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ミク
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7時42分の約束
翌朝。
勇斗は目覚ましが鳴るより少し早く目を覚ました。
カーテンの隙間から入る朝の光をぼんやり眺めながら、昨日のことを思い出す。
――『明日の朝も、7時42分に来て。』
あの本に書かれていた言葉。
「……なんなんだよ、あれ」
独り言をこぼして、勇斗はベッドから起き上がった。
別に行く必要なんてない。
そう思っていた。
けれど、家を出る時間になると、なぜかいつもより少しだけ早く靴を履いていた。
駅へ向かう。
そして、いつもの道を歩く。
公園が見えてきた。
勇斗は無意識にスマホを見る。
7時41分。
「……いるかな」
昨日までなら、そんなことを考えもしなかった。
公園の前まで来たところで、勇斗は足を止める。
ベンチには――
仁人がいた。
昨日と同じ場所。
昨日と同じ姿勢で、本を読んでいる。
勇斗が近づくと、仁人が顔を上げた。
「来た」
「……来ると思ってた?」
「うん」
「なんで?」
仁人は少しだけ笑った。
「勇斗、気になることをそのままにできないタイプだから」
「……なんでそこまで俺のこと知ってんの?」
その質問に、仁人の表情が一瞬だけ曇った。
ほんの一瞬だった。
けれど勇斗は気づいた。
「……吉田くん?」
「仁人でいいよ」
「え?」
「俺も勇斗って呼ぶから」
「いや、そういう問題じゃなくて……」
仁人はベンチの隣を軽く叩いた。
「座る?」
勇斗は少し迷ったあと、隣に座った。
朝の公園は静かだった。
遠くから車の音が聞こえる。
木の葉が風で揺れる。
「昨日の本」
勇斗が切り出す。
「何?」
「俺に見せるために置いたんだよね?」
「うん」
「なんで?」
「……それはまだ言えない」
「なんでだよ」
「今言ったら、たぶん全部変わっちゃうから」
勇斗は黙った。
仁人は本を膝の上に置き、前を向いた。
「勇斗には、まだ知らないほうがいいことがある」
「俺に関係あること?」
「ある」
その答えだけは、迷いがなかった。
「じゃあ教えてよ」
「まだダメ」
「……ずるくない?」
「ごめん」
仁人はそう言って笑った。
その笑顔が、なぜか少し寂しく見えた。
勇斗はそれ以上聞けなくなった。
しばらくして、仁人が立ち上がる。
「そろそろ行こう」
「学校?」
「うん」
「どこ?」
「……勇斗と同じ」
「え?」
勇斗が顔を上げる。
仁人は何でもないことのように言った。
「今日から、同じ学校に行くから」
「…………は?」
「昨日までは、少し遠くから見てた」
「いや待って。どういうこと?」
「そのうち分かるよ」
仁人はそう言って歩き出した。
勇斗も慌てて追いかける。
「ちょっと待って!」
「なに?」
「昨日まで同じ学校じゃなかったのに、なんで今日から?」
「転校したから」
「そんな急に?」
「うん」
「……絶対なんかあるじゃん」
仁人は振り返って、少しだけ笑った。
「あるよ」
「やっぱり!」
「でも、それもまだ秘密」
「秘密多すぎだろ!」
勇斗の声が、公園の静かな朝に響いた。
仁人は笑いながら歩いていく。
その背中を追いながら、勇斗は思った。
この人は、何かを隠している。
そして――
その秘密は、きっと自分と無関係じゃない。
その日の朝。
勇斗はまだ知らなかった。
仁人が転校してきた本当の理由を。
そして、仁人が毎朝7時42分に公園へ来ていた理由も。
コメント
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第2話読み終えたよ〜!🌸 朝の公園の静かな空気感がすごく伝わってきた…「7時42分」っていう数字にちゃんと意味があるんだろうなって思うと、もう気になって気になって!仁人の「まだ言えない」って言葉とか、ちょっと寂しげな笑顔がめっちゃ気になる…😭💕 勇斗の「秘密多すぎだろ!」っていうツッコミ、めっちゃわかる(笑) 次が待ち遠しすぎるよ〜!二人の距離がどう変わっていくのか、ドキドキしながら待ってます!✨