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『双子の名探偵は今日も嗤う』〜謎あるところに闇は生まれる〜
第2章 『不可能な殺人と不可解な死』
〜金に執着する愚か者〜
第2話 嘘嘘嘘
梅雨の雨が降る夜…屋敷は静寂に包まれる。
『百合菜から何か言われたのかしら。』
『えっと……。僕はただ、主様のホントの気持ちが知りたいんです。百合菜様は寂しがってるんです。お仕事に連れて行ってくれなかったり、冷たく突き放したり…。中途半端な優しさは百合菜様を余計に寂しくさせるだけですよ。』
『ラムリ…。それは、百合菜の担当執事としての発言かしら。』
『っ、はい。僕は主様が大好きですから。』
『そう……。』
(私が1番分かってるわ。中途半端に優しくしても意味がないってこと。でも…そうするしかないのよ。あの子は鈍感だから。これくらい冷たくしなきゃならないのよ。)
『さっきの…質問の答えを言うわ。』
私はニコッと微笑む。
『嫌いになれたら…楽だわ。』
コツコツ……。
私は自分の部屋に戻る。
『それは…嫌いじゃなくて、好きってことなのかな…。はぐらかされた気がする…。』
雨は静寂をかき消してはくれない…。
雨は色んなものを流してくれるけど
嘘だけはずっと残り続ける。
『司法解剖の結果…やっぱりね。外傷は見当たらないことから身体の中に毒物を含まされた可能性がある。毒の成分については解析中…。』
『毒殺……。』
(フロントの方が言うには夕食をお持ちした時に吐いてたってことは夕食を食べる前に吐いたってことだから…。夕食に毒は含まれてない。つまりはその前…?)
翌日。
昨日のホテルに行き、サリナさんに会いにいく。私が来る前にサリナさんは憲兵の方に事情聴取をされていた。
『エリナの身体から毒!?そんな…っ。』
『司法解剖の結果です。毒の成分については解析中とのことです。』
『そこでサリナ・ルージュラ。今我々はお前が1番怪しいと睨んでいる。』
『なっ!!わ、私とエリナは親友なんですよ!?殺すなんてこと…っ!』
『よくある話だろう。親友に嫌気が刺して殺してしまうこと。』
『有り得ません!私はエリナのことを誰よりも大事な親友だと…っ。』
『フロントの人が夕食を持ってきた時その時点でエリナさんは吐いていたそうじゃないか。つまり、夕食に毒は含まれてない。つまり1番近くにいたお前が怪しいと思ってる。いつでも毒を入れられるからな。』
『っ、ふざけるのも大概にしてください!』
バンッ!
『私にとってエリナはかけがえのない存在なんです!エリナのことを殺すことなんて出来ません!大切で大好きで…っ。こんな早く…死んでいい子じゃないんです!』
『…じゃあこれはどう説明する。』
1枚の写真を見せる。
『憲兵様、これは……?』
『エリナさんの体調が悪くなったのは1日目。その時に食べたとされるクッキーだ。』
『っ、これは…っ。』
『見覚えがあるだろう?お前が渡したクッキーだよな?』
『確かにそれは私が渡しました。でも…毒なんて入れてません!麻里衣さん、私じゃ……っ。』
『憲兵様。誘導尋問ですわ。』
私はサリナさんの前に立つ。
『毒の成分はまだ解析中ですよね?』
『あぁ。今科学班が解析している。』
『この写真だけでは証拠は弱い。それに、私はサリナさんが犯人とは思えませんわ。彼女はこの事件の証人。私の大事な証人を証拠もなく疑うのは許しませんわ。』
『麻里衣さん…。』
『…わかった。悪魔執事の主。探偵と名乗るならばこの事件を解決してみろ。』
『えぇ。必ず。』
バツが悪そうに去っていく。
『大丈夫でしたか?』
『えぇ……。麻里衣さん、私はやってません。信じてください…っ。』
『もちろんですわ。私はサリナさんを疑ってなんていません。今日は貴方とエリナさんの旦那様のラビンさんに会いにきたんです。』
『私にまだ何か聞きたいことがあるんですか?』
『はい。』
ホテルの一室 サリナさんの部屋
『1日目の様子をもう少し詳しく聞きたいなと思いまして。』
『わかりました…。1日目は12時に西の大地の広場で待ち合わせをして、そこから馬車に乗って中央の大地まで来たんです。』
