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「私、お店では悠人さんとあまり話してません。悠人さんの邪魔になるようなことはしてないつもりです」
「まあそれならいいんだけど。悠人さんの紹介だからって、あんまり調子に乗らないようにね」
梨花さん、酔ってる?
なんだかすごく心が痛い。
周りはみんな楽しそうなのに、やっぱり来なければ良かったかな……
ううん、悠人に心配はかけられない。
無理にでも笑わなきゃ。
こんなことで一喜一憂してたら、成長なんてできないってわかってるけど、本当に、私ってダメだな……
仕事に関しては、悠人のおかげでやる気が出て良かったけど、恋愛と人間関係はまだまだ全然だ。
どうして、私はこんな性格なんだろ。
自分を呪いたくなる。
ようやく歓迎会が終わり、みんなそれぞれに帰っていった。
「穂乃果さん!」
「輝くん!? どうしたの?」
お店を出て、駅に1人で向かっていたら、輝くんが追いかけてきた。
「どうしたの? みんなとタクシーに乗ったんじゃないの?」
「乗りませんでした。穂乃果さんが心配で」
少し息が切れている。
その真剣な眼差しに思わずドキッとした。
「だ、大丈夫だよ。駅まですぐだから」
悠人は1度店に戻ると言って、さっきタクシーで向かった。
私は、何だか1人で歩きたくて……
「大丈夫じゃないですよ! 誰かに声掛けられたら危ないです!」
「大丈夫だよ。そんな心配、必要ないから。誰も私なんかに声掛ける人いないよ」
ニコニコしながら言ってみたけど、なぜか輝くんは笑わない。
ずっと黙ったまま、下を向いてる。
「と、とにかく、僕も駅まで行きます」
「……あ、う、うん」
私達は、輝くんの言うままに駅まで歩いた。
2人きりで……
いつもは元気な輝くんだけど、今はあまり話さない。心配になるけど、どう声をかけたらいいのかわからない。年上なのに、気の利いた言葉ひとつ浮かばないなんて……本当に情けない。
駅に着いてからも、改札まで一緒に来てくれた。
「ごめんね。ここまで着いてきてくれてありがとう。また明日ね」
「いえ、すみません。明日、また」
輝くんはニコっと笑って、手を振ってくれた。
良かった……
私なんかが心配しなくても大丈夫だよね、輝くんなら……
きっと周りの人達が、彼を元気にしてくれるはずだから。
私は、ホームに入ってきた電車に乗った。
明日からまた……頑張ろう。
悠人のマンションに着いた頃には、夜中を回っていた。しばらくして悠人も帰ってきた。
「悪かったな。一緒に帰れなくて」
「ううん、全然大丈夫だよ。一応、私も大人だし。悠人は仕事だったんだから、仕方ないよ」
「まあ、確かに大人だけどな。でも、俺、お前のこと……すごく心配した」