俺の手を嗅いでからまた手に擦り寄ってきた。
「おっ、ハナはもう大丈夫なんか!」
すると、びびくんがまたリビングに戻ってきた。
俺はまたびびくんに言う。
「だから、猫じゃなくて話!」
だけど、今度はチュール片手にケージを開けた。
そして、指にチュールを出して猫に近づけた。
さっきはあんなに威嚇してたのに、少しは警戒しているけどシャーとは言わずに指のチュールを舐めた。
見ていて微笑ましいが、それを遮って俺はもう一度言った。
「猫じゃなくて!!」
でもやっぱりびびくんはこっちも向かずに猫をチュールをあげてる。
それも、毎回わざわざ指に出して。
そして今度は猫の体に手を伸ばす。
だけど、少し触れた瞬間、猫はびびくんの腕を深く引っ掻いた。
「っ、」
びびくんは痛そうに腕を引っ込める。
当然その腕には3本の細長い傷ができた。
俺はその傷には見覚えがあった。
「!びびくん、その傷……」
「そーそー。見てもらった方がいいかなーって思ってさ。」
腕の傷はリスカなんかじゃない。
猫に引っ掻かれただけだ。
「じゃ、じゃあなんで隠したりなんか…」
「だって…..
それでこーくが猫に対して凶暴だなんてイメージ持たれたら嫌じゃん……」
嫌いにならないでねってそういうことだったのか。
話したら猫が嫌われると思って……
「俺、保健所で引き取られた猫や犬が殺処分されるのを小6くらいから気にしててさ。だから、保護して育てて、飼えるくらいに懐いたら譲渡会やってる団体に引き渡してんだ。」
「保護して譲渡……ってことは、ハナやテル…も?」
「そっ。だから、もうこーくにもすぐ懐くくらいだし、ハナは来週引き渡しなんだ。」
「そっか……寂しいね、」
「……寂しくないよ。」
「え?」
「だって、ハナがハナを必要とされてる人のところに行くんだもん。寂しいじゃなくていってらっしゃいって気持ちで送り出してあげなきゃ!」
「…….ふふっ、」
ほんとに根っから変わってないんだなぁ、
あ、でも、だったら朝びしょ濡れだったのは?
そう聞こうとしたが、びびくんが先に話し出した。
「朝のは……さ、川にボールが流されちゃって川岸を走って追いかけてる少年がいたもんだから……そのー……
は、橋の上から飛び込んじったー……」
「あ”?」
さっきまで優しい話されてぽかぽかしてたのに、びびくんのあまりの楽観的さに思わずドスの効いた声で言った。
「て、てへっ☆」
「この…..大馬鹿ぁあああ!!!」
「ご、ごめんてばー!!」
「す、すんませんした……」
びびくんは正座して申し訳なさそうに言う。
その頭にはたんこぶがあった。
もちろん俺がつくったものだ。
「ほんとさぁ、いい加減にしてよね。」
俺はそう言いながら、びびくんの顔の傷跡にそっと触れた。
「この顔の傷だって、無茶したせいでできたっていうのに…….」
この傷はまだ俺がこの町に住んでいたときに、木に登って降りられなくなった小さい子をびびくんが助けようとしたけど、結局落ちて木の枝に引っ掻かれてパックリ切れたものだった。
「完治する前に引っ越したから知らなかったけど、けっこう痕残っちゃってるじゃん……
せっかく綺麗な顔してるのに……。」
「えッ……..」
…….?
