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あーテストで赤点とった。死にてぇ〜。
僕は安易に「死にたい」とか言わない。
命の尊さを知ってるから。重さは知らないけど。
なのに、今でなら安易に言える。
____“
モハルとカナトを殺したのは僕だ。
モハルは眼鏡で前髪長めの勉強できるやつ。
よく悪口や変な噂を撒かれる。
教室では吃音気味。
クラスメイトによく陰キャといびられていた。
カナトはクラスメイトと馴染めないやつ。
一部分の髪が長くて三つ編みしてる。
多分そのせいで馴染めてないんだと思う。
爪がガタガタ。
そんな2人は僕といてくれた。
2人とも大好きなんだ。
容姿も性格も。
2人は僕に馴染んでくれてたと思う。
僕の横じゃ、吃音もなかった。
三つ編みはより綺麗になされていた。
僕は、そんな2人に憧れを持った。
特定の誰かの前でありのままで居られていいな。
…僕は誰にでも素で接せるから、憧れた。
本当は憧れていいものでもなかったのかもしれない。
あの日、僕はカナトの親に話された。
「カナト、何があったか知ってる?」
言いたいことは概ね伝わった。
分かりません、そう返しておいた。
不登校_学校に行き渋るようになったカナト。
あいつは友達想いだから、もしかしたらクラスメイトのモハルへの悪口などからかも知れない。
そゆいう類いのことを言い出せていない。
カナトの親に会ってから2日、土曜日。
今日は3人で自然を楽しみに行くつもりだ。
まぁまぁ都会な僕たちのいる場所を抜けて、
少ししたら程よく整備された森がある。
昨日のうちにモハルには伝えておいた。
カナトにも、メッセで伝えた。
2人とも賛成のようだ!
いつものバッグにものを入れる。
絆創膏、ガーゼ、テープ。
レジャーシートとお財布、懐中電灯。
スマホ、カッター。
「母さん、遊んでくるね」
「いいけど、どこ行くの?誰と?」
「内緒。隣町には行くかも。」
「あらそう…まぁ、気をつけなさい」
「ハーーーイ!」
待ち合わせ場所着くと、既に2人はいた。
「久しぶり!カナト!」
「あ、うん…」
「そろそろ行こうか」
「あ、2人とも待って!」
一応、万が一。何かあったなら。
僕のバッグの中身を知っていて欲しい。
もちろん、2人のも理解しておきたい。
本体には絆創膏とか手当品がある。
それと、レジャーシートに水筒。
財布と懐中電灯も。
カッターは右外ポケットに。
スマホは首から下げてる。
2人のも理解出来た。僕と違うのは、
カナトはロープと薬。
モハルはイヤホン……?
お昼時、少し狭い田んぼ道を3列になって、
涼しい風に煽られながら自転車を漕ぐ。
ずっと憧れてた風景。
これが夕方だったのから、切ない感情もあっただろう。
2人の嬉しそうで悲しい顔を見た。
1番、そうなのはカナトだった。
まだ、僕は2人を芯からはわかっていない。
芯から分かる必要は無いかもしれないけど。
そして同じように。
2人も僕のことを芯からは知らない。
きっと、モハルとカナトの間でもそうだろう。
でも、絶対。僕が誰よりも2人をわかってる。
言いたいことがわからないカナトは、僕の助言の甲斐ありか、わかったみたいで。
楽しさを知らないモハルは、僕たちといて、多分幸せだ。だったらいいな。
でも、本当に知らなかったのは
僕だけだったみたい。
荒れる呼吸と滴る赤い水が、
僕の感情を染めていく。
2人分の赤に負けない青色に______