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めっちゃくちゃ楽しみです!💕 続き待ってます(*^^*)
ちょー好きです‼️
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春千夜「あいつ⋯俺の事めっちゃ好きじゃねーかよ⋯⋯」
よくよく考えれば、蘭という男は何かと俺につっかかってくるやつだった。
よく嫌味や、からかいを受ける反面、飯に行こうだの、一緒に出かけようだの、外の任務の時に俺にだけ土産をくれるだの、
俺はよく蘭に、特別扱いを受けていた。
蘭の好意を知らない時の俺は、全て含めて馬鹿にされてると思っていて、「ふざけるなよ」とめちゃめちゃ蘭を嫌っていたが⋯
あれは、きっと、いや、絶対
アピール、だよな⋯。
春千夜「クッソ⋯⋯」
あまりの自分の鈍感さに頭を抱える。
春千夜「⋯、俺なんであんなにされて気づかなかったんだよ⋯」
いや、まぁ、確かに気づいたところで何か出来たわけでもねぇけど。
けど……、
でも、ちょっとは⋯
春千夜「あいつに⋯優しくできたのに⋯」
はっと、我に返り、自分の女々しい発言に驚く。
春千夜「⋯、いや、女かよ⋯やめだやめだこんなこと考えても無駄だ。」
深夜
春千夜「⋯あ”あー⋯疲れた。」
パソコンの前で何時間も座っていると、やっぱ腰に来んな。
壁にかかった時計を見つめ、もうこんな時間かと、さっさと帰る支度を始める。
ガチャ
その瞬間、オフィスのドアが開いた。
春千夜「!」
「あれ、春千夜、まだいたんだ」
そこには、今、俺を1番悩ませている元凶が立っていた。
春千夜「いや、もう、帰るとこ、だわ」
蘭「そっかぁ、ざーんねん」
残念って、んだよ⋯
春千夜「……じゃあな」
今朝のことがあったせいで、少し分が悪くて、そそくさとその場を去ろうとする。
蘭「あ、待って春千夜」
そう呼ばれ立ち止まる。
春千夜「⋯んだよ」
渋々、振り返る。
蘭「ん、はい、これ」
と笑顔で蘭が手を差し出す。そこには見慣れた店のケーキの箱があった。
春千夜「!、これって⋯」
蘭「そ、ここのチーズケーキ、はるちゃん好きだったっしょ?偶然見つけたから、買ってきた。あげる。」
蘭が、俺のために⋯。
てか、なんで、俺の好きな物知ってんだよ。
春千夜「……」
教えた覚えもない、教えたくもない、こんなこと。なのに、なんで⋯
春千夜「なんで⋯知ってんだよ⋯俺の好きな物。」
自分が、何故こんな無駄な質問したのか分からなかった。さっさと会話を終わらせて、帰ればいいはずなのに。
蘭は一瞬戸惑ったような顔をしたが、すぐにいつもの顔に戻った。そして俺の目をみて言った。
蘭「⋯⋯見てたから⋯ずっとお前のこと。」
春千夜「は、⋯?」
いつにも増して真剣な瞳。
予想もしていなかった言葉に動揺を隠せなかった。
余程間抜けな顔を晒してしまっていたのだろう。蘭が俺を見て笑う。
蘭「ふはっ、冗談だっての、まじにすんなよ笑」
蘭「お前んとこの部下から偶然聞いて知ってただけだから笑ほら、やるよ。」
……
そう言って、もう一度ケーキの入った箱を俺の前に差し出してくる。
今度は、何も言わずに受け取った。
春千夜「⋯⋯、」
くる
歩き出そうと後ろを向く足を止めて、また蘭の方へ振り返る。
蘭「?、どうしたの?」
春千夜「⋯、…その、⋯」
握りしめた拳にグッと力を入れる。
春千夜「……っ、あ、ありがと、な。これも、……、今朝の、ことも……、」
意を決してそう放った。
最初蘭は、びっくりしたような顔をしたあと
蘭「…ふはっ♡なんだよ、今日はやけに素直だな。」
と言い、笑みを浮かべた顔でこちらを見る。
春千夜「⋯、」
ぱっ、
なんだかその笑顔が俺にはくすぐったくて、目を逸らした。
さっきの言葉が段々と恥ずかしくなってくる。
もう言うことも言ったし、さっさと帰ろう。うん、そうしよう。
春千夜「……じゃ、じゃあ、また……な」
そういい、もう一度足を進ませる。
蘭「……ん、ケーキ、美味しく食べてねー♡」
その言葉に、なんだか心がきゅっとした気がしたのは、きっと俺の勘違いだ。
蘭に早々と別れを告げ早足で階段を下る。
通常よりも少し早く脈を打つ心臓。
全身に血が巡りに巡って鬱陶しいほどに体が火照る。そんなに歩いたわけでもねーのに。
春千夜「あー、⋯⋯あっちぃ⋯…//」
少し休憩を取っていると、先程の場面が脳裏に浮かんだ。
春千夜「………蘭が、俺を見てた……か」
どくん
