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ある日僕が目覚めると外で騒ぎが聞こえた。
窓を開けて外を見てみると、紗理奈の家が燃えていた。
火事だ。母が僕の部屋にきて、「私たちの家にも火が回るかもしれない。早く逃げましょう。」と焦った様子で言った。
僕は「母さん。紗理奈は?紗理奈はどうしたんだ?なんでこんな火が」
自分の心配よりも紗理奈が無事なのかが心配ですごく苦しかった。
「あとで説明するわ。とりあえず逃げないと。ね。」
母さんは不安そうな目を僕に向けて言った。
「母さん!!!!」
僕の怒鳴り声を母さんは無視して、僕の手を握り走り続けた。
家から1kmくらいだろうか。
「母さん。紗理奈は?紗理奈は?」
僕は必死に問いただした。
「落ち着いて聞いてちょうだい。」
母さんの話を聞いた瞬間僕は絶望した。
強盗が紗理奈の家に入り、家族を皆殺しに。
証拠隠滅のために大火事を起こした。
「ていうことは紗理奈は?」
僕は泣きそうな声で母さんに聞いた。
「どこにいるかが分からないらしいの。」
どういうことだ。皆殺しだったんじゃないのか?
「その時間帯は紗理奈ちゃん、バイトに行っていたみたいよ。」
「じゃあバイト先にいるんじゃ。」
「それがバイト先にもいなくて。」
もしかしてと僕は嫌な予感がした。
僕は昔から嫌な予感がよく当たる。
思い当たる場所に必死に走って行ってみた。
①学校
②花屋
③ケーキ屋
④学校の帰り道
⑤…
5だった場合死んでしまってるのではないか?
でも念のため確認しよう。
僕は走って自分の家に入った。
窓を開けた。
すると紗理奈が金木犀の木の上に隠れていた。
「やっぱりここに。」
「ごめんなさい。心配かけちゃった?ここから降りられなくて。」
泣きながら訴えてきた。
僕は手を伸ばした。
「紗理奈!!!」
鋭く光った包丁を持っている男が紗理奈が隠れていた金木犀の木を登ってきていた。
危機一髪のところで僕が助けたが、家に入ろうと思ったのかこちらを睨み、走って僕の家の方にやってきた。
正面から出たらあいつと会ってしまうと思った僕は、母の部屋の窓から飛び降りて逃げた。
するとあの男が追いかけてきた。
もうダメだ。刺される。紗理奈だけは。と思った瞬間だった。
紗理奈が僕を庇い、目の前で男に刺された。
紗理奈が倒れ、お腹が血だらけになっていた。
男は次は僕に襲いかかってこようとした。目の前まで包丁がきていた。
そのときだった。紗理奈が「佐々木君!!佐々木君だけでも生きて」と叫び、男の足を噛んだ。
男は痛そうにして、何度も紗理奈を刺した。
「やめろ。やめろ。やめろ。やめろ!!」
と僕は何度も叫んだ。その男は止める気配はなく、僕は紗理奈が不様に死んでいくのをただ見ているだけだった。
走って逃げて母のところに行った。
「母さん。紗理奈が。紗理奈が。」
泣きながら説明した。
「警察は?」
母さんが聞いてきた。
僕はスマホを家の中に 置いてきてしまったのだ。
母さんが警察を呼んで、犯人は捕まった。
半年後…
紗理奈。もうすぐ会いにいくよ。
寿命の1年より1週間過ぎた。
僕の体調はもう起き上がれないほど悪く、いつ死んでもおかしくない状態だった。
僕の病室には金木犀の香りがするアロマがたいてある。
紗理奈も。僕も。
死ぬ時はいつも。金木犀の香りがする。
END