「なんで、七瀬が死んだのか。知りたくないの?」
…そんなの、知りたいに決まってる。でもお前なんかに教えて貰いたくないと、言おうとした時だった。
雨が降ってきた。そういえば今日の天気予報で、午後の降水確率がどうとか、言っていたような気がする。
すぐに雨は強くなって、俺はぐっしょり濡れてしまった。
神山がクスッと笑って、うち来る?すぐ近くだけど、と言い出した。
癪だったけど、そこで神山との話を終わらせるのもなんか違うような気がした。
もしかしたら、郁子の死んだ理由もわかるかもなんて思ったから。
神山の部屋は質素だった。神山の親は出かけていた。潮臭い匂いがしない。神山にタオルを貸してもらって、風呂まで入らせてもらった。
神山に、「痩せすぎじゃない?」と聞かれた。
確かにそうかもしれなかった。
風呂からあがって、しばらくしたあと、俺は口を開いた。
「結局、なんで郁子は死んだんだよ。」
「ああ、それなんだけど、悪いけど俺も知らないんだ。」
「…はあ?」
「別に俺たちで喧嘩したとか、浮気してたとか、そういうわけじゃないし。」
拍子抜けした。それと同時に、ほっとした……。
「だから、2人で探さない?七瀬が死んだ理由。」
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