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と行く前に少し神兵についてお話しよう。
神兵は全部で「12柱」存在するとされる。
それぞれが異なる属性と支配領域**を持ち、全てが「対極の意志」によって生まれている。
・系統は以下の3分類に分かれる
・攻撃系統(破壊・侵食・爆発・力)
・防御系統(防御・静止・凍結・加護)
・時空系統(時間・記憶・空間・因果)
氷壁は防御系統(凍結)の蒼刃の使い手であった
神兵は本来、単独で1つの時代を終わらせるほどの力を持つ。
通常は1人の人間に1柱しか契約されない。
だが“両剣契約”の存在が現れたことでバランスが崩れ始める。
夜の帳が降りた森に、突然“風”が止まった。
虫の音も、木々のざわめきも、まるで時そのものが止まったかのように消える。
神楽周助は紅蒼の双剣を手に、周囲の異変に気づいていた。
それはただの静寂ではなく“時の不穏”だ。
少女 …来る…絶対に目を合わせないで
神楽 …誰が来るんだよ
そのとき、地面が凍ったように沈黙し、
木の影から、“それ”が現れた。
黒衣の男。
顔全体を黒のお面で覆い、表情は一切読み取れない。
ただひとつ、右目にあたる場所で「時計の針」がカチカチと音を立てていた。
??? …双剣契約者の神楽周助。時間の中で、ようやく会えたな
声は男か女かすら判別できなかった。
それでいて、その場の空気を完全に支配する圧を持っていた。
神楽 お前…何者だ?
??? 我が名は呀狼(がろう)“時喰ノ刃”の契約者にして、 この世界に“時間”という秩序を与えられたものである。
少女 周助、逃げて。絶対に勝てない…彼は時を“食らう”存在よ
神楽 …勝てないってのは戦ってみなきゃ分かんないだろ。
呀狼が一歩前に出た。
それだけで地面の苔が逆再生し、砕けた小石が元の形に戻っていく。
神楽 気持ち悪ぃ…
呀狼 貴様の“時間”は、もう存在しない。
次の瞬間、周助の剣が止まった。
いや、彼の時間そのものが静止していたのだ。
少女 周助!?
呀狼 無駄だ。“5分”の時間を封じた。お前たちはもう、こちらに届かぬ
だがそのとき、紅蒼神剣が不意に輝いた。
神楽 …なめんなよ。時間だろうが空間だろうが、こいつらが斬れるって言ってんだよ
紅の剣が炎を放ち、蒼の剣が凍てついた時間を裂いた。
周助の動きが戻り、彼は一直線に呀狼へと突進する。
神楽 赫蒼式“双牙閃”
爆炎と凍気が交差する双撃。
呀狼の右腕が切断され、時の粒子が空へと散った。
少女 やったの!?
だが、呀狼は動じなかった。
彼は切断された右腕に静かに手をかざし、こう呟いた。
呀狼 この時間は“なかったこと”にする。
その言葉とともに、彼の腕は、巻き戻されるかのように元通りになっていく。
神楽 マジかよ…
呀狼 貴様の剣は届いた。だがそれがなんだ?
“過去をなかったことにする”のが、我が“神兵”の本質だ。
呀狼は剣を構えるでもなく背を向けた。
呀狼 ここで貴様を殺すことは容易。 だが我は“試して”やろう___未来に賭けて
神楽 は?
呀狼 これは“敗北”ではない。貴様はここで“生かされた”その意味を考えるがいい
風が再び吹き始めた。
時間が戻り、世界が音を取り戻す。
呀狼の姿は、跡形もなく消えていた。
少女 生かされた…だって。彼はあなたを“選んだ”のかもしれない。 彼自身が恐れるもっと大きな存在に“抗う駒”として…
神楽 そんなのお断りだ。俺は誰のためでもなく剣を振り続ける。
双剣が微かに共鳴し蒼くそして紅く森を照らした。
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