この作品はフィクションです。実在の人物や団体などとは一切関係ありません
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岩本side
俺のふっかは色んな人から頼られている。話しかけやすいし、何かをお願いしたりしても断る可能性が低いから。自慢の嫁さんなんだけど、その優しい性格故誰からも好かれているのが俺的にはちょっとだけ気にくわないというか。やなんだよなぁ
“ねーふっかこれ取ってくんない?”
『はいはい動かないでね』
“ふかさぁん!メイク落とし借りてええ?”
『んー、鞄ん中入ってるやつ使いな~』
“あ、ふっかさんさっきはありがとうございました”
『え?あーいいよ全然、わざわざお礼とか律儀だな、わら』
収録後の楽屋がいつもは3部屋あるところを、今日は何故か1つの大部屋にいるから人でごった返している。それに伴ってふっかの稼働数も物凄い増えてるから、いつもなら帰れているこの時間にまだ彼は準備ができていない
《照もう終わったの?》
「うん、舘さんは早く着替えなよ」
《俺はまだいいかな》
まだいいかなってなんだよ。こういうマイペースなところがあるから、舘さんとかめめはよく最後の方まで残っている。別にそれが悪いと言いたい訳じゃなくて、なんでそんな準備が遅いのかが気になるだけ
「…舘さんはさ、なんでいつもそんな遅くまでいるの?」
《目黒と一緒に居たいからかな》
「…?」
《俺らナカヨシだから》
合わせてるってこと?うーん、わかんないけど付き合ってんのかなここも。視界の片隅でめめが着替え始めたなぁとか思っていたら目の前の舘さんも着替えだした。いやまあ、舘さんのが着てるもの少なかったから先に着替え終わってるけど。そんなこんなしていると康二がこっちに来て “てるにぃ…愛してんで” とかなんとか言って何故かハグをして去っていった。佐久間も真似して強めのハグをしてから楽屋を出ていく。なんだアイツら
《何今の》
「わかんない。流行ってんじゃない?」
《今どきの若者は難しいね…》
爺さんみたいな言葉を零す舘さんに思わず吹き出しては再び周りを見渡す。既に部屋内には俺と舘さんとふっかとめめしか残っていなかった。俺が最後まで残るのなんて、いつぶりだろうか
《…この待ってる時間も嫌いじゃないんだよね》
「…俺はやだな、最初の方のアレとか相手はメンバーってわかってても妬いちゃう」
《ふーん、じゃああれも?》
めめがふっかのとこに言ってなんか話してる。正直いい気はしないけどめめは舘さんとなんかあるんだろうし他のメンバーよりかは思うことは少ない。と言うかほぼ気にせず見ていられる。真面目なやつだから絶対手も出さないだろうし
「いや、そんなに」
《ふぅん…嫉妬の基準わかんないな、てか妬いてるの照ばっかだと思ってんの?》
「…まぁ、そうでしょ。ふっかが嫉妬してるとことか想像つかないし」
《へぇ……お互い様だと思うけどな》
「なに?」
《いや何も?》
シラを切り通そうとする彼をジト、と見詰めるとお手本のように下手くそな口笛が返ってきた。ふとその口笛もどきが止むと徐に彼は口を開いた
《…目黒も準備終わったみたいだし俺はそろそろ帰ろうかな》
「あ、ふっかも終わってるわ。帰ろっか」
俺たちが話を切りあげて立ち上がると既に彼らは俺たちの目の前に来ていた。帰ろって言いに来てくれたんだとしたら可愛いな。とか思っているとなぜか急に舘さんに手を握られた
「?!」
『?!?!えちょ、だて、?』
【えぇ…】
《あっ、ごめんこれ目黒の手じゃなかったね》
白々しくそんな台詞を吐く彼の顔を見るとクイ、と顎でふっかの方を見ろと指図された。明らかにムッと怪訝な顔をして舘さんのことを軽く睨んでて。ふっかのこんな顔初めて見た
《言ったでしょ?お互い様だって》
「…え、それこういう」
【じゃあお先に。失礼します、お疲れさまでした】
俺の手から舘さんの手をひったくるようにして奪い取るとしっかり恋人繋ぎで仲良く出ていった。暫し訪れる沈黙は、どうやって打ち破るべきか。とりあえず帰ろうかと荷物を持つと急に正面から抱き締められた
「ぇ」
『これは俺の特権だと思ってたんだけど』
「…?ふっかの特権なんていっぱいあるけど」
『…でもこーじにも佐久間にもハグされてたじゃん』
珍しい。普段そんなこと全く気にしていなかった彼がこんなことを言い出すなんて思ってもいなかった。ふっかも嫉妬とかするんだな。勝手に緩む口元を引き締めながら優しく抱き返すと更に強く抱き締められた
「こうやって抱き返すのはふっかだけだよ」
『当たり前だろ』
ちょっと名残惜しそうに離れて行ったかと思うと鞄を持って戻ってきた。わざわざ左手に鞄を持って俺側の右手は空けて。今までも、言葉がない代わりに彼はこうやって主張してきてたのか
「…ごめん、気付けなくて」
『んーん。俺が勝手にその…妬いてるだけだし』
「…いやでも嬉しい」
『嫉妬?』
「うん、俺だけだと思ってたから」
『んなわけ笑 お前が思ってる10倍はお前のこと愛してるし』
さっきまで妬いてたやつとは思えないほど、余裕綽々な笑みを見せる彼に勝てないなぁなんて思いつつ、空いている彼の手を握る。その細い指を大事に包んで一歩踏み出した
コメント
3件

ひかるもしっかり愛されててうれしい💛💜
めっちゃくちゃ可愛い,尊いです……
尊い🤦🏻♀️🤦🏻♀️🤦🏻♀️💛💜