〈kiriyan side 〉
気がつくと、先ほどの静かな空間とは異なり騒々しい世界へと戻されていた。
目の前にはきんときの魔法の水の膜がはられている
おそらく俺がなかむと話している間、現実世界からの攻撃を受けないように守ってくれたのだろう。 水越しからゆらゆらと歪む仲間の姿が確認できる
大丈夫。
彼の瞳にはまだ美しい青色が残っていた
Kr 「きんとき、ありがとう」
Kn 「おかえり」
Sm 「今のところなかむが頑張ってくれてるらしい」
Kn 「この調子でいこう」
シャークんが俺がなかむと話している間について話してくれた。
どうやら、あの自我の空間にいっていた時の俺は意識を失っていて身動きが取れる状態ではなかったらしい、 そのためなかむと話すためには必ずみんなで守ってその人を守りながら戦わなくてはいけない。
なかむ本人はというと悪魔の手が止まるわけではなく、攻防戦は続いていたという
Sh 「だからきりやんがいってるその自我の空間?には行かないで現実から声をかけるのはどう」
攻撃をかわしつつダメージを与えるにはひとり欠けるだけでもかなり厳しい
相手の隙が作りづらくなるのはデメリットとなる。シャークんが心配していることもわからなくもないな、 それでも、、、
Kr 「俺はひとり欠ける状態でも、なかむと直接、ふたりで、話すべきだと思う」
Kr 「そうじゃないと俺たちの想いは伝わらない気がする」
Sm 「正直まだなかむが理性を保って制御できてるからそれでもあり」
Kr 「あとは魔法で話しかけるとか」
Kn 「それもあるけど、魔力消費が気になるところではあるね」
Sh 「俺、守りが弱いからみんながなかむと話にいってる時守れる自信ないよ」
Kr 「そこをうまく補ってきたのが俺たちっしょ」
不安がる彼の心をお互いで支え合うようにして、作戦は続行された。
Kn 「次しゃけいってみるか」
〈shake side〉
Kr 「しゃけがいってる間こっちは任せて、
いっておいで」
そう言って咽せるくらい力強く背中を叩いてきたきりやんの姿は少し大人びてみえた。
俺もそんな姿に感化されて力強く答えた
Sh 「いってくる」
Nk 「あれ、おーい、しゃけー?」
その声に目を覚ますときりやんが言っていた通りそこにはなかむの姿があった。
久々に会うからか何と声をかけていいか迷っていると、話しかけてくれたのは彼からだった
Nk 「今日は来客が多いなー
あっ、俺とデートしたかった的な!?」
Nk 「そんなことなかむちゃんに言われても
困るんだからっ」
Sh 「え、ちがうけど」
Nk 「え、」
先ほど戦っていた唸り声を上げる彼とは異なりなかむ特有の雰囲気を感じとって少し安堵する
彼の変わりのない姿への安心感で笑みが溢れた
すると彼は少し気恥ずかしそうにしてから
様子を伺いながら俺の両手を手に取り言った
Nk 「急にいなくなってごめんな
呆れたよな、怒ったよな、、、」
上目遣いで俺の顔色をみるなんてこれが天然なのが恐ろしいまであるな。 なんてまごつきながらも彼の目をしっかりと捉える
Sh 「まぁ、正直むかついたりもしたよ」
俺は彼の握ってきた手をより強く握り返して話を続けた
Sh 「でもそれが俺たちのことを想ってのことだってわかったら、そんな気持ちを抱いたことに恥をかいたよ」
Nk 「そっか」
安心したのか、それとも悲しかったのか彼は握る力を緩めた。俺は彼の感情が読めないまま伝えたいことを並べ始める
Sh 「だいぶ前になかむが自分が道を踏み外したらの話をしてたの覚えてる?」
Nk 「そんなこともあったね」
そうやって目を細めて浮かべるなかむの笑みはどこからか切なさを連れてきたような気がした
Sh 「遅かったかもだけど今になってようやくその言葉を理解したんだ」
Sh 「その覚悟の強さがどれほどのものか感じたんだ。」
Nk 「なんかちょっとこしょばいね」
Sh 「そう?」
笑みを交わし合う俺らを急かすように自我の空間が振動し始める。そろそろ時間だろうか
Sh 「もしかしたらなかむが言っていたことがもう目の前にきてるかもしれない」
Sh 「なかむはどうして魔法を学ぶの?」
Nk 「んー俺は魔法が使えないけど、
使えない人でもできることがあるんじゃないかと思って」
Sh 「ふーん」
Nk 「あ、でもあれだよ?俺がもし道を間違えてたらその時は、、、」
Nk 「その時は俺を殺してでも正してね?笑」
(回想)
Nk 「、、そうだね」
Sh 「俺はなかむとの約束ちゃんと守るから」
Sh 「でもそれは今目の前にいるなかむを殺すことじゃない。」
俺は彼を強く抱きしめてから、再び彼の瞳を据えて伝える
Sh 「必ずあの悪魔を引き剥がして助かるから、一緒に戦ってくれる?」
Nk 「、、うんっ」
Sh 「俺はなかむの願いを叶えるよ。これが愛なのかまだ曖昧だけど、」
Sh 「なかむのこと愛してる」
そう言いながらだんだんと目の前の彼がぼやけてきた。
あー、かっこわり。ここで泣いちゃダメだろ俺
気がつけば大粒の涙が溢れてきていた
すると彼はそっと優しく、まるで周りの草で隠れてしまった四葉のクローバーに日差しをともすように暖かく抱きしめて「ありがとう」といって俺を現実へと戻したのだった
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