この作品はフィクションです。実在の人物や団体などとは一切関係ありません
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阿部side
俺の彼女は朝にめっぽう弱い。寝起きが悪いと言うより、とにかく覚醒するまでに時間がかかる。ぽやっとした翔太はいつもの毒舌とは無縁で何を言っても何を聞いても大体「うん」しか言わない
「おはよー翔太」
『んん、?んー…』
成人男性二人が寝っ転がってもスペースが余るくらい大きなベッドなのに、彼は近くに寄ってくる。寝る前は俺が抱き寄せてそのまま入眠が多いけど、起きた後は彼から寄ってきてくれることも少なくない。自分がやったことを覚えてないから、覚醒したあと “何してんの…” とドン引いた後ぷりぷり怒りながら去っていくのがいつものルーティンだ
「はい、朝の挨拶どうぞ。おはようは?」
『ん…ぉは…よ、』
「良くできました、偉いね」
『ん…ふふ、』
30代とは思えないほど白くてきめ細かい頬をそっと撫でると気持ち良いのか擦り寄ってきた。たまに出るこのデレがとてつもなく可愛い。うっすら開いていた瞳がまた目蓋に覆われて、某キャラクターのような可愛らしい口は緩く弧を描く
「んね翔太」
『…ん、?』
「ぎゅーしない?」
『…うん』
もぞもぞと動いて寄ってきて、抱き締めるでもなく俺の胸元をぎゅっと握った。翔太がこれするから時々俺のパジャマの胸元はしわくちゃになってんのか。長年の謎が解けてめっちゃスッキリしたぁ
「抱き締めて良い?」
『ん。』
許可が下りたから彼の背中に手を回すとふふん、なんて嬉しそうな声が聞こえてきた。可愛い。てかほんとにうんしか言わないな、ちょっと悪戯というか普段はうんって言わなそうな事聞いてみよっと
「俺の事好き?」
『…んん、?』
「彼氏の事は好きですか」
『ふーーん…』
なにその反応、新しいな。はいでもいいえでもない鳴き声みたいなの初めて聞いたぞ俺。やっぱ一筋縄じゃ行かないか。好きだと間接的に言わせるのは諦めて、ちっちゃくて暖かい彼を腕の中に閉じ込めたまま二度寝でもしようかと目を瞑る
「二度寝しちゃう?」
『ぅん…』
うんって言ったのになんかもぞもぞしてんなぁ、と思いながらも気にせず目は瞑りっぱなし。彼が段々枕の方に上がってきているかと思うと突然唇に柔らかい何かが触れた
「?!」
『すき』
ちゅーしたそのままの距離感でその一言を放つだけ放って、また下に潜っていった。今度は顔が見えないように俺の胸元に思いっきり顔を押し付けてぎゅっと抱き締めて頭をぐりぐりしてきている。なんか凄い、翔太らしいな
「…ありがと、笑」
『お前は?』
「ん?」
『俺のこと好き?』
顔を押し付けてるからくぐもった声のまま同じ質問を返してくる。わかってるくせに聞きたがるなんて、欲しがりだなぁ。そんなところもひっくるめて可愛いと思ったから今一緒にいるんだけど
「もちろん大好きだよ」
『知ってる笑』
コメント
9件
やばい語彙力失うほど尊い 擦り寄るなべさん容易に想像出来てしまった(((
かわいいっ!!!!!!
きゃわいい〜、‼️