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土日になった。

俺たちは警察庁に寄ってからあの山中に行く事にした。

通信機と発信機、そして拳銃。

拳銃はあくまで護身用。絶対使いたくない。

通信機と発信機はピアス型になっていて機械に詳しい奴でない限りはバレない。


「…いらっしゃい♡やっぱりきてくれたのね!嬉しいわ!」

「せっかく招待してもらったしね。彩も引っ張ってきたよw」

「マジで仕事キャンセルしてきたんだからなw無茶言いやがって。樹の野郎w」

こんな調子で演技する。

「でもなんでこんな山中?もっといい場所あったでしょ。」

「ふふ♡やっぱりそう思うよね。こっちおいで〜いい場所教えてあげる♡」

連れて行かれた先にあったのは小さい古家。

中に入ると地下に続く扉があった。

「何処みてるの?こっちよ、こっち」

進んでいくと、そこは遊郭のような雰囲気だった。

三味線やら琴やら和太鼓やら笛やら。いろんな音が聞こえる。

そして独特な甘い匂いがしている。

「この香にはいろんな効果があるのよ。血行促進、疲労回復、そして睡眠薬のような効果…」

そこまで聞いて意識を失った。


「うまく釣れてきた♡」

「お前、やっぱ怖いわ」

「鎌鼬、見てたんなら手伝ってくれても良かったじゃない。」

「だから運びに来てやったんだろ!」

鎌鼬は聖と仁を担いで城のような建物に入って行った。

「…い…お…!…おい!起きろ!聖!」

「う…ん…仁?…此処何処?」

「分からない。でもあの後眠らせられて…」

「__なんで…聖と仁が此処に…?」

「…まさか…っ…鬼神!彼奴…!」

なんでだ。確かにメッセージは託した。

でも会いに来いとは言ってない。此処にいたら十中八九鬼神に抱かれる事になる。

そうか…猫又が最近見つけたとか言う少年って聖と仁だったのか…。




「よぉ。やっと起きたか。」

「鼬兄さん!これ、なんの冗談w?」

「冗談じゃないわ。だって此処は鬼神様の御住居だもの。」

「猫姉さん!いやいや、突然言われたってわかんないって!」

鬼神様?聞き覚えのある名前だ。

いや、でも今はそれよりも…

「何処にも行かないから手枷とってよ。」

「申し訳ないけど無理なお願いね。警察庁公安課捜査官の勇海 聖くん、火澄 仁くん。」

まずい。バレた。でも、拳銃は盗られていない。手枷があるから無理か…

「…ふざけるな。俺たちの親友は巻き込まない。その約束で契りを結んだはずだ。」

「元々頭おかしいと思っていたけど、此処まで頭ラリってるとは…」

この声…まさか…

「お前たち、鬼神様になんて口聞いているんだ!この場で…」

『良いぞ。我が許しておるからのう。それに…』

「…彩…月?…樹…月?なんで、どうして…」

「…!」


言葉が出てこない。

ようやく逢えたと喜ぶべきか、逃げろというべきか。

いや、それよりも…

「おい…鬼神…約束だったはずだ。」

「私たちの家族、友人、関係者は巻き込まない。そう言う約束のもと“契り”を結んだはずだ。それなのに、どう言うつもり?」

俺たちが一番固執してきた条件。それは『絶対に関係者を巻き込まない事』。

それなのに此奴、早々に破りやがった。

『妖尾、艶尾。良いことを教えてやろう。約束や条件という物は破る為に存在するのだぞ…貴様らはこれから先も我々の道具として生きるのが運命だ。』

「そうか…そうなんだな。」

「俺たちには人権はないんだな…」

笑いが止まらない。もう、可笑しかった。


「ふふふ…くぅ…アハハハハ!」

突然、樹月が笑い出す。その横で彩月が肩を震わせている。

「い…つき?さつ…き?」

「‥けんな…ふざけるなよ!」

〈俺の/私の覚悟を返せ!〉

二人が刀を持って鬼神にむかって走り出した。

『…猫又、鎌鼬、この獣は躾がなっていない。後でヤっておいて。』

「御意」

『妖尾、艶尾、忘れたのか?此処では我が絶対なんだと。』

「ぅがぁ…!あゔぁ!」

「かぁ…ぐぅ//うぁ!」

何が起きた?

二人が走った。そのあと鬼神と呼ばれる男が何か言ったあと、二人が苦しみ出した。

「彩月!樹月!大丈夫か?」

「く…!」

『その首輪、それには電流が流れるようになってるんだよ。君らが暴走しないように。もうやられたくないなら、大人しくしていなさい。』

「…それでも、手を出したら許さない。」

『威勢だけは本当にいいんだな…w面白い…。後で“褒美”をやろう。』

「…その“褒美”は私たちにとっての“苦痛”なの、わからない?なら、此処から出して。」

『それは無理だな』

そう鬼神は吐き捨て、彩月と樹月を隣の部屋に押し込め、鍵をかけた。

ドンドンと扉の叩く音が響く。

そんな中、鬼神は俺たちに話しかけてきた。

『仁は初めまして。聖は久しぶりだな。改めて、我が名は鬼神。この世を破壊し、世界を変える者だ。』

「…十年。僕が彩月と樹月を失ってからの年数だ。お前はこの十年、二人に何をさせた?」

『彼らは、我らの“道具”だ。どうしようとも我らの勝手だ。』

扉の奥から微かに声がした。

「ふざけるな!俺たちは道具じゃない!」

「私たちには私たちの意志がある。列記とした“人間”だ!侮辱するな!」

二人の声は少し震えていた。きっと泣いてるんだ。後悔と、悔しさで。

「彼らは、僕らの“心友”だ。お前なんかに彼らの叫びが、言葉の意味が分かる訳ない。」

「お前は十年もあいつらを苦しめた。痛めつけた。許されることじゃない。」

『だか、此処では許される。何故なら、此処は我の國だからだ。警察がなんだ。契りを結べば問題ない。』

さっきから言う“契り”とは一体なんなんだ?

『さあ、始めようか。』

追われるモノと負うモノ

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