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タイトル:触れたら、壊れそうで。
登場人物:
入野自由(ちょっとエッチな天使)
内山昂輝(純粋でちょっと不器用な少年)
第一話:「指先に、心が触れた」
内山昂輝:「……入野さんって、ほんと、距離感おかしいです」
小さくつぶやくと、目の前の入野がにやりと笑った。
入野自由:「そっか。じゃあ、もっと近づいてみる?」
まるで、からかうような声。でも、目だけはまっすぐだった。
その視線に捕まって、内山はどこにも逃げられなくなる――。
Scene1:からかう入野と、動揺する内山
某アフレコ現場。
いつも通りのスタジオに、内山は少し緊張しながら入った。
控室には、すでに入野の姿が。
入野自由:「おはよう、内山。あれ、ちょっと髪跳ねてるよ?」
そう言って、手を伸ばされる。
内山昂輝:「っ……自分でやります!」
焦って一歩下がると、入野はくすっと笑ってみせた。
入野自由:「可愛いな、ほんと」
内山昂輝:「そういうの、冗談でも言わないでください……」
そう言いながら、顔は熱くなっている。
あの日から、入野の“からかい”はエスカレートしている気がする。
それが冗談じゃないとしたら――もっと怖い。
Scene2:カフェの夕暮れ、逃げる背中に触れる手
内山昂輝:「……すみません、俺、そろそろ帰ります」
内山はカフェの椅子を立ち、逃げるように出口へ向かった。
けれど背後から、すっと指が袖をつまんでくる。
入野自由:「逃げるの、早くない?」
振り返らずに言い訳する。
内山昂輝:「……逃げてるんじゃなくて、考える時間が欲しいだけです」
入野自由:「嘘。目、逸らしたままで言う台詞じゃないよ」
そのまま頬に触れられる。
指先の熱に、思わず全身がびくりと震えた。
内山昂輝:「俺が触れたいのは、君の反応じゃなくて――“君そのもの”なんだけどな」
内山昂輝:(やめて……そんな目で見ないでください……)
心の中でそう願っても、口には出せなかった。
Scene3:次の日の休憩室、頬へのキス
次の日。事務所の休憩室。
資料を読んでいた内山の隣に、ぴたりと入野が座る。
入野自由:「昨日のこと、まだ引きずってる?」
内山昂輝:「忘れろって方がムリです」
入野自由:「じゃあ、忘れないで。俺、ちゃんと君に本気だってこと」
そして、突然頬に――キス。
ふわりと触れた柔らかい感触に、思わず心臓が跳ねる。
入野自由:「このくらいなら、セーフ?」
内山昂輝:「っ……アウト、ですよっ……!」
でも怒る気にはなれなくて、顔だけがどんどん赤くなっていった。
Scene4:レッスンルーム、指先に落ちていく距離
収録前、レッスンルーム。
再び入野とふたりきりになった内山は、目を逸らしながら席についた。
入野自由:「君がいるから早く来ちゃった」
そんな甘いセリフを聞いても、もう驚きはしない……はずだった。
でも次の瞬間、入野の手が膝に触れた。
入野自由:「今日も、ちょっと触れちゃダメ?」
指がゆっくり腿の方へ。
肌に直接触れているわけじゃないのに、身体が反応してしまう。
入野自由:「昨日ね、君が真っ赤になったとき……好きすぎるって思った」
耳元に囁かれて、呼吸が止まる。
入野自由「ねえ――こういうの、もうちょっとだけ、許して?」
答えられない。
でも、拒絶するには心が揺れすぎていた。
Scene5:それでも、限界は突然に
内山昂輝:「……やめてください!」
唐突に、内山が声を上げた。
入野の手が止まり、そっと引っ込む。
入野自由:「……そっか。ごめん、内山。ちゃんと嫌がること、したくない」
静かな声に、内山は目を伏せた。
内山昂輝:(違う……嫌だったんじゃない。怖いだけだ。この気持ちを、ちゃんと認めてしまったら、俺……)
その背中に、優しく入野の声が落ちた。
入野自由:「でも、俺は逃げないから。いつでも、君のこと待ってるよ」
Scene6:収録ブース、台本の中の“キス”
収録に入り、台本を開いた内山は思わず凍りついた。
内山昂輝:「……ラスト、これ、キスシーンじゃないですか」
入野自由:「そうだよー、しかもめっちゃリアルなやつ。楽しみだね?」
内山昂輝:「……っ、なんで俺と入野さんが……!」
入野自由:「うん、いい配役だと思うけどな。だって――“本音”出ちゃうじゃん?」
収録ブースの中で交わす、セリフじゃない「心」と「心」。
マイク越しに、二人の世界が、静かに動き始めていた――。