TellerNovel

テラーノベル

アプリでサクサク楽しめる

テラーノベル(Teller Novel)

タイトル、作家名、タグで検索

ストーリーを書く

テラーノベルの小説コンテスト 第3回テノコン 2024年7月1日〜9月30日まで
俺とシロ

一覧ページ

「俺とシロ」のメインビジュアル

俺とシロ

178 - 第二章、68話 教会本部

♥

13

2024年05月10日

シェアするシェアする
報告する

その翌朝。


俺はポニテちゃんの案内で集められた者たちがキャンプをしていたという場所に来ていた。


念のため認識阻害の結界は張っている。


キャンプ地になっていた広場をぐるりと一周まわってみたが、手がかりになるようなものはこれといってなかった。


んんん、しかし千人だろう?


帝都を出てないとすれば何処かに収容されたはずだ。


そこで、千人規模で収容できるような施設がこの帝都にどれぐらいあるのかポニテちゃんにたずねてみた。


答えはすぐ返ってきた。


「その規模なら帝城か、この先にある教会本部ぐらいですね」


帝城とは尖塔が何本も立っているアレのことだろう。


あとは教会本部だが……。


ポニテちゃんに案内してもらい、やってきました教会本部。


ナニこれ、もうお城じゃん!


この巨大で豪華な建物が教会なのだそうだ。


すげーよな。これなら数千人は収容できるんじゃないか?


今はなきバルタ帝国の遺産のひとつで、建てられてから500年以上は経っていますとポニテちゃんから説明をうけた。


そしてサンタクレス大帝国のもう一つの顔。


それが人族至上主義の宗教国家であるということ。


教会に背いたものは、


聖騎士により教会に連行され、体よく異端審問に掛けられたのち尋問、拷問のオンパレードだ。


たとえ生きて戻ったとしても、ものも言えぬ廃人になってしまっているそうな。


お――――っ、怖い怖い。






帝城もすぐそこに見え、キャンプ地の広場から歩いて30分程か……。


合理的に考えると疑わしいのはココだよな。


自由に入れるのかと聞いてみたが信者以外は出入りできないそうだ。


なるほどね。では夜コッソリと入ることにしようか。


帝城の方にも行ってみたかったけど、貴族街を通らないと向かうことができないらしい。


一般人はほとんどが貴族街に通じる門ところで止められてしまい、貴族街の中へは入れないようになっているそうだ。


まぁ俺たちなら認識阻害の結界を使えば入れるだろうが……。


めんどくさい上に疲れそうだし、今日のところは遠慮しておこう。


教会の方を先に調べて、何も出なければ帝城の方もコッソリと見学させてもらいましょうかね。


そのあとはポニテちゃんと一緒に昼食をとり、帝都の中を案内してもらった。


「また何かありましたら気軽に声をお掛けください」


そう言って深々と頭を下げポニテちゃんは夕刻前に帰っていった。


お持ち帰りもできそうな雰囲気だったけど……。


おばば様の息のかかった者に手を伸ばすと、あとが面倒というか、体よく面倒ごとを押しつけられるというか、過去何度も大変な目にあわされているので今回は自重することにした。


そうそう引っ掛からないもんね~。


宿屋に戻った俺たちは夕食に明太マヨネーズをたっぷりかけた牛丼を食べ、そのあとはベッドの上でシロとヤカンをもふりながらマターリ過ごしていた。


そしてみんなが寝静まった深夜。


潜入するには良い頃合いである。


「先にいくぞ!」


俺はトラベルを発動させ、昼に来た教会の前に転移した。


人通りがないことを確認したうえで俺はシロとヤカンを召喚した。


2匹が足にすり寄ってきたので、とりあえず頭を撫でておく。


教会前にある門の高さは3m程。


もちろん門は閉まっているのだが、門番の姿はどこにもない。


――門になにか仕掛けがあるかもしれないな。


そう思った俺たちは門の周辺は避け、裏手の塀から侵入することにした。


さすがに教会内部は警備も厳重なようである。


衛兵が頻繁に建物のまわりを巡回しているのだ。


その警備の隙間をつき、静かに建物へと近づいた俺は地面に手を当てる。


――ダンジョン・マップ!






