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エアコンの効いたスタジオ。さっきまで歌っていたテンションも落ち着いて、2人きりになった空間に冷気がジワジワ染み込んでくる。
「さっっっむ!!」
初兎が思わず腕を抱えて小さくなる。
「設定温度、何度なんこれ!?冷蔵庫かよ……!」
「18度」
後ろからふわっと返事が飛んでくる。
「下げすぎだろバカまろちゃん!!お前ペンギンなん!?」
「いや、思ったより熱がこもってたからさ~。ちょっと冷やしとこって」
「で、冷やしすぎなんよ!初兎冷製スープになっちゃうわ……」
そう言って初兎がぶつぶつ文句を言いながらソファにちょこんと座ると――
次の瞬間、背中にぴとっと、あたたかい何かがくっついた。
「……え?」
「おれも寒いからさー。温め合お~って思って」
「え???」
「おれってば、地球に優しい男やから。省エネ対策で“人間カイロ”導入です」
「いやいやいや!!それ完全に言い訳やん!?口実やろ!!」
「んふふ、バレた?」
そう言いながらも、いふの腕はしっかり初兎のウエストにまわっている。
ぴたっと背中にくっつく体温が、なんだかくすぐったい。
「つーか寒いなら先に服着ろよ!Tシャツ1枚でうろついてんじゃねえよ!」
「だって……しょにだの背中のほうがあったかいし。あと、ちょうどいいサイズ感なんよ。ハグしやすい」
「うるせぇ!サイズ感で人を選ぶな!!」
顔を真っ赤にしながら怒鳴る初兎の耳元に、ふっといふの息がかかる。
「ねぇ、まだ寒い?」
「っ……も、もうちょい、冷房上げて。物理的に寒いのはマジだから!」
「じゃあ、もうちょいぎゅってしていい?」
「……好きにしてよ!バカ!!」
そう言いながら、初兎は背中に体重を預けた。
しっかり受け止めるいふの腕の中で、エアコンの冷たさも、なんとなく忘れていく。