「びびくんなんか顔赤くない?朝のやつちゃんと拭いてなかったから風邪引いたんじゃ_____」
「う、うっせーよバカ!!風邪じゃないから!!」
そう言って、俺の腕がギリ届かないくらいのところまで後ろに逃げた。
「風邪じゃないなら……あ!もしかして~、俺に綺麗な顔って言われて照れちゃってんじゃね?w」
「……お前の顔にもお揃いの傷つけてやろうか?💢」
やっばい、びびくん割とマジギレだわ。
「あー…….そ、そんなことより……..あっ、花火大会!来月の花火大会行く?!」
「え、花火大会?」
「うん、ちっちゃい頃一緒に行って、毎年行こうって約束してたじゃん?」
たまたまテーブルの上に置いてあったチラシを見つけて話題を逸らした。
前にびびくんと花火大会に行った時に毎年行こうって約束していたのだ。
俺が転校してしちゃったから毎年というのは叶わなかったけど、戻ってきたから今年からまた行くことができる。
「だからまた一緒に行かない?って。」
「…..ちゃんと約束覚えてたんだな。なんか意外かも……w」
「意外ってなんだよ。流石の俺でも友達との約束くらい覚えてるって。」
「……まあ、それもそうだな。行こうぜ、花火大会!」
「あ、うん。」
なんか変なの。
てか、びびくんこそそんな些細な約束忘れてると思ってたな。
びびくんって物事を軽視する癖があるから。
まあ覚えてたに越してたことはないんだけど。
「まあ花火大会の日まで結構後だし、俺そろそろ帰るわ。」
「あー、うん。またな。」
そして俺はびびくんの家を後にした。
あれから、毎日うるさいバカが隣にいるようになって3週間が経った。
そして今日は日曜日。
びびくんと街で適当に買って食ったり飲んだりしてます。
んで、今何を飲んでるかと言うと、俺はオサレなのでキャラメルマキアートってやつ飲んじゃってます。
そして正面に座ってるびびくんは何をしてるかと言うと、
「…………….」
ハンバーガーと睨めっこしてます。
うまそうとか言って買ったくせにもう腹いっぱいなんだろうけど。
で、おもろいから俺も黙ってハンバーガーとの睨めっこを観戦してる。
まあどうせこのあとの展開なんて予想できるし。
「……こーく頼む!残り食べてくれぇ!!」
出た。保護者かよ俺。いや保護者か。
「はいはい。ちょうだいそれ。」
「お願いします……」
俺はびびくんからハンバーガーを受け取り、まず一口食べてみる。
うお、思ってたより美味。
俺はあっという間に半分くらいのハンバーガーを食べ切った。
「いやまじ助かったわ!」
「助かったじゃなくてちゃんと量考えて買いなよ。あんまり食わされると俺の美貌に傷がつく。」
「お前、美貌って…(引)そんなに美意識高いん?」
「いや別に。」
「なんなんだよw」
俺たちは2人で何気ない会話をしていた。
だけど、そんな会話を女性の叫びが遮った。
「りこ!!!!」
女性の視線の先には小さい道路のど真ん中に飛び出して行った5歳くらいの女の子だ。
女性の子供だろうか。
その5m前にはトラックが迫っている。
俺は轢かれる瞬間を見ないようにびびくんのいる左側に目を背けた。
だけど、
びびくんがいたはずの左側に、びびくんはいなかった。
俺はまさかと思ってトラックの方へ視線を戻した。
……そのまさかだった。
俺が気づいた時にはびびくんは女の子の方へ走っていた。
そして、道路を挟んで反対側の人混みに女の子を思いっきり突き飛ばした。
だけど、トラックはやっぱり止まらず、
びびくんを撥ねた。
びびくんが、撥ねられた。トラックに。
見たままの光景を理解するのに数秒かかった。
そして、理解した瞬間、俺はびびくんのところへすぐに駆けつけた。
「びびくん!!!!」
そこが道路であることなんて考えることはなく、その場から退こうなんて思いもしなかった。
「びびくん…!びびくん!!」
「こ….く、おんな、の….こは……?」
「女の子は向こう側にいた男の人が受け止めたから!そんなことよりびびくんだよ!」
俺の服はびびくんの血で赤く染まっていく。
体のあちこちから、頭からも血が出てる。
頭はきっと、撥ね飛ばされたときに頭を打ったんだ。
びびくんの顔はアニメで見るみたいに、血が垂れて顔が上半分真っ赤になってる。
「事故です!男子高校生がーーーでトラックに!はい、はい…!」
後ろで誰かが救急車を呼んでくれてる。
一方で、びびくんの意識は既に朦朧としていた。
待つことしかできない俺は、ただひたすらびびくんに呼び掛ける。
「救急車、呼んでくれたみたいだから、もう少し頑張ろ?ね?」
呼びかけてもやっぱり腕の中のびびくんはどんどん弱々しくなっていく。
「俺…….まだ…….」
「え?」
びびくんが俺に何か言おうとしてる。
「なに?まだ、なんて言いたいの?」
そう言ったけど、びびくんは完全に意識を失ってしまった。
「……っ!」
その後は、瞬きと呼吸だけをしてびびくんを見つめていた。
「…….綺麗な顔。」
気づいたらそんなことを口にしていた。
なんて薄情なやつだ。
こんな状況なのに、涙なんて出やしない。
まだ状況が飲み込めていないのだろうか。
そんなことを考えていると、どこからか救急車のサイレンがきこえてきた。
遠くなのか、もう近くに来ているのか、そんなことすらはっきり認識できなかった。
「担架に乗せるので離れてください!!」
なんだ、もう近くに来ていたのか。
俺が離れると、救急隊員がびびくんを担架に乗せて救急車の中に運んでいく。
「同乗願えますか。」
その様子を映画を見るみたいに眺めていると、救急隊員が俺にそう言ってきた。
俺は頷いて救急車の中に入る。
びびくんは救急車のベットの中で眠っていた。
呼吸しているのかなんて、俺にはわからなかった。
涙が出ないから冷静になっていると思っていたが、事を認識していないわけじゃないみたいだ。
びびくんが撥ねられたことを頭では理解していたのだろう。
理解はしていても、心が追いつかないってやつだろうか。
俺は正常なはずなのに、視界が霞んで見える。
不快な高音に、思わず耳を塞ぎたくなる。
霞んだ視界でなんとなく見ていたが、何か違うと思って目を擦った。
そのとき、さっきの不快な高音の正体に気がついてハッとした。
それは、びびくんの心臓が止まったことを知らせる音だった。
さっきまで何も考えていなかった分がまとめて流れ出てくるように、一気に不安が押し寄せる。
びびくん……びびくん、びびくん….!
