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「えー…当時証拠は遺書だけだとされていました。」
「はい。知っています。」
「ですが事故現場から500メートルほど離れた近海でゴム手袋が見つかりました。」
「ゴム手袋、ですか?」
「はい。今DNAを鑑定しています。覚えている限りで良いです。当時の事を聞かせてください。」
「わかりました。」
「では、由梨さんの友人関係は ───」
コン コン コン
「失礼します。こちら、鑑定が終わりました。」
「ありがとうございます。」
「DNAは、由紀さんのものと一致しました。」
「え…?」
「わかりました。」
「それでは。失礼します。」
ガチャン
「…このゴム手袋を使って由梨さんを海に突き落とし、その後ゴム手袋もろとも海に捨てた。違いますか?」
「違います!」
「では、このゴム手袋はなんですか?」
「私も見覚えがないんです。」
「………」
幼い頃に使ったんだろうか。DNAがついていたと言われても、本当に見覚えがなかった。
「そうですか。」
「…はい。」
「今日のところはもう止めましょう。時間も遅いですし。」
「………」
「後日、また起こしいただくことになります。日程については日を追って連絡するので ──」
ガチャ
「……ただいま。」
「おかえり。ご飯あるから、食べ終わったら今日はもう寝なさい。」
「うん。」
翌日も、その次の日も警察の人は来てその度に質問をされたけれど、どれも聞き覚えがなかった。そんななか事態は急激に進展した。私の無実を潔白させる証人があらわれたからだ。それは同じクラスの陽太だった。
陽太は幼なじみでもあり、由紀と私の仲が良いことは十分に知っていた。陽太は携帯のラインの履歴を見せてこう言った。
「由紀さんが亡くなったとされている時間、俺達はラインをしていました。その時はお互いに家にいることを確認しています。」
「しかし、家にいる嘘をついている可能性もあるのではないですか?」
「おわかりだと思いますがその日は台風だったんです。それなのにわざわざ海で雨風に打たれながら由紀さんを殺害する理由はありますか?ないと思います。そしたら他の日にしたはずです。」
「…」
「それと、近海500メートルにゴム手袋がと言っていましたが、1年以上海にあったとしたらそんな近くにはないと思います。」
「当時から隠し持っていてほとぼりが冷めたと感じたから海に捨てたのではないですか?」
「当時家宅捜索は行っていますよね?由梨さんの家や部屋も捜索しているところは俺も見ました。その時に部屋は1回空にしたはずです。その時にはゴム手袋が見つかっていないんですよね?」
「えぇ」
「それなら今になって捨てるというのはおかしな話ではないですか?当時見つからなくて容疑もかけられていない状態なら自分で持っていたほうが見つからなくて安全だと思いますし。」
「…わかりました。もう一度検討してきます。」
「ありがとうございます。」