「素敵な夢……理久先生って、すごいね。心から尊敬する」
「うん、私もちょっと見直したかな。夢を実現できるように頑張って! でも、だったらお嫁さんも保育士じゃないとね。誰が相手なんだろね~」
その瞬間、理久先生と目が合った。
「えー! 嘘~理久先生って彩葉が好みなの?」
「ちょ、ちょっと弥生、冗談はやめてよ。まだそんなに酔ってないでしょ? 理久先生困ってるし。本当、ごめんね」
「い、いえ……僕は別に困ってるわけじゃ」
「ま、とにかくさ。聞いたからには理久先生の夢を全力で応援しなきゃね」
なぜかガッツポーズをする弥生。
ちょっと笑ってしまった。
「うん、そうだね。応援するよ、絶対に」
「ありがとうございます。心強いです。ところで……お2人の夢は? 聞いてもいいですか?」
夢……
今は自分のことより、雪都の幸せが1番だな。
家族みんな元気でニコニコ笑っていられること、そんな当たり前のことが私の夢なのかも。
「彩葉の夢は?」
「えっ、私? う~ん、そうだね……私も保育士になれたから、とりあえず夢は叶ったし」
「そうなの? でも、もっといろいろあるでしょ?」
弥生に突っ込まれて、さらに先を考えようとしたら、慶都さんの顔が浮かんだ。
顔が赤くなってないか心配になりながら、冷静になれ! って、自分に言い聞かせた。
「あっ、う、うん。でも、子育てしながら仕事もできて、今の環境には本当に感謝してるから、これ以上は……」
かなり慌てて誤魔化した感じ、バレてないかな?
「すごいですよね。子育てしながら保育士なんて、尊敬しかないです。雪都君、すごく可愛いし、いつも側にいられて彩葉さんは幸せですよね」
弥生も理久先生も、雪都の父親のことを無理やり聞こうとはしない。
慶都さんのことは……やっぱりまだ言えない。
本当はみんなにも相談したいけど、その思いは今は一旦飲み込むことにした。
「2人には感謝してるよ。雪都のことも含めて、いつも仲良くしてくれて……本当にありがとう」
「ちょっと、何改まってるのよ~気持ち悪いんだけど」
笑いながら弥生が言った。
「別に改まってるわけじゃないよ。本当の気持ちだから」
「僕らだって彩葉さんには感謝してます。これからもみんなで仲良くいられたら……って、すごく思います」
弥生とは正反対、理久先生は真面目な顔で言った。
「ありがとう。これからもよろしくね」
「も、もちろんです。こちらこそよろしくお願いします。あっ、じゃあ、次は弥生先生。先生の夢は?」
「……」
数秒の沈黙。
理久先生の質問に、弥生の顔がちょっと曇ったような気がした。
「そ、そうね~お金持ちと結婚してセレブな暮らしをして、海外旅行にもしょっちゅう行って、豪華なドレスを着て、最高の食材を使ったご馳走を食べて……それから……」
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