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〜*Hina*〜
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#ご本人様には関係ありません
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「おはようございます、いるま部長。本日のスケジュールをお持ちしました」出社した瞬間、なつは背筋をピンと伸ばし、完璧なビジネススマイルで資料を差し出した。
デスクでふにゃふにゃと「なつ、おはよ〜」と手を振ろうとしていたいるまは、その凍りつくような丁寧さに石のように固まった。
「……えっ? なつ、今なんて……?」
「『なつ』ではありません。暇です。公私混同は周囲の迷惑になりますので、今日から社内では完全に『上司と部下』の距離感に戻らせていただきます。失礼します」
一礼して去っていくなつの背中を見送るいるま。
その顔からは一気に血の気が引き、持っていた高級ボールペンがパキッと音を立てて折れた。
「……嘘だ。なつが、なつが敬語に戻った。……俺、何かした? 嫌われた? 昨日オムライスのケチャップでハート描いたのが重かった……?」
部長室からは、シゴでき部長とは思えないうめき声が漏れてくる。
なつがデスクで淡々と仕事をしていると、チャットツールに猛烈な勢いで通知が飛んできた。
【いるま部長】
暇くん。至急部長室へ。
理由:私の心が折れた。このままだと午後の大事なプレゼンで「です・ます」しか言えなくなる。助けて。
なつは溜息をつきつつ、「……仕事ですよ、部長」と自分に言い聞かせて部長室のドアを開けた。
中に入ると、いるまがデスクに突っ伏して、どんよりとしたオーラを放っていた。
「……暇くん。君の敬語は、俺の胸にナイフを突き立てるより痛いよ……。お願いだ、頼むから『いるま』って呼んで……命令して……」
「……いるま部長。周りが『裏ボス』だなんて茶化すから、私は……っ」
なつが顔を赤くして言い淀むと、いるまはガバッと起き上がり、なつの手を縋るように握った。
「誰だ! そんなこと言ったのは! 佐藤か!? ……なつ、君はボスなんかじゃない。俺の、たった一人の大切な……」
「……あー、もう! わかった、わかったから! ……いるま。……シャキッとしろ。……これで満足か?」
なつが我慢できずにタメ口に戻した瞬間、いるまの顔に一気に光が戻った。
「……なつ!! あぁ、やっぱりこの声だよ。生き返った……。よし、今の『命令』でやる気が出た。午後のプレゼン、100点満点で決めてくるから、夜は……ご褒美、期待していいかな?」
「……調子に乗るな、バカいるま!」
結局、なつくんの「敬語作戦」はわずか数時間で終了。
部下たちは、部長室から出てきたなつくんの赤い顔を見て、「あ、やっぱり裏ボスが部長を黙らせたんだな……」と、さらに畏怖の念を深めてしまうのでした。
コメント
1件
もう、なつくんの「敬語作戦」が可愛すぎて仕方なかったです! あの凍てつくビジネスモードから、いるま部長の一声で一気に崩れる流れ、最高でしたね。「バカいるま!」って叫べる距離感が本当に尊い。でもそれで周りに「裏ボス」って誤解されちゃうジレンマも好きです。次はその誤解がどう発展するのか気になります!