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——恋愛ちゃんの家のドアが閉まって、夜の静けさが戻る。
レロちゃん(僕)
「……」
さっきまでのことをなかったみたいに、
いつもの軽い笑顔を作る。
レロちゃん
「じゃーね〜、れんちゃん!
またね〜★」
誰もいないのに、
いつもの調子で手を振って。
——そのまま、一人で帰り道。
足取りは軽い。
表情も、いつも通り。
……の、はずだった。
数歩進んだところで、
ふと、足がゆるむ。
レロちゃん(心の声)
「……あれ?」
夜風に当たって、
さっき引っ張られた頬が、
じんわりと思い出される。
レロちゃん
「……なんで、僕……」
無意識に、胸元に手を当てる。
レロちゃん(心の声)
「なんであんなので、
ドキッとしてるんだろう……?」
自分で言って、
自分で可笑しくなる。
レロちゃん
「はは……意味わかんないし」
小さく笑って、誤魔化す。
「れんちゃんのイタズラなんて、
いつものことじゃん」
そう。
いつも通り。
ただの、からかい。
——なのに。
レロちゃん(心の声)
「……別れ際に、
あんな顔されると思わなかったんだよな」
少ししょげた自分。
それを見逃さずに、
ああやって触れてきた恋愛ちゃん。
レロちゃん
「……ずるくない?」
誰に言うでもなく、ぽつり。
いつもの笑顔に戻ろうとして、
ふっと息を吐く。
レロちゃん
「……ま、いっか」
頭を軽く振って。
「考えても、答え出ないし」
歩き出す。
でも——
胸の奥に残った
小さな違和感だけは、
どうしても置いていけなかった。
レロちゃん(心の声)
「……また明日、
普通に会えたらいいな」
それが“何で”なのかは、
まだ分からないまま。
夜道に、
小さな足音だけが続いていった。
——
いつも通りの顔に戻った悪魔は、
ひとりで少しだけ、立ち止まっていた。