そう思うと同時に、心臓の音がさらに早くなる。
春千夜「……ぁ”‘ー……///」
おもわずその場にしゃがみこむ。
……冗談とは言っていたものの……。
春千夜「あんな真剣な目、初めてみたっつの……」
冗談だと笑う蘭の瞳の奥に、「俺の気持ちに気付いて欲しい」、そんな思いが感じられた気がした。
気の所為だったのかもしれない……でも……。
春千夜「あぁ”、くっそ……」
春千夜「……なんなんだよ……ほんと、」
……好き、だと聞いてしまった以上、気付かないふりは出来ないし、関係が変わることも覚悟していた。
けど、俺があいつ相手に、こんなことになるなんて、予想もできなかった。
あぁ、これはもう、しょうがない、認めるしかない……俺は、あいつを……蘭の、ことを、……
春千夜「意識、しちまってる……。」
あー、……顔、あつ。
その夜、家に帰って食べた蘭から貰ったチーズケーキはあまり味がしなかったことを覚えている。
先日のあの一件以来、特に変わった様子もなく、あの告白をされた日からちょうど、3週間が経とうとしていた。
そして、ここ数日でわかったこと。
あいつはやはり俺にめちゃくちゃ「本気」だということだ。
いや、こんなの自分で言いたくねぇけど、ねぇけどさ…
春千夜「うぁ”ー、クッソ……」
なんて言って、頭を抱える。幸い、デスクの周りにも、部屋にも誰もいない。
春千夜「……はぁ、」
あぁ、もうんだよこれ……、なんで俺があいつのことで一々こんなに悩まなきゃならねーんだよ……!
春千夜「クッソ、もう、ほんと、勘弁しろよ⋯」
なんて、小声で呟く。
蘭「なーに、はるちゃん、なんか悩み事?」
後ろから聞きなれた声がした。
春千夜「うわ、ら、蘭」
急にこいつが現れたせいで情けない声が自身の口から飛び出す。
蘭「うわってなんだよ、うわって、バケモノ見たみてぇな反応しやがって」
ある意味そうだが。
蘭「こっちは、元気なさそうだったから心配して聞いてやってんのによー⋯」
ふざけんなお前のせいだよ、と叫びたくなった衝動を押えて
春千夜「んでもねーよ⋯疲れてただけだわ」
と返事をする。
蘭「ふーん、ならいいけど」
春千夜「……」
……心配、……か、
心配してくれてありがとう、って言ったら、蘭、喜ぶかな。
はっ、いやいやいやいや
ないないない、流石にないぞ、俺。キモすぎるだろ、そんなの。
春千夜「……」ぶんぶん
頭を横に振る。
蘭「?」
まぁ、でも、すこーし、喋るくらいなら……
よし、
春千夜「……あー、蘭……」
そう言って春千夜が後ろに立つ蘭に向き合おうとする。
蘭「ん?なにっ、わ!」
春千夜「!、」
ドンと、机を打つ音。
長年俺と付き添ってきた古い椅子がギィと音を響かせる。
俺は息を飲んだ。
春千夜「……」
春千夜(顔……ちけぇ……)
蘭の瞳の中に映る俺が、はっきりと見えるほどの顔の近さ。
蘭「……あ、……ごめん……転んだ……」
自分でも今、何が起きたのか分からなかった。
後ろに振り向いた瞬間、転んだのであろう蘭が俺の後ろの机に手をつこうとして、
それでちょうど蘭の顔が、俺の顔の前に……。
春千夜「……っ、///」
顔が熱くなるのが自分でもわかった。
これは、まずい……、
ばっ、
急いで顔を逸らした。
春千夜「こ、転ぶとか……鈍くせぇな……、」
このむずむずとする空気を切るように、そう言い放つ。
蘭「……ぅ、ん、ごめん……」
ぱっ
そういい、蘭が俺から離れる。
蘭「……」
春千夜「……」
なんだ……このむず痒い感じは……、
突然の出来事に戸惑っていると、蘭が口を開いた。
蘭「…あ…ー、俺、忘れ物、取りに来たんだわ。早く行かねーと。」
春千夜「そ、そうかよ……、」
なんてぎこちなく返事をする。
蘭「じゃあ、……またな、春千夜」
春千夜「……ん、またな」
簡単な別れの挨拶をかわし、蘭がどこかに行ったことを確認してからパソコンともう一度向き合う。
春千夜「……」
また仕事を再開させる。
だが、直ぐに手の動きを止めた。
……先程の光景が頭から離れない。
近づく瞳、聞こえる心音、触れる肌から感じる体温。全てが頭の中で詳細に、鮮明に残ってる。
春千夜「……あ”ぁ、クソ……」
デスクに頭を伏せる。
春千夜「仕事になんねー……っつの……、//」
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読んでくれてありがとうございます‼️✨️✨️
更新がめちゃめちゃに遅くなってしまってすみません💦次もお楽しみにしていただけると幸いです!