心の中で何度もびびくんを呼んだ。
そんな行為も虚しく、びびくんの心臓がもう一度動くことはなかった。
「最期を看取ってくれて、ありがとうねッ……」
「空もきっと、最期まで透真くんが一緒にいてくれて安心したと思うよ……..ッ」
「……….あ、あぁ、はい。」
こんなに自分が感情が薄いやつだなんて思ってなかったな。
目の前でびびくんの両親が泣きながら俺に話しかけてきているというのに、一粒の涙も出てこない。
受け入れられていないのか、追いついていないのか。
なんなんだろう。
さっきは理解していたと思っていたのに、びびくんが死んだ、という事実が漠然としすぎていてよくわからない。
泣けない自分がなんだか悔しくて、俺はもう一度びびくんのいる部屋へ向かった。
そして、部屋の扉を閉めてびびくんの方を見た途端に、俺は言葉を失った。
ベットに横たわっているびびくんとは別に、起き上がっているびびくんがもう1人いたのだから。
「こ、こーく、これ……..」
起き上がっていたびびくんは俺の方を見てそう言った。
「びびくん、なの?」
「うん、俺………だと思う。いや俺だろ。普通に。」
それから同じようなことを何度も質問し合った。
「と、とりあえず、病室を出______」
びびくんを病室から連れ出すために手首を掴もうとしたが、俺の手は空を切った。
びびくんに触れられなかったのだ。
「は……..?」
「これー、俺幽霊になったってこと….?」
「そう、なのかな………」
「でも、透けてないし…….」
そのとき、後ろでドアが開く音がした。
「透真、一度家に帰ろう。」
後ろを振り向くと、父さんと母さんがいた。
「俺、やっぱり見えてない感じ…?」
俺は視線だけをびびくんの方に向けて、スッと顎を引いた。
それを見たびびくんは、俺の方へ歩いてきた。
やっぱりつま先まで透けていない。
「……..うん。」
俺は間が開きながらも父さんの言葉に返事をした。
「すっげー!床貫通するわw」
「………..」
家に帰ってきてから、びびくんはやりたい放題。
“死んだ”なんて、やっぱり漠然としすぎている。
だってびびくんは今、俺の目の前にいるんだから。
結局、俺はびびくんが死んだという状況を受け入れないことにした。
ただ、理解だけしておく。
それが今は最善、だと思う。
……..下で母さんが呼んでる。多分風呂だな。
「びびくん、俺風呂入ってくるね。」
「おー。」
俺ははしゃぐびびくんを置いて部屋を出た。
そして次の日。
「ねーえー!何も触れないし何も食えないー!!」
「黙れ小僧。」
「そもそも不用意に飛び込んだお前が悪い。」
「でも結果的に女の子助かったじゃーん!」
「なんなら俺が飛び込まなかったら女の子が死んじゃってたかもしれないんだよ?!」
「それは……まあ、そうだけど………」
でも、俺にとってはあの時初めて会った女の子よりも、ずっと身近なびびくんの方が大事だった。
なーんて、優しいびびくんに言ったらきっと怒るんだろうね。
いつも人のことばっかり。
ほんと、なんでいつも_______
「自分は2番目なのッ………」
「っ………!?」
…….?
