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『昔の自分』
tg視点
ダンボールのすき間から出てきた、折りたたまれた紙。
角が少し黄ばんでて、インクがにじんでる。
tg …なにこれ
裏返すと、俺の字でこう書いてあった。
『卒業式の日に、ぷりちゃんに渡す。
それまで絶対見ないこと。──ちぐさ』
思い出した。
ちょうど1年前──高2の春、
学校の行事で“未来の自分に向けて手紙を書こう”って企画があった。
けど俺は、その紙に“未来の自分”じゃなくて、
“伝えられないまま終わるかもしれない気持ち”を書いたんだった。
tg ……開けるしかないよな
震える指で、1年前の自分が折った封を開ける。
そこに書いてあったのは、
くしゃくしゃで、不器用で、でもたしかに“好きだった記憶”だった。
ぷりちゃんへ
たぶんこれを読むとき、もう全部終わってるかもしれない。
でも、俺は、どうしても伝えたかったから書いてる。
俺、たぶん、最初に“好きかも”って思ったの、高1の春だと思う。
体育館で、誰かに笑いかけてた顔が、
なんかずっと頭から離れへなかったの。
でも、怖くて。
友達だって思われなくなるのが、怖くて。
だから「好き」って言えないまま、
きっと卒業してしまうんだろうなって思ってる。
けど、もし、
この手紙を渡せるくらい勇気が持てたら、
そのときはちゃんと、伝えたい。
好きです。
ずっと、ずっと、あなただけが好きでした。
──ちぐさより
俺は、読み終えた手紙を、そっと胸に抱きしめた。
字が震えてた。紙もしわだらけだった。
けど、1年前の自分は、
今よりずっと真っ直ぐに、ぷりちゃんを想っていた。
そして気づいた。
あのとき、伝えていれば変わっていたかもしれない。
でも、過去は変えられない。
だけど──
この手紙だけは、まだ渡してない。
その瞬間、スマホが震えた。
通知の名前は──ぷりっつ。
「今、ちぐに会いたい」
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コメント
5件
わ!!!!!!!😽︎💞 手紙んとこで心臓ギュゥゥンッッって なって最後のprちゃんのメールで 心臓ドギャーンッってなった!!!ww めちゃ続き気になるっ‼️
かちさんが書く作品全部大好きです♡ まじで愛してます!