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つぼあお
俺より体が大きくて、身長も高い子供は、今日もクレームとともに帰ってきた。泣きわめく犯罪者、それもそのはず、ソイツに捕まれば、通常より倍の請求書が来ることになる。
『つぼ浦〜勘弁して〜』
「あ?何をですか?」
しらばっくれるのもいつものこと。重たい体とストレスが増す。がっくり肩を落として、腰をさする。年かな。
『…』
「アオセン?」
『………、あっ、なに?』
「帰りましょう。家。退勤しますよ。」
またバレた。マズイ。
『いや、俺そろそろ…』
ピピッ、ピーピーピーピー。
ピピッ。
「…………大型っすね。」
『じゃあ、俺ヘリ大臣するから、じゃあね! 』
「フッ、詰めが甘いぜアオセン。角砂糖みてぇにな!!!」
『うわっ!!』
スライディングでバランスを崩し、手錠をされ、煙草を口に突っ込まれる。そのまま器用に抱きかかえられて、しぶしぶ退勤する。つぼ浦の背中が頼りなくて頼もしくて、ずっとこうしていてほしい。なんて思ったり。
私服に着替えさせられて、個人用の車の助手席に乗せられ、背もたれを倒してシートベルトを着けられる。介護されてるなぁ。ピンはつぼ浦の自宅へ刺さっている。
この時だけ、制限速度以内で安全運転してくれるつぼ浦をみて安心して、心地よいエンジン音と小さなラジオの音に誘惑されて、そのまま眠った。
「…お仕置きするつもりだったが…」
その姿をみりゃ、その気も失せるわ。包帯だらけの体、腰に貼ってある湿布とサポーター。隈ができた目下、でも飯は食べてそうだ。
アオセンを風呂に突っ込んで頭洗ってやって、寝てる間にマッサージという拷問をし、血まみれの包帯を巻き直した。乾ききった髪の毛を撫でて、隣に座って携帯をいじる。
『…たくみ、…』
「おきましたか。」
『目悪くなっちゃうよ。電気つけなよ。』
「誰が付けるかお寝ぼけ疲労野郎。」
『んん、…よんで、ちゃんと』
「…ちっ、世話が焼けるガキンチョだな。おきろ、らだお。」
『ちゅーしたら起きる〜』
そのまま唇に噛みついて、舌をねじ込む。目を見れば合って、そのまま見つめ合って。口の中を貪る。味わった跡に、手を離す。
「満足かよ。」
『ん、…だいすき、またお世話してくれたの。』
「あーそうっすよ。あんまりボロボロだったからヤる気も失せるわ。」
『してくれないの。』
「するかボケ。明日ですよ。」
『してくれるんだ。』
嬉しそうに微笑むらだおが俺に這いずり寄ってきて、後ろから腰に手を回して抱き着いてくる。 もう、俺もやること終わってるし、いいか。
「寝ますよ。ほら布団に入りやがれ。」
『やったあ!…んふふ、いい石鹸の匂い、ちょっと前嗅いだ匂いかも』
「起きてたのか?」
『んーん、寝ぼけてた?かな?』
「そうか、…まあゆっくり休め。」
そのままらだおを抱きしめて、眠りに落ちるまで背中を撫で続けた。
「明日」というなの第2パート目があります。
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