テラーノベル
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2人がお付き合いするまでのお話
月明かりが窓から差し込む夜、扉がコンコンと2回ノックされる。
俺は扉をじっと見つめ、返事を返す。
「なんだよ、兄貴」
俺がそう素っ気なく返事を返し、またスマホに目線を落とした。
「おい弟、今から外行くぞ」
今は深夜の2時、こんな時間から外に行くなんて何考えてんだ、と俺はまた扉に目を移した。
「こんな時間に外出ってバカじゃねぇのか?」
いいから行くぞと扉を強引開けてきた。
あれ?俺の扉って鍵掛けてたよな…?
そう思いながらも俺は重い体を起こして仕方なく兄貴について行った。
財布や鍵などの最低限のものを持ち、いつもの服装で家を出た。
少し肌寒い風が髪を靡かせる。
おい兄貴、と声をかけると顔をこちらに向け目を合わせた。
夜風が吹き、月明かりがまるで劇場のスポットライトかのように俺たちを照らした。
「これから何処に行くんだ?」
知らねぇとなんとも無計画な返事が返ってきた。
知らねえってどういう事だよ、早く寝たいっつーのに…
そう心の中で思っては特に何も話す事もなく暇をしていると、兄貴が袖を引っ張ってきた。
「もっとこっちに寄れ、車が来たらあぶねぇだろうが」
そういう兄貴は顔や耳が赤くなっており、そのまま袖を離さない。
そんないつもとは違う兄貴に少し自分自身も気持ちが揺れる
そのまま数分歩くといつの間にやらすまないスクールに着いていた。
「こんなとこで何すんだ?」
「ちょっとな…」
顔を赤らめ、目を逸らす。
こんな兄貴は見たことがない、どうしたんだろうか、そんな事を考えていると兄貴はゆっくりと口を開きだした
「俺と付き合ってくれないか?」
理解するのに5秒近く、いや、もしかしたらもっとかかっていたのかもしれない。
理解をすると俺も兄貴と同様に全身が暑くなり、顔や耳が赤くなった。
「べ、別にいいぞ…」
俺がそう返事を返すと、嬉しそうに兄貴がパッと顔を上げた。
そうして俺達は手を繋いで帰った。
家に帰ると兄貴はベランダで1人鼻歌を歌いながら嬉しそうに夜空を眺めていた。
俺と付き合えたことがそんなに嬉しかったのか?そもそも、兄弟なんだから常に一緒にいるって言うのに…そんなことを思いながら俺は何も無いリビングの光を見つめる。
そうしていると兄貴が部屋に戻ってきた。
そして開口一番に話した事に少し顔を歪めた
「よし、今日は一緒に寝るぞ」
「は?俺はもう子供じゃねぇし!」
バカじゃねぇの?という顔で兄貴を睨む。
すると鼻で笑われ手を強引に引かれて俺の部屋に連れ込まれた。
小さく溜息をついては仕方なく同じベッドへと入る
付き合って嬉しかった兄貴を見るとやはり自分自身も心の中では嬉しかったのだろう
カップルらしく向かい合って寝ようとしたが俺は全く謎の緊張の糸が張っており寝れない。
あのクソ兄貴は幸せそうに眠ってやがる…
反対を向いて寝ようとした瞬間
「俺から距離をとるつもりか?」
その瞬間、背筋や顔、体の至るところが火がついたように暑くなった。
「早く寝ないと明日起きれねぇぞ」
そのまま俺は兄貴の思うがままに腕の中に閉じ込められた。
今の時刻は深夜の3時、たった1時間の短い出来事だったんだなと目を瞑りもう過去になった話を思い返す。
いつの間にかに朝日が昇り、目が覚める。
兄貴は珍しく先に起きているみたいだ。
珍しいと思ったが、時刻は朝の8時
遅刻寸前だった、そりゃあ兄貴が起きていてもおかしくはない
「遅刻するから早く行くぞ」
そう言っては兄貴は俺の口にサンドウィッチを咥えさせ、家の扉を蹴破り学校へ走った。
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「おはよざいまーす」
なんて適当な朝の挨拶をしてはギリギリで学校の正門をくぐる
学校なんか行かねぇで早く家で弟と2人きりになりたいなんて思いながら俺も教室に入る。
そしていつも通り兄弟喧嘩をしてはすまない先生に怒られる
「ちゃんと授業を聞いてるのか?」
そう聞かれるが口では「はい」と答えるも心の中でははなから授業なんて聞く気がないとこっそり反論する
「ほら弟、早く帰んぞ」
そんなすまない先生からの説教が済んだ後は弟を呼び一緒に帰る
そして誰も周りに居なくなったらこっそりと手を繋ぐ
最近では手を繋ぐ事も弟さは受け入れてくれるようになったみたいで安心した
でもまだ少しだけ頬を赤らめている弟を横目で見ては少しだけ笑みが零れた
❦ℯꫛᎴ❧
コメント
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凄く素敵な小説です! 素敵なのは本当に素敵なんですが…あの偽物にパクられてます。無断転勤?ですよね!?全部文字も一緒です