テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
23章目行きます。
「露葉ちゃん、ダメよ!惑わされちゃダメ!!」まばゆい朝の教室に、寧々ちゃんの悲痛な叫び声が響き渡った。
寧々ちゃんは普と司の腕の中から、私の手を強引に引っ張り出すと、自分の後ろに私を必死に隠した。その手は、物の世界の住人たちとは違う、本物の「現実の熱」を持っていた。
「先輩、気づいたんすね…!路葉さん、ここを出るぞ!ここは全部、四番が描いた物の
世界だっ!!」
光くんが顔を真っ赤にしながら、バチバチと雷を纏う霊刀を構えて私たちの前に立ちはだかる。
「…..八尋、少年。余計なことをしないでよ」
緑色の制服を着た普(花子くん)の顔から、一瞬にして優しい笑みが消えた。
その珀色の瞳は凍りつくように冷たく据わり、彼は懐からスラリと黒い包丁を抜き放った。生前の姿のはずなのに、その身体から溢れ出る怪異としてのプレッシャーは、現実の何倍も重く、どろりとした執着に満ちている。
「現実の露葉は、今にも消えちゃいそうだったんだ。僕の腕をすり抜けて、またあの夜みたいに僕を置いていく気だったる?……だから、帰さない。ここにいれば、露葉は僕のものなのに」「あはは!あまねの言う通りだよ!邪魔する奴らは、ぜんぶ切り刻んじゃえ!」
司が真っ黒な瞳をギラつかせながら、無邪気な狂気を孕んで光くんに襲いかかる。
「くそっ、ミツバ(三番)の時より力が強え……つ!先輩、露葉さんを連れて早く逃げてください!!!」
光くんが霊刀で司の攻撃を受け止めるが、激しい衝撃で教室の机や椅子がガタガタと吹き飛んでいく。
「露葉ちゃん、走ってっ!!!」
寧々ちゃんが私の手を引き、私たちは大騒ぎになる教室を飛び出して、美術室へと続く廊下を猛ダッシュした。
薄青い髪を振り乱しながら走る私の頭の中で、普の「もう現実には帰さないよ」という言葉が、呪いのようにぐるぐると渦巻く。霊力が強いせいで分かってしまう。この世界を維持しようとする、学園の全員の「露葉をここに閉じ込めたい」という異常なまでの愛の強さが。
廊下の向こうから、「おや、逃がさないよ?」と完璧な笑顔の輝先輩が術を構えて現れ、茜くんも「葵ちゃんが悲しむから、ここを通りたきゃ俺を倒していけ」と時間を止める武器を構える。さらに「俺の書庫から逃げられると思うなよ」と、土籠先生の味の腕が天井から伸びてきた。
全員が、現実の冷たさから私を守るため、そして自分たちの所有物にするために、全力で檻の番人となっていかかってくる。
「みんな、やめて……つ!」
私の左手首で、普からもらった月のブレスレットが、偽物の世界の夕暮れに照らされてシャラリと悲しく鳴り響いた。
「露葉ちゃん、あそこの美術室のキャンバス(塔の絵)が現実への出口よ!あそこに飛び込めば…..つ!」
寧々ちゃんが美術室の扉を開け放ち、私をキャンバスの前に押し出す。
けれど、現実へ戻れば、私はまた「今にも消えそうな儚い存在」に戻ってしまう。
背後からは、包丁を持った普と、狂ったように笑う司、そして全員の狂おしいほどの独占欲が、すぐそこまで迫っていたーー。
コメント
1件
**はる。だわ。** うわっ、第23話、めっちゃ重くて熱かった…! 普の「帰さない」発言、優しかった笑顔が消えた瞬間のギャップがエグいほど怖かったし、それでいて執着の裏にある寂しさが切なかった。 この「物の世界」で全員が露葉を囲い込もうとする感じ、愛が呪いに変わってて震える。寧々ちゃんが現実側で必死になってるのも胸熱。 戦闘パートの迫力と、キャンバスが出口って設定、めちゃくちゃ刺さったわ。このまま閉じ込められるのか、それとも現実へ戻るのか、続きがマジで気になる🔥
蜂蜜きな子
16
#犬
ここと🌹🫶 @低浮
203
みみ
49