『その時のエリナさんの様子は…?』
『元気でした。旅を楽しみにしてるのかとてもワクワクしていましたよ。』
『そうですか……。サリナさんにとってエリナさんはどんな方ですか?』
『エリナは…そうですね…。エリナとは幼い頃からの仲でした。エリナは昔から無理をする子で風邪を引いても顔には出しませんでした。きっと私に心配をかけまいと…。』
『優しい方だったんですね……。』
『はい…とても。私にはもったいない親友でした。っ、すみません…。』
私はハンカチで涙を拭う。
『…話を戻しますね。1日目のどれくらいから体調は悪くなってましたか?』
『待ち合わせをしてご飯を食べて…馬車の中でクッキーを食べて……その後に体調が悪くなってました。』
『そうですか…。』
(この人になら私の瞳を見せても大丈夫かな。)
『サリナさん。今から何を見ても驚かないでくれますか?』
『……?』
シュル…っ。
私は眼帯を解いた。
『その瞳…。』
『サリナさん。今の言葉に嘘はありませんね?』
『っ、はいっ。』
(純真無垢な瞳…。モヤを見なくても分かる。綺麗な黄色い光。嘘はついてない。)
『ありがとうございます。サリナさん。では私はエリナさんの旦那様の聴取に行ってきます。』
『はい。あの、麻里衣さん!』
サリナさんは私の手を掴む。
『必ず…犯人を捕まえてください。』
『…はい。必ず。』
その手を握り返す。
コンコンッ。
『ラビンさん。私です。』
『悪魔執事の主……?私に何か?まさか妻のことでなにか……?』
『えぇ。聞きたいことがありまして。』
『分かりました。おかけ下さい。』
『エリナさんのことで…いくつかお聞きしますね。エリナさんとの関係は良好でしたか?』
『はい。私はエリナを愛していました。』
『……。』
(人間心理学。人は嘘をつく時右上を見る。まぁ私のこの瞳で一目瞭然…。)
シュル……。
『っ、その瞳は…っ。』
『気にしなでください。生まれつきのものですわ。』
『……。』
(どす黒い…。これは嘘ね。愛してなんかない。)
『…実は司法解剖の結果が届いたんです。 』
『え!?』
(汗…動悸…焦りが出てる。わかりやすい人。)
『それで、毒の成分は、解析されたんですか!?』
『いえ。それはまだです。解析中とのことです。』
《解析中か…良かった。》
『……。』
(証拠がなければ何も出来ない。今はこれが限界か。)
この人のまわりにまとわりつく黒いモヤ…どす黒くて真っ暗か闇みたい。見ていて吐き気がする。
『ありがとうございます。お時間頂きありがとうございます。』
『あ、あぁ…。』
バタンッ。
その日の夜。デビルズパレス 私の部屋。
『主様。西の大地のエリナさんの近辺の方に聞き込みをしてきました。』
『結果はどうだったのかしら。』
『主様の思った通りでした。ラビンさんはエリナさんに多額の保険金をかけていました。』
『やっぱりね…いくらだった?』
『2000万ゼニーです。』
『かなりの高額だわ。他には何か聞いたかしら。』
『はい。夫であるラビンさんはエリナさんのことを愛してなどいません。毎日のように喧嘩ばかりで…ラビンさんは浮気もしょっちゅうしていて離婚まで発展していたそうです。』
『今月で10年とは思えないわね。』
(やっぱり会いしてたなんて嘘。その浮気相手のところにでも貢ぐつもりかしら。)
『保険金は今どうなってるって?』
『保険会社に問い合せたところまた受け取りには来ていないそうです。』
『それまでに証拠を掴まないと…っ。』
私は手帳を開く。
『ルカス、ベリアン。明日、グロバナー家に行くわ。毒の解析結果をいち早く掴まなきゃ。』
一方その頃――。3階執事部屋
『ラムリ、お姉ちゃんはなんて?』
『嫌いになれたら楽だって言ってました……。』
『そっか……じゃあお姉ちゃんは私の事嫌いって訳じゃないんだね…。』
『……。』
はぐらかさたことは言わない方がいいのかな。
僕は…どうしたらいいんだろう。
次回
第3話 毒の正体。
コメント
2件
神ですいつもありがとうございます事件と別に兄弟の仲とかも出てきて最高しかもお姉さんの能力も神ありがとうございます本当に