ほうほう、やはりそうだったか。


ここにはダンジョンが存在している。


そしてダンジョン前広場を隠すように教会の建物がその上を覆っているのだ。


さらに探っていくと、一部建物の被っていないところを裏手に発見した。


お――っ、ココだココだ。


(シロ、この土の部分を斜め下に向かって掘ってくれるか。遮音の結界も忘れずにな)


(り!)


り! ってなんだよ? もしかして了解のり! なのか?


ま~たギャルマリに変なこと教わってんなぁ。


シロに念話を送りながら、目印になるよう土の上に円を描いていく。


衛兵が通り過ぎるのを見計らってから俺がGOサインを出すと、


3mの虎ぐらいの大きさになったシロは、前足を交互に動かしてガスガス土を掘っていく。


尻尾だけが見えてる状態だから4m程だろうか、掘っいた穴はポコンと突き抜けた。


そのまま下りていったシロから念話が届く、


(あいた、おけまる、きて、くらい、はやく、うれしい)


次にヤカンが続き、


最後の俺は、穴の入口に認識阻害の結界を施してから中に入っていった。


下に下り立ったところで、ポウ、ポウ、ポウ、ポウ、ポウ、


いくつもの狐火をヤカンが展開してくれた。


すると青白い炎に照らされて地下空洞の全容が見えてくる。


天井の高さは2m程か、手を伸ばせば触れることができた。


これが教会建物の土台になってるわけか。


大きな柱が何本も立っているので全体の広さは分かりにくいが、足元の感じからしてダンジョン前広場であることがうかがえる。


まあ、ダンジョン・マップもそう示しているので疑いようもないんだけど。


とりあえず俺たちは1階層に続く階段へ向かうことにした。


しかし不思議なんだよなぁ。


教会の建物を支えているこの柱なんだけど……、


なぜダンジョン前広場に平然と立てられているのだろう? それも結構な数である。


考えられることは、


以前にも俺と同じように【ダンジョンの使用者権限】を有した者がいたということだ。


その者は転生者だったのか、あるいは召喚された勇者だったのか……、人族ではなかった可能性もあるよな。


いろいろと考えているうちに階段前までやってきた。


どの道ダンジョンに入ってみるしかないだろう。


俺は左側にシロ、右側にヤカンを従え、ゆっくりと階段を下りていった。


そして1階層に足を踏み入れたと同時に、


ピピピーン! ピピピーン! {このダンジョンの使用者権限は更新が行われておらず失効しております。改めて使用者権限を設定しますか?}


【 YES ・ NO 】






おおっ何だ? このパターンは初めてだな。


特に問題もないので【 YES 】と念じてみる。


ピーン!{時空間魔法(U)により、ダンジョンの使用者権限を取得しました}


――よし。これはいつものパターンだな。


(おーい、聞こえるか?)


[はい、お帰……、 烈風? 知らない子ですね]


(あ、あのな~)


[はい、お帰りなさいませ旦那さま。お食事になさいますか、お風呂になさいますか?]


(お、おう、飯は食ってきたから風呂を……って、ちが――――う!)


[それではわたくしになさいますか?]


(ちょ、ちょっと待った! 待っておくれな)


[はい♪]


まずは名前だよな。


(俺はゲン。こっちが従魔のシロとヤカンだ。お前さんには名前があったりするのか?)


[はい。ゲンさま、シロさま、ヤカンさまですね、登録致しました。わたくしの名前は暫定で【クジョウ・カオルコ】となっておりますが変更なさいますか?]


あ~、赤城さんじゃなかったのね。


(では【ハルカ】で頼んます)

この作品はいかがでしたか?

13

コメント

0

👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!

チャット小説はテラーノベルアプリをインストール
テラーノベルのスクリーンショット
テラーノベル

電車の中でも寝る前のベッドの中でもサクサク快適に。
もっと読みたい!がどんどんみつかる。
「読んで」「書いて」毎日が楽しくなる小説アプリをダウンロードしよう。

Apple StoreGoogle Play Store
本棚

ホーム

本棚

検索

ストーリーを書く
本棚

通知

本棚

本棚