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md side――――――――――
静かだった。
011が消えた部屋にまだ空気だけが残っている気がした。
誰も動かない。
さっきの光景が、頭から離れなかった。
「……助けられなかったな」
コンタミが小さく言う。
責めるような声じゃない。
でも、どこか重かった。
「無理だろ」
きょーさんが吐き捨てる。
「俺たちだって、何も分かってねぇんだぞ」
その通りだった。
ここがどこで、何が起きていて、どうすればいいのか。
何一つ分からない。
でも──
「……このままじゃダメだ」
自然と口に出ていた。
全員がこっちを見る。
「ここにいたら、同じになる」
011の姿が浮かぶ。
あれは未来だ。
俺たちの。
「……出るしかねぇな」
きょーさんが言う。
その目は、さっきよりはっきりしていた。
「賛成」
コンタミが頷く。
レウも静かに目を閉じて、
小さく言った。
「……脱出」
らっだぁは少し遅れて、でも確かに頷いた。
「……やるか」
それで決まった。
理由なんていらない。
ここから出る。
ただそれだけで十分だった。
部屋を出る。
通路に戻るとさっきまでと同じ白い景色。
でも
もう見え方が違った。
ここは“檻”だ。
その時、
レウが足を止めた。
「……待って」
全員が止まる。
「どうした」
きょーさんが聞く。
レウはゆっくり天井を見上げた。
「……見られてる」
空気が張り詰める。
「は?」
コンタミが眉をひそめる。
「どこに?」
レウは指をさした。
天井の角。
小さな黒い点。
よく見ないと分からない。
「……カメラか」
俺が呟く。
その瞬間
ブゥン、と音がした。
スピーカーが起動する。
『被験体001〜005』
全員が反応する。
『不必要な移動を確認』
冷たい声。
まるで、
ずっと見ていたみたいに。
「……チッ」
きょーさんが舌打ちする。
『被験体は指定区域に待機してください』
『これは命令です』
沈黙。
誰も動かない。
その時、コンタミが笑った。
「命令、だってよ」
少しだけ肩をすくめる。
「従う気ある?」
きょーさんが即答した。
「ねぇな」
レウも小さく言う。
「……同じ」
らっだぁは何も言わなかったけど、
一歩前に出た。
それが答えだった。
「……じゃあ決まりだな」
俺も歩き出す。
その瞬間
スピーカーの音が少しだけ変わった。
『……理解しました』
一瞬だけノイズが混じる。
そして──
『被験体の自律行動を確認』
言い方が変わった。
まるで
“観察”しているみたいな。
『データ収集を継続します』
背筋がぞわっとした。
「……なあ」
コンタミが小さく言う。
「これさ」
少し間。
「止める気、なくね?」
誰もすぐに答えなかった。
でも、全員同じことを思っていた。
「……ああ」
レウが言う。
「観察してる」
「俺たちの行動を」
つまり──
「……実験ってことかよ」
きょーが吐き捨てる。
逃げることすらデータ。
反抗すら、記録。
「最悪だな」
でも
それでも。
足は止まらなかった。
その時、通路の奥から重い音がした。
ゴン……ゴン……
何かが動いている。
機械の音。
全員が構える。
暗い通路の先。
ゆっくりとそれは現れた。
人型。
でも
明らかに人じゃない。
無機質な装甲。
赤い光。
「……は?」
きょーさんが呟く。
『警備システム起動』
スピーカーが言う。
『被験体の行動を制限します』
その瞬間、機械が動いた。
ガンッ!!
床を蹴る。
異常な速度。
「来るぞ!」
コンタミが叫ぶ。
戦闘が始まる。
きょーさんが前に出る。
拳を構える。
コンタミがその後ろに立つ。
レウの視界が揺れる。
俺は手を上げる。
電流が走る。
そして
らっだぁが静かに前に出た。
時間がわずかに歪む。
「……やるしかねぇな」
その一言で
全員が動いた。
――――――――――
#MADTOWN