びびくんが今まで見たことないような顔で驚いてる。
驚いてるって言うより、少し怯えたような…..
「……びびくん?」
「えッ、何?」
「いや、なんかなんとなく変だったから。」
「大丈夫?」
「あぁ、うん。別に平気。」
何だよ。無駄に気使わせやがって。
まあしゃーないか。びびくんだもんな。
津雲空っていうやつは基本的に無駄が多くて周りに迷惑かけがちだもんな、うん。
「……お前なんか変なこと考えてる?」
「これはあくまでも事実である。」
「……….?」
「そう、ノンフィクションだ。」
「?????」
「ね〜テル〜、お前の主人は俺だぞ〜?」
午後はびびくんの家にテルの様子を見に行った。
初めてきた日以外にも何度か遊びに来ていたけど、テルはいつになく静かだった。
どこか寂しげで、きっとびびくんはもういないということをわかっているんだろうと思った。
やはりびびくんは俺にしか見えていないらしく、びびくんのいない寂しさを埋めるかのように俺に撫でろと言わんばかりに手に頭を押し付けてくる。
「てっちゃーん!!!!!!」
「うるっせーよ!!!」
テルが無反応だからって無理矢理気づいてもらおうと大声を出してたけど、流石に我慢の限界になってびびくんに怒鳴った。
だけど、びびくんが騒ぎすぎて忘れていたが、俺の声は普通にテルに聞こえるから、テルはびっくりして猛ダッシュでゲージに戻って行った。
「ほら〜、いきなり大声出すからテルがびっくりして逃げちゃったじゃ〜んw」
「死ね。」
「もう死んでま〜すw」
なんともいじりずらいボケになんとなく気まずさを感じ、俺は元からそうするつもりだったかのようにテルの入ったゲージを閉めた。
びびくんが死んで3日。
びびくんの葬式に行くために制服に着替えた。
「ん、こーくどっか行くん?」
「いや、お前の葬式。」
「あ、そか。俺死んでんのかw」
「いや限界の自虐ネタw」
この前も言われたしもういいかと思ってツッコミも入れる。
その後も、いつもみたいにくだらないこと言ってボケたりツッコんだり。
心の内で楽しいと思えば思うほどに、いつか消えてしまうんじゃないかという不安に襲われる。
びびくんが死んだという事実を受け入れずに生きていると思い込んだとしても、もうすぐびびくんが死んでしまうかもしれないというような感覚で、結局いつも通りになんてなれなかった。
それでも、びびくんと話してる間は目の前にいるという安心で、不安も少しばかり和らぐ。
「なー、俺も行ったらダメ?」
「……はっ?」
「いやー、だって別に俺が行ったって誰も見えないわけだし。」
「いや、でも……..」
そっか、見えないんだもんね。
「まあいいんじゃない?」
「てか、行くならはよこい。」
「ちょっと待てってー!」
「みんな俺がいなくなったのが悲しくて泣いてくれてるーw」
「………..」
「いやお前も泣けよ!俺が悲しくて泣いちゃうわ!」
「……….」
「なんか言えよーつまんないだろー?」
……いや言えるわけねーだろって言いたい!!
てか逆にみんなしくしく泣いてんのに俺だけ何もいないところに話しかけろとか無理すぎなんだけど!!
