テラーノベル
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may×dn おねだり上手
視点主『』
その他「」
キャラ崩壊注意
『だーんさん♡』
自分でもどこから出しているのか分からない猫撫で声で、俺は足元に擦り寄る。
だんさんは、そんな俺をうんざりした顔で見下ろした。
「なんですか」
こんなことをする理由は、ただ一つ。
『ジェットパック、ください♡』
「無理です」
いつものように、バッサリ切り捨てられる。
分かってた。
いつも断られているんだから、ここで了承されるはずがない。
──だが、今日の俺はここで引き下がらない。
『お願いしますよ、だんさん』
「いや、駄目なものは駄目なんですって。市民一人だけにジェットパックなんて」
『そこを何とか!ね?』
「そんな権限、無いです」
そんな会話を続けながら、俺はだんさんの足元から一気に距離を詰めた。
そのままの勢いで壁際へと追い込むと、自然とだんさんを壁に押し込む形になる。
その状況に気付いただんさんは、書類を強く胸に抱え込み、見下ろすように俺を見た。
「あの、出してください」
『え〜?』
だんさんよりほんの少し背の低い俺は、逃がさないよう体を寄せ、 上目遣いのまま、じっとその顔を見つめる。
「今日は随分と強引ですね」
『あ、分かります?いつもすぐ断られちゃうから、今日は抗おうかなって』
「そんなことしなくていいです」
だんさんはどうにか抜け出そうと体をよじらせるが、思うようにいかない。
俺のほうが背が低い分、体を滑り込ませる隙間もなく、結局はもぞもぞと動くだけだった。
さらに顔を近付けようとした瞬間、だんさんは慌てたように書類を持ち上げ、顔を隠す。
『隠さなくてもいいじゃないですか。せっかく可愛い顔なのに』
「なっ……」
勢いよく上げられただんさんの顔は、耳まで真っ赤に染まっていた。
『ほら。やっぱり可愛い』
「……仕事、戻っていいですか」
さらに書類で顔を伏せようとするので、俺は逃がさないよう、片手でそっとだんさんの手を握った。
──次の瞬間。
乾いた銃声が響き、足元のコンクリートが弾け飛ぶ。
突然の出来事に、俺とだんさんは揃って砕けた破片へと視線を落とした。
背後から、確かな人の気配。
「うちのだんくんに手を出すとは。いい度胸してるじゃないか」
後頭部に銃口を押し付けられ、俺は反射的に、壁につけていた手を離した。
「それとも……分かっててやっているのかな?」
静かで重たい声色に、じわりと冷や汗が滲む。
『……お兄さんに関係あります?』
「十分あるよ。君には教えないけど」
だんさんは俺の背後の人物と目線を合わせ、完全に動揺している様子だった。
俺は目を伏せ、小さく息を整える。
『流石に命まで狙われちゃ、引っ込むしかないですね』
「賢明な判断だと思うよ」
『……“今回は”、ですけどね』
なるべく顔を合わせないよう、その場を離れた。
駆け足で去っていく途中、横目に映ったのは、だんさんと先程の男が並び、 まるで旧知の仲のように言葉を交わしている姿だった。
……なぁんだ。
そんな人、いるんだ。
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