第二弾
またカンヒュだった、、、、、
夜の街は、雨に濡れて光を滲ませていた。
そのビルの屋上に、自分は立っていた。
「……また、こんな依頼かよ」
手元の封筒には、黒い封蝋と血のような赤インクで書かれた文字。
【ターゲット:裏組織〈Countryhumans〉構成員】
この名前を聞かない日はない。
アメリカ、ロシア、中国──国家を名乗る殺し屋たちが、裏社会を支配している。
自分の仕事は、彼らを“消す”こと。
「Welcome、キラーボーイ!」
ビルの反対側に現れたのはアメリカ。
派手なジャケットにサングラス、でも手にはしっかり拳銃。
「依頼書通り、自分を殺しに来たんだろ?」
「悪いな。仕事なんでね」
「仕事? ならフェアにいこうぜ☆」
──銃声が響く。
夜風が火薬の匂いを運んでいく。
自分は弾をかわしながら、低く笑った。
「撃つの早いな……まだ挨拶もしてねぇよ」
足元の影が揺れ、自分はアメリカの背後に回り込む。
刃が首筋を掠めた瞬間──
「そこまでだ」
今度はロシアの低い声。
氷のような瞳が、自分を射抜く。
「一人で世界を相手にするとは、勇気アルネ」
「いや、たぶん無謀だな」
三方向から包囲される。
中国が扇子を閉じ、日本が静かに刀を抜いた。
……完全に終わった、と思った。
だが次の瞬間、無線が鳴る。
『ターゲット変更。ぬし──いや、“自分”を勧誘せよ。抹殺禁止』
アメリカが吹き出した。
「Ha! 上からの命令だってさ。仲間にならない?」
「……は?」
自分は刀を構えたまま固まる。
「いやいや、なんで!? さっき殺し合いしてたやろ!?」
「だってお前、強いし。あとツッコミが貴重だし」
「ツッコミ要員でスカウトすな!!」
日本が静かに言った。
「我々の組織、最近ボケしかいない」
「それはわかるけど! 人材の選び方おかしいだろ!!」
ロシアが微笑み、氷のような手を差し出す。
「ようこそ、“国(Countryhumans)”へ」
自分はため息をつき、刃を下ろした。
夜空を見上げながらつぶやく。
──あぁ、また面倒な世界に足を踏み入れたな。
でもどこか、悪くない気がした。
翌日。
世界最強の殺し屋組織の一員となった自分は、
なぜか朝からアメリカのドーナツを買いに行かされていた。
「これ、殺し屋の仕事ちゃうやろ……」
「Ha! チームワークだぜ☆」
「誰か自分の契約書、返品してくれぇぇぇぇ!!!」
──今日も裏社会は、平和(?)である。
楽しそうだな
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