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📖 第十五章:「追いかけた一歩」
放課後。
グラウンドに響くボールの音。
○○はフェンス越しに、凛を見ていた。
走って、止まって、また走る。
○○:(……かっこいい)
手の中の水筒を、ぎゅっと握る。
今日も、手作りのスポーツドリンク。
○○:「……凛」
声をかけると、凛が振り向く。
少しだけ驚いた顔。
凛:「……なに」
○○:「……これ」
差し出すと、凛は一瞬だけ視線を逸らして
から受け取った。
凛:「……毎回いいのに」
○○:「……いいの」
凛は何も言わず、一口飲む。
少しだけ間。
凛:「……うまい」
ぽつり。
で も、ほんの少しだけ耳が赤い。
○○はそれに気づかないふりをする。
○○:「……よかった」
沈黙。
凛はボトルを返しながら、
凛:「……もうすぐ終わる」
○○:「……うん」
凛:「……待ってろ」
ぶっきらぼうに言って、また走っていった。
――しばらくして。
練習が終わり、空は薄暗くなっていた。
凛が戻ってくる。
髪は少し濡れていて、息もまだ少し荒い。
凛:「……帰るか」
○○:「……うん」
並んで歩く帰り道。
言葉は少ない。
でも、少しだけ距離が近い気がする。
凛:「……今日、きつかった」
○○:「……おつかれ」
凛は軽く頷く。
少しの沈黙のあと、
凛:「……あれ、助かった」
○○:「……え?」
凛:「……ドリンク」
短く言って、すぐ前を向く。
○○の胸がじんわりあたたかくなる。
やがて、分かれ道。
足が止まる。
凛:「……じゃ」
○○:「……うん」
凛が背を向ける。
歩き出す。
一歩、二歩。
胸が苦しい。
このままじゃ、また言えない。
○○:「……まって!」
少しだけ大きな声。
凛が止まる。
ゆっくり振り返る。
凛:「……なに」
○○は俯いたまま。
手が震える。
○○:「あの……」
息がうまくできない。
○○:「……わたし、凛のこと……」
言わなきゃ。
逃げたくない。
○○:「……好き」
静かに、でもはっきりと。
時間が止まる。
凛は動かない。
視線だけが、○○に向けられている。
長い沈黙。
凛:「……は?」
小さく、戸惑った声。
○○:「……ご、ごめん」
凛は少しだけ顔を逸らす。
手で後ろ髪をかく。
凛:「……今、言うかよ」
でもその声は、さっきより弱い。
○○は何も言えない。
凛はしばらく黙って――
凛:「……」
視線が合う。
すぐに逸らされる。
凛:「……急すぎ」
ぽつり。
○○:「……うん」
また沈黙。
風が通り過ぎる。
凛は小さく息を吐いて、
凛:「……でも」
○○:「……?」
凛は少しだけ眉を寄せる。
それから、ぼそっと。
凛:「……嫌じゃねえ」
そのまま、また目を逸らす。
耳が、さっきより赤い。
凛:「……つーか」
○○:「……?」
凛:「……そういうの、ちゃんと考えたい」
少しだけ真面目な声。
凛:「……だから」
言いかけて、止まる。
視線が泳ぐ。
凛:「……ちょっと待て」
ぶっきらぼうに言って、顔を背ける。
○○:「……うん」
凛は一歩だけ近づいて、
凛:「……逃げんなよ」
小さく言う。
○○:「……え?」
凛:「……その、俺も」
言葉が止まる。
少しだけ唇を噛んで、
凛:「……ちゃんと返すから」
それだけ言って、すぐに背を向けた。
凛:「……また明日」
早足で歩いていく。
今度は、ほんの少しだけ――
耳が赤いまま。
○○はその背中を見つめる。
○○:(……今の)
胸が、さっきよりも強く鳴っている。
怖いはずなのに、
少しだけ――
期待してしまう。
夜の空に、ひとつ星が光っていた。
コメント
1件
ああああああああッッ心臓バックンバックンなりすぎてもう爆発しそう(?)
201