水石氏とは、今度は中華料理を食べに言った。点心が沢山出る気軽な店だった。良仔は、朱未に話した様に何故彼女がこういう仕事をしているのか話した。彼は以外な事を言った。「実は僕は35才になるんですが、結婚をしていないと昇格出来ないんですよ。」「えっ、独身じゃいけないんですか?」「出張が多いでしょう。後は移動も。北海道から九州の支店なんて良くありますよ。気晴らしにいいなんて言われますけど、落ち着いたと思ったら皆家族ぐるみで引越しです。特に昇格を焦る訳じゃ無いんですけど、給与に関わるし、実家は中華屋をやっているんですが、継ぐ気も無かったんで。」「そうですか。」良仔はそういったものの、母親を一人残して移動ばかり出来ない。幾ら仲が悪くても母親も年老いて来ている。母親も反対しそうだ。「紹介っていうのも断われない場合が有るし、偶然良仔さんを別の場所で見かけたものだから。僕はね、お喋りが大嫌いなんですよ。以前の支店長は奥様に何でも話したようで、口が堅いと思ってたから話したんですよ。ある日、女性のお客様が怒鳴り込んで来て、『ここの支店長さんは人の口座預金の事を奥様に話すの?』って言われて、奥様とその女性は子供の学校の父兄だったんです。奥様が利回りが良いものを話したらしくて、面倒になりましたよ。」「大変ですね…」