ふざけんなよまじでこいつ……
とか何とか思ってたらお経が止まって周りの人たちが席を立ち始めた。
俺はびびくんに言いたいことがめちゃくちゃ溜まりに溜まったので、会場の外に出てスマホを耳元に当てた。
「あのなぁ!!あんな静まり返ってるところで何もないところに話しかけろっていうのがそもそもおかしいっつーの!!!」
「ふぇ?」
「ふぇじゃねーよどアホ!!てかそもそも隣に本人いんのにどう悲しめっていうんだよ1人で泣いとけー!!!!」
「お口が悪うございます透真様……(泣)」
「ったく…….」
言いたいことを言い終わると、流石のびびくんも心に来たのかしゅんとしてる。
「てか、マジで俺の姿お前以外に見えないんだなー。」
はいこいつもう立ち直りました。
「メンタルどうなってんだよぶん殴るぞ。」
「殴れるもんなら殴ってみろよ〜w」
「…….チッ」
「いや怖!!マジの顔やめろって!w」
ほんと、変わんねーなーこいつ。
いつになっても、どんな状況になってもずっとびびくんしてる。
….あと、どれくらいこうしていられるんだろう。
何か考える度に頭をよぎる不安。
ずっと、隣にいてくれたらいいのに。
びびくんと再会して約1ヶ月。
昔と変わらない、隣にいてくれる安心感。
同調性バイアスってやつかな。
いつか消えてしまう可能性が視界にありながら、きっと消えないと思い込んでいる自分がいるのかもしれない。
「あーもう!!なんか頭ぐちゃぐちゃ!!なのに涙ひとつ出てこないんだけど!!!!!」
「いやだからそれは俺が泣くってば。」
「やっぱ殴らなきゃ気が済まねぇ!!」
「だから殴れるもんなら殴ってみ____」
「スゥゥ…………」
スマホをポケットに戻してから、大きく息を吸い、後ろに思いっきり肘を引いて力を溜めた。
それから、びびくんの方へ向かって溜めた力を放つ。
それなりに速度がついて、ヒュッと風を切る音がした。
「ひぇえ!!」
当たってない……いや、一応当たってはいるけど、感覚がないにも関わらず怯えたような声を出すびびくん。
「だからおめぇ顔がガチすぎて怖いんだってぇ!!!」
びびくんが死んで1週間。
そして今日はとうとう花火大会の日。
特に浴衣とかを着るわけでもなく、いつも通り夏用のズボンにゆるい半袖。
「なんかもうちょっとちゃんとした服ないのかよー。」
「文句言うな。」
「もっとなんかこう……浴衣とかねぇの?」
「ない。」
「おもんないやつ。」
「あ?」
「いやごめん。ごめんてば。調子乗ってすいませんでした。」
てかそもそも浴衣なんて家にないし。
あったとしても、この前葬式だったのに今度は浴衣を出すなんてバタバタしちゃうし、仮にもびびくんは死んだことになってるんだから、次の日に浴衣をきて花火大会に行くなんて、非常識にも程がある。
「ほら、行くならさっさと行くよ。」
「はーい。
「…….なぁ、こーく。」
「ん、どした?」
「いやぁ、こーくって、そのー……..」
「好きな人とか、いる?」
なんだその質問。乙女か。
そんなことを思いながら質問に答える。
「別にいないけど。なんで?」
「….いや、なんか、なんとなく。」
「なーんだ、なんとなくか。」
「……..逆に、なんだと思った?」
「俺のこと好きな子がいたのかと思った。」
「……相変わらずナルシストだなお前w」
「いや、だって好きな人いる?なんて質問、女子に言われたらこれから告白されるんかなーって思うけど、男子だったらただの恋バナかってなるし。」
「しかもびびくんだったら尚更。恋バナなんてするキャラじゃないでしょ。」
「………..。」
急に黙り込むなんて、変なの。
いつもの俺みたいじゃん。
まあびびくんのことだから長々と考えてなんかいられないだろうし、また話始めるまで待つか。
なんて思いながら歩いてたら、思ったよりびびくんが沈黙を決め込んできてフリースペースについてしまった。
「びびくん、もう着いたよ?」
「…….あ、まじ?」
「めっちゃ黙ってたけど、なんか考え事?びびくんにしては珍しく。」
「一言多いわw」
「俺だってお年頃の男子なんだから悩み事の一つや二つぐらいあるに決まってんだろ。」
「え、2つも悩み事あんの?」
「いやひとつだけど。」
「じゃあお前の例えが悪いじゃねぇか。」
「重要なのは何個悩みごとがあるかじゃなくて何を悩んでるかだろ!?お前もしかしなくても友達いないだろ!」
「いないけど。」
「あ、いないんだ。」
「えーっと、wなんかごめん……www」
「ごめんもっかい殴らせてもらっていい?^ ^」
「だから顔顔顔!!!」
そんなやりとりをしていると、空が突然明るくなり、爆発音が響く。
「おっ、始まった!」
びびくんがそう言ったのとほぼ同時に、反射的に空を見上げる。
当たり前だが、空にはいくつもの花火が散っていく姿があった。
次こそは開いたところを捉えようと、じっと空を見つめる。
