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『そこのカップルが甘々すぎる件』
土曜日の昼下がり。
街は人で賑わっているのに、
ロゼの隣を歩くらいとは落ち着かない顔をしていた。
「ロゼ……なんか、今日の服きつい……」
「きついって言っても可愛いよ。
ほら、歩きにくいなら手、貸す」
ロゼは当たり前みたいにらいとの手をとった。
それも指を絡める恋人つなぎ。
「うぅ……ロゼと手ぇ繋ぐと……緊張する……」
「じゃあ離すか?」
「離さんで!!」
即答するらいと。
ロゼは小さくくすっと笑う。
「らいとが可愛すぎるのが悪いんだよ」
エスコート系らしく、
道も人も自然と避け、
らいとが歩きやすい速度に合わせる。
信号待ちでは背中をそっと支えてくれるし、
人混みでは迷子にさせまいと肩を押さえてくれる。
どこまでも自然体。
どこまでもスマート。
だかららいとは心臓が落ち着かない。
「ロゼ、なんでそんな……慣れとるん?」
「好きな子くらいエスコートするよ」
「——っっ!!」
顔真っ赤。
ロゼは涼しい顔。
二人が入ったのは、
落ち着いた雰囲気のカフェ。
席に着くなり、
ロゼがらいとの首元のタグをすっと直した。
「タグ出てる。ほら、おいで」
らいとを軽く引き寄せ、
目の前で整える。
距離が近すぎて、らいとは固まった。
「……ロゼ……こんなことされたら……恥ずかしくて死ねる……」
「大丈夫。可愛いから」
「やめぇ……っ」
耳まで真っ赤になったらいとが
テーブルに突っ伏そうとして止められる。
「倒れないの。ほら、飲み物来るよ」
「ロゼ、紳士すぎん……」
「らいとは可愛すぎるしね。
守りたくなるのは当然だよ」
ロゼは紅茶を手で回しながら微笑む。
動作がいちいち優雅で、らいとは心臓が忙しい。
そのとき店員がドリンクを持って来た。
礼儀正しく置いてくれようとした瞬間——
ロゼが自然な動きでらいとのストローを曲げ、
飲みやすい角度にして差し出した。
「ほら、らいと。飲みな」
「や、やめて!!恥ずかしいってば!!」
「いいでしょ? 可愛いんだから」
「ロゼ、甘やかしすぎやって……!」
ロゼはにこり。
「俺の役目だよ?」
らいとはテーブルに額を押しつけて
ごそごそと震えていた。
— 第三者視点(カフェ店員) —
(え……なんで?なんでこの席だけドラマみたいなん……)
店員は思った。
・彼氏らしき人がめっちゃ紳士
・相手のタグ直す速度プロ
・ストローの角度すら調整
・そのたびに反応して照れ死にそうな男の子
・それを微笑んで眺める紳士彼氏
(……カップルってこういうもん?
なんか……ロマンチックすぎん……?
いや、どこの映画??)
ドリンクを置きながら店員は確信した。
「このふたり……尊すぎて仕事集中できん」
そして奥に戻った途端、
スタッフルームでため息を吐いた。
「……あれは反則……」
ロゼとらいとは、
そんな視線が向けられていることなど知らず。
「帰りも手、繋ぐよ?」
「当たり前みたいに言うなって……っ」
「嫌なの?」
「嫌じゃない……むしろ好き……!」
「よかった。じゃあ行こ、らいと」
エスコートされながら歩く後ろ姿は、
まるで本物の恋人……というか、
もう恋人以外の何物でもない。
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