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また、ちょっと黙る。



何だか変だよ、弥生。



いつもと違う様子に心拍数が上がる、何かあったの?



「弥生先生? 大丈夫ですか?」



理久先生も心配そうにしている。



「あっ、うん、ごめんね。嘘だよ、今のは全部、嘘」



苦笑い……無理に笑おうとしてる?



「弥生?」



「今の私にはね、夢を語る資格なんて無いの」



その言葉に驚いた。



明らかにトーンダウンしてる弥生、こんな姿は今まで見たことなかった。



「そんな、資格が無いなんて言わないでよ」



「そうですよ。弥生先生、毎日一生懸命頑張ってるじゃないですか」



「ありがとうね。私だっていつも助けてもらって感謝してる。でもね、私、そんな大切な2人にずっと黙ってたことがあるんだ」



その深刻な表情を見てたら、ただ事じゃないってわかった。



心臓がドクンドクンと動き出す。



いつも明るい弥生から笑顔が消えるなんて……



「私ね……」



ゆっくりと頑張って話をしようとする姿に、思わず息を飲む。



「好きな人がいるんだ。でも……決して祝福してもらえる相手じゃないの」



えっ、弥生……?



嘘だよ。



「まさか弥生先生……」



「……うん、不倫だよ。相手には奥さんも子どももいる。最初からわかってて付き合ってる。ダメだってわかってて。でもさ……どうやっても嫌いにはなれなくて」



正直、ものすごくショックだった。



弥生が不倫してるなんて信じられない。



勝手な思い込みだけど、この人にかぎって……そんなこと絶対しないって思ってたから。



私は、かつて妹のお見合い相手で、妹とはお互い想い合っていると思ってた九条さんと体を重ねた。



その時の自分の気持ち、確かに周りのことを考えられるような精神状態じゃなかったし、好きという思いだけが先行して……



誰かを好きになる気持ちって、自分でもコントロールはできない。



それはわかる。



だけど、ずっとそういう関係を続けていることに関しては……



やっぱり複雑な思いだった。



「弥生先生は、それで幸せなんですか?」



「……わからない。好きな人といられる時間はやっぱり幸せ。でも、1人になるとすごく不安になるから。どうすればいいのかわからなくて、ちょっと頭抱えてたんだ。だから、今日話せて良かった。ごめんね、勝手に重い話題にしちゃって。とりあえず、私なりに考えてみるから、一旦忘れて。本当にごめん」



「弥生……」



私も理久先生も、応援するとも、反対するとも、どっちも言えなくて……



本当は、2人とも「不倫」なんてやめてほしいって思ってる。



うん、きっと理久先生も同じ気持ちだと思う。



だけど、好きな人と一緒にいたい気持ちを頭から否定することもできなかったんだ。



「弥生先生には幸せになってもらいたいです。一緒に仕事する仲間として、近くにいてくれる友達として、やっぱり……不幸にはなってほしくないから」



「私も……そう思うよ」



みんなが幸せになれる方法って、いったいどこにあるんだろう?

あの夜、あなたがくれた大切な宝物~御曹司はどうしようもないくらい愛おしく狂おしく愛を囁く~

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