すると、いくつかの筋が伸びて一斉に広がっていく。
ただ、歓声や拍手が上がるほどすごいかというとそうでもない。
そこまで有名なわけでもないし、多分ここに集まってる人のほとんどが「毎年行ってるし行くー?」的なノリだろう。
そんなことを考えながらぼんやりと花火が開いては散っていくのを眺めていた。
そしてあっという間にフィナーレが始まったころ、そっと呟いた。
「なぁ、こーく_____」
何か用だろうと思って、俺はびびくんの方を見た。
すると、
びびくんよりも奥の景色がぼんやりと見えた。
透けていたんだ。びびくんの体が。
でも、俺が質問をする前にびびくんが続ける。
「俺、ずっとお前のこと好きだった。」
「……..は?」
「…….え、いやいや、“だった”って、何?」
「好きなんだよね、でいいじゃん。なんで過去形なの。」
怖い。
この嫌な予感が当たってしまいそうで、いつもよりも心臓の音がうるさく聞こえた。
「小学校の頃から…….いや、もしかしたら幼稚園の頃からかもしんないわw」
「……もっと早く言えばよかった。ごめん。」
いや、いいよ。ごめんなんて言わないで。
いつもなら、うるせぇよばか、どう考えてもお前が悪い。なんて言ってくるじゃん。
なのになんで、なんで素直にごめんなんていうの。
返す言葉なんて、頭の中でいくらでも生成できる。
でも、声が出ない。
目が乾燥して痛い。
でも、次に瞬きをしたら、びびくんがいなくなっていそうな気がして必死に堪える。
「ほんと、好きだったなぁ………」
「行か、ないで___…..!」
そう言い切るか否やのところで、最後の1番大きな花火が俺たちの上で咲き誇った。
その花火の大きな爆発音に驚いて反射的に目を瞑った。
…….それがいけなかった。
しまった、と思ってもう一度目を開けた時には、隣にびびくんはいなかった。
花火が終わり、人が段々と少なくなっていく。
それをまたぼんやりと眺めた。
ぼんやりというのは、イメージとかそういうのじゃなくて、本当にぼんやりと揺らいで見えていたんだ。
____涙だった。
びびくんが死んだ時でさえ流さなかった涙が、今になって全部溢れてきやがる。
溢れ出して、止まらなかった。
でも、叫んだりはしなかった。
ただ声にならない嗚咽だけが、静かな夜に響いていた。
びびくんが死んでから…..いや、びびくんが消えてから一年が経った。
びびくんが消えてからは、毎日びびくんのようなことをして過ごした。
びびくんがいたら助けてたかな、なんて考えながら、びびくんはいないから俺しかいないんだと思ってたら、なんか放っておけなくて。
2週間前ぐらいには轢かれそうになってた男の子助けたっけ。
まじでびびくんみたいなことしてんな、俺。
そんなことを考えていると、空が突然明るくなる。
俺はゆっくりと空を見上げた。
そして花火が咲いては散るのを見ていると、なんとなく隣に人の気配がした。
そして横目で見ると、美青年がいた。
俺は驚いてその青年に顔を向けた。
青年は見惚れてしまうほどに整っていた。
そして、どこか見覚えのある顔だった。
ふわっとした髪、澄んだ青い目、左目の下の傷の跡。
ああ、知っている。
俺はこいつがどんなやつか知っている。
こいつが誰なのか、知っている。
すると青年は、こっちに顔を向けてニヤッと、イタズラっぽく笑って言う。
「surprise☆」
「発音いいのやめろよ……w」
津雲空。
トラックに轢かれそうになった女の子を助けて死んだ、俺の親友だ。
俺は耐えられなくなって、思いっきりびびくんを抱きしめた。
びびくんもそれを受け止めて抱き返してくる。
「……..会いたくなかった。」
耳元でそっと囁かれて、俺は驚いた。
でも、次の一言で安堵した。
「でも、会えて嬉しい。」
会いたくなかった。
わかってるんだ。
本当は。
でも、今はそんなのどうだっていい。
そして、俺はずっとびびくんに言いたかったことを口にした。
「俺も、なんだかんだびびくんのこと好きだった。」
「なんだかんだってなんだよw」
大して面白くもないこの会話に、俺たちは腹が捩れるほど笑った。
そんな俺たちを、周りの人たちは誰も気になんて止めない。
_____だって、誰も俺たちに気づかないから。
コメント
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わぁぁぁぁ!!なるほど、え、ほんとに、やばすぎません!?わたしこんなに、すごい作品見たことないですって!? 私過去一この作品すきです、まじで、 感想とか書くのとか言葉にするの苦手だからこうゆうことしかいえないけど、ほんとにほんとに最高すぎる!!!(´。✪ω✪。 ` )
うわー🎈くん最後ー…😭😭 憶測ですが2人とも消えちゃうendですかね…🤔 てか️️️⛅️くん優しすぎるよ泣いちゃう😭 めっちゃ読み応えあって面白かったです!!最高でした!!!