テラーノベル
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結のスマホがなり、その音に結は弾かれるように椅子の背から起き上がった。スマホを手に取り、画面に表示される番号には心当たりはなく、けれど春日凛太郎の名前が真っ先に浮んだ。
『いつも見ていますよ』
あの言葉をあの声を思い出して、結の背中に悪寒が走る。このまま電話に出ないでおこうかと思ったが、結はスマホを耳に当てていた。
「もしもし?」
「そんな膨れっ面はよくないな。代表ならばいつもにこやかでいないといけませんよ」
結は椅子から勢いよく立ち上がり、振り向いて窓の外を見渡した。客室から街の景色が見渡せることがホテルの魅力だが、ホテルの周囲に同じ高さの建物はなく、一体どこから見られているのだろうか。
「そんな怖い顔しないでくださいよ」
「凛太郎さん、ですか?」
凛太郎の名前を口にする結の声は明らかに恐怖に震えていた。電話の向こうから高らかな笑い声が聞こえる。相手が何かを言うまでの僅かな時間がとても長くて、結の心臓は締め付けられていくようだ。
「名前を知ってくれていたなんて光栄だな。僕の母をいい加減に返してください」
彼の低い声にいっそう手が震えて、耳に当てるスマホを落してしまいそうになる。
「あなたは誰? 私の母とはどういう…」
「あなたの母ではありません。僕の母です。秘書ばかり頼るのではなく、たまには自分で動いてみてはどうですか? それぐらいできるでしょう。あなたにも多少関りのあることですし、あなたと僕は兄妹かもしれませんよ」
そこで電話が切れた。兄妹―。初めて知った言葉のように、結の大脳はその言葉を処理しきれずにいた。
コメント
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第十三話、ゾクゾクしながら読みました……「兄妹かもしれませんよ」のひと言、本当に心臓を掴まれました。凛太郎さんの不気味な優しさと、結さんの震えが手に取るように伝わってきて、画面の向こうから見られている感覚がリアルで怖かったです。次が気になって仕方ないです!
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