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なの

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unknown
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白黒猫

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-火を灯す者-
「…なぁ、もういいよ、それ」
中学3年の秋、文化祭の放課後。
防音壁もない、ただの視聴覚室に投げやりな声が響いた。
俺はギターを抱えたまま、弦を抑える指を止めた。指先は練習のしすぎで硬くなり、じんじんと熱を持っていた。
「…いいよって、何が。今のサビの入り、ドラムのフィルと合ってなかっただろ。もう一回そこだけ合わせようぜ」
俺が笑顔でスティックを叩く真似をしても、ドラムの奴はスティックを置いたまま、天井を見上げてため息をついた。
「いや、だからさ…そこまでこだわってどうすんの?プロになるわけでもないし、適当に楽しく合わせて、最後ライブっぽくなればいいじゃん」
「…適当、じゃダメなんだよ。もっとこう、胸にガツンとくるような、音が魂まで震えるような…そういう瞬間、作りたいだろ?」
俺は必死だった。
自分の頭の中で鳴っている、あの爆発するようなキラキラした音。
それをみんなと共有したくて、一音一音に命を吹き込みたかった。
でも、俺が熱く語れば語るほど、周りの温度が目に見えて下がって行くのが分かった。
「…お前さ、熱すぎ。マジで引くわ」
ベースの奴が、ボソッと呟いた。
その言葉は、まるで冷水を浴びさせられたみたいに、俺の胸に突き刺さった。
「…引く、って」
「温度差が凄すぎて、一緒にやってて疲れるんだよね。俺たちはただ、部活の思い出作りがしたいだけ。お前のその本気に付き合わされるの結構きついんだわ」
「………」
「もう、バンドやめようぜ」
ガラガラと扉が閉まる音。
一人取り残された視聴覚室で、俺は自分のギターを見つめていた。
俺の情熱は、間違っていたんだろうか。
誰かと音を鳴らしたいと思うことは、そんなに迷惑なことだったんだろうか。
(……それでも)
悔しくて、情けなくて、視界が滲んだ。
だけど、俺の指は勝手にさっきのサビのコードを掻き鳴らしていた。
ジャカジャーンと歪んだ音が空っぽの教室に響く。
「…っ、クソ…,。やっぱり、いい音じゃんか」
一人で鳴らす音は、どこまでも虚しい。
でも、この熱を捨ててまで、誰かと適当に笑い合うことなんて俺には出来なかった。
いつか、この熱量を受け止めてくれる奴がいるはずだ。
いや、俺が探すんだ。
お前の音を聴かせてくれって、心から笑い合える仲間を。
「…絶対、見つけてやる」
呪いのような「引くわ」という言葉を、俺は自分の中に無理やり閉じ込めた。
それがいつか、誰かの心に火を灯す燃料になると信じて。
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コメント
2件
あーもう、このエピソード胸にグッときすぎてやばいよ…!!😭💦 「引くわ」の一言がどれだけ主人公の心に刺さったか想像しただけでこっちまで苦しくなる…。でもそこでギター掻き鳴らしちゃうとこ、マジでかっこよすぎて泣ける。熱量受け止めてくれる仲間、絶対見つかってほしいし、見つけるって信じてるからね!!🔥✨ 続きが待ちきれないよ〜🍏💕さん、更新楽しみにしてます!!