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誰もが花を持っている。
草も、木も、鳥も、虫も、もちろん僕たちも、この世界に存在しているみんなが花を持っている
生まれた時に芽生え、咲き誇り、そして儚くちってゆく。
そんな世界に生まれた僕の心の鉢には、花を咲かせようとしない草が1本。
僕は自分が嫌いになった。何度も自分の草をちぎった、もうボロボロになっていた。
痛い、でも自分を傷つけると、何故か気が楽になった。
自分がこの世で最も嫌う相手を何度も殴るような、殺すような感覚だった。
気持ちがいい。
こんな殺人を繰り返す僕はもう、この花畑の中には一生はいれない。
そう思っていた。
突然僕の目の前に現れた彼は、
「君は何故”花”をこんなにちぎってしまったの?」
そう質問した。
僕は真っ先にこう答えた
「僕のは花じゃないんだ。」
彼は微笑んだ。
「そっか、”まだ”なんだね。」
そう言ってどこかへ行ってしまった。
こんな状況になった僕を見ても、母は学校に行けと言う。
母は僕のことを分かってくれない。
重たい足を引きづりながら毎日学校に行く。
いつものように席に着く。
すると、1人のクラスメイトが声をかけてきた。
「大丈夫?」
彼女は僕のボロボロになった体を見てそう言う。
彼女は何かを悟ったかのように、ニコッと笑って、
「あなたはきっと大丈夫。」
そう言って友達の元へ行ってしまった。
帰り道。どうしても家に帰るのが嫌で、帰り途中にある公園のベンチに座ってぼーっとしていた。
気がつくと眠ってしまっていて、すっかり空は暗くなって、月が僕を見つめている。
もうそろそろ帰らないとな。そう思っていた時。
「叶芽《かなめ》っっ!!!!!」
急に僕の名前をよばれ、ビクッとした。
母だった。
母は僕に近づくなり僕の頬を強く打った。
「何時だと思っているのっ?!?!」
汗だくで息を切らす母の目には涙が浮かんでいた。
「ッ、、、、」
母は僕を強く抱き締めた。
「どれだけ心配したと思ってるの、、、よかった、、無事で。」
震えた声で母はそう言った。
僕もいつの間にか泣いていた。
「ごめん、、、」
「僕、家にいるのが辛くて、、、お母さんは僕を学校に行けっ強制するし、、何かある事にすぐ怒るし、、、お母さんは僕のこと認めてくれてない、きっと僕のこと大事に思ってないんでしょ?」
今まで思っていたことが爆発してつい出てしまった、
母は驚いた表情をした、さっきよりも強く僕を抱き締め、
「ッ、、、、何言ってるの?!大事に決まっているでしょう?!?!」
「ほんとうに?」
「ほんとよ、大事だから、、そういう風にしてしまったの、、、貴方は私の命よりも、何よりも大事よ、愛しているわ。だからもう、、自分の花を気づ付けないで、、お願いだから、、、」
そう母は僕の目をしっかり見つめた。
母の涙でぐちゃぐちゃになった顔を見て、僕は今までの自分がどれほど重い罪を重ねていたかに気がついた。
「ごめんお母さん、、、ごめんなさいっ、、、!」
全てに気がついた僕の心には花が咲いた。咲いたと言うよりかは、見えるようになったのだ。
たくましく咲きほこる僕の花は、綺麗に輝いている。
僕は1輪ではなかった。僕を支えてくれたいろんな人たちの花が集まった。
花束だったのだ。
貴方の心にはどんな花が咲いていますか?
心の花は、貴方が貴方に気がついた時、見えるようになるのです。
その花はあなたにはまだ見えていないだけで、周りからは見ることが出来ます。
だから、きっとあなたの花の存在は周りが気づかせてくれます。
貴方は独りじゃない